牛岡 ~琉球沖縄の伝説
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~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~
奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第154話。
牛岡
むかし昔、大和の国から来た士、新志花重成は、竹富島の南の端、ブサシという場所に、城を築いて住んでいました。
ただこの辺りの地形が余り良くなかった上に、何より飲み水の確保に困る場所のため、将来、ここでは村の発展が望めないと決心し、城を取りまく村ごと引っ越すことに決め、仲筋に新しく村を建てたのでした。
引っ越して間もなく、重成は見張台を築きたいと考えて、良い場所はないかとみんなで探し回りました。ところがなかなか良い場所は見つかりません。
ところで、部下の中に牛を飼っている者がおりました。
その牛が、ある晩のこと、屋敷から飛び出すと、人々が寝静まった真夜中から明け方にかけて、角を地に突き立て、土や石を振り上げ、高い岡を作ったのでした。そしてその岡の上に牛は登ると、ンブフル、ンブフルと、一際、大きな声で、鳴いたのでした。
その声を聞いてやって来た重成は、一目見て、自分のためにしてくれたと察して牛に感謝しました。そして、その岡の上に堅固な見張台を築いて、ここを、ンブフルと名付けたそうな。
※この話の参考とした話
①柳田~「牛石」
②沖縄先島・沖縄県八重山郡竹富町竹富島~『蟷螂の斧』
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●伝承地
①柳田~「牛石」
②沖縄先島・沖縄県八重山郡竹富町竹富島~昔、大和の国から来た武士新志花重成殿は竹富の南端ブサシというところに城を築いて住んでいたが、付近は地形が悪く、そのうえ飲料水にも困り、将来部落としての発展は望めないと思い、村中を引越し、仲筋に部落を立てられた。
重成殿は自分の見張台を築きたいと思い、良い場所を求めるため苦心していた。その頃、部下に牛を飼っていた男がいた。その牛がある晩屋敷より飛び出し、人の寝静まった夜中に、角で土や石を振り上げ夜明け頃までに高い岡を作り、その岡の上にのぼって牛がンブフル、ンブフルと大声を上げて泣きました。その声を聞いた重成殿は大変喜んでその牛に感謝し、牛の振り上げた岡を土台として堅固な岡を築いて岡の名前をンブフルと名付けたそうです。(『蟷螂の斧』)
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