てぃーだブログ › 琉球沖縄を学びながら、いろいろ考えていきたいな~ › 琉球沖縄の伝説・沖縄本島編 › 名護親方と字を書くアカマター ~琉球沖縄の伝説

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~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第98話。


名護親方(なぐうぇーかた)()()くアカマター



 沖縄(おきなわ)での()(はじ)まりは名護親方(なぐうぇーかた)から、(など)()われたりします。その意味(いみ)は、文字通(もじどお)りではなく、教育(きょういく)(ちち)というのが本当(ほんとう)意味合(いみあ)いです。
 中国(ちゅうごく)()程順則(ていじゅんそく)琉球(りゅうきゅう)()寵文(ちょうぶん)という名護親方(なぐうぇーかた)は、琉球(りゅうきゅう)(はつ)(のち)藩校(はんこう)先駆(さきが)けとなった明倫堂(めいりんどう)創設(そうせつ)(とな)えた、沖縄(おきなわ)ではよく()られている有名(ゆうめい)人物(じんぶつ)です。
 また、当時(とうじ)中国(ちゅうごく)、清(しん)から()(かえ)った、六諭衍義(りくゆえんぎ)という道徳書(どうとくしょ)は、琉球国(りゅうきゅうこく)、そして日本全土(にほんぜんど)普及(ふきゅう)する(こと)となり、修身(しゅうしん)教育(きょういく)教科書(きょうかしょ)として使(つか)われ、日本人(にほんじん)道徳観(どうとくかん)育成(いくせい)(おお)きく貢献(こうけん)しました。
 その一方(いっぽう)で、名護親方(なぐうぇーかた)文字(もじ)にまつわる、沖縄(おきなわ)では有名(ゆうめい)(はなし)(いま)(つた)わっています。
 沖縄(おきなわ)ではアカマター、奄美(あまみ)ではマッタブと()ばれるマダラヘビが、(むかし)から琉球(りゅうきゅう)生息(せいそく)しています。
 (とく)沖縄本島(おきなわほんとう)周辺(しゅうへん)では、この(へび)美男子(びだんし)()けて女性(じょせい)(たぶら)かすと、(むかし)から(しん)じられて()ました。
 ある(とき)名護親方(なぐうぇーかた)(みち)で、(かお)(あから)らめ、心ここにあらず(とぅるばやー)女性(じょせい)と、すれ(ちが)いました。
 そのまま(ある)(つづ)けて、ふと(みち)(わき)()をやると、女性(じょせい)がおしっこをした(あと)で、アカマターが尻尾(しっぽ)(なに)やら()いています。そして()()わると、アカマターは何処(どこ)かに()()せました。
 (なに)をしていたのか不思議(ふしぎ)(おも)った名護親方(なぐうぇーかた)は、アカマターが()(ところ)()って、調(しら)べてみました。するとそれは、呪文(じゅもん)のような文字(もじ)になっていたそうです。
 それを()瞬間(しゅんかん)名護親方(なぐうぇーかた)は、これはもしかすると大変(たいへん)(こと)が、あの女性(じょせい)()こっているのではないかと、直感(ちょっかん)したのでした。
 そして、(あわ)てて(みち)()(かえ)し、(いそ)いで女性(じょせい)()いました。
 すると、先程(さきほど)すれ(ちが)った(むすめ)とアカマターが、(たわむ)れているではありませんか。名護親方(なぐうぇーかた)は、アカマターを()(はら)いました。すると(むすめ)は、何故(なぜ)美男子(びだんし)恋人(こいびと)自分(じぶん)()()くのかと、(あば)()しました。名護親方(なぐうぇーかた)は、(ちか)くの人家(じんか)に、(いや)がる(むすめ)()れて()き、その女性(じょせい)(こと)(たの)むと()ぐさま、アカマターが呪文(じゅもん)文字(もじ)()いていた場所(ばしょ)に、(もど)ったのでした。そして、()かれていた文字(もじ)()()りました。
 するとその(ころ)女性(じょせい)突然(とつぜん)(まぶい)(もど)り、自分(じぶん)何故(なぜ)そこに()るのか、(まった)()からなかったそうです。
 これが、名護親方(なぐうぇーかた)女性(じょせい)(すく)ったと(つた)わる、お(はなし)です。
 なお、やはりアカマターに(たぶら)かされた姫君(ひめぎみ)(はなし)があります。妊娠(にんしんし)し、アカマターの()身籠(みご)もりました。そこで(はま)()き、お(なか)のアカマターの()()ろし、(みそ)ぎの儀式(ぎしき)をしたところ、(もと)清浄(せいじょう)(からだ)(もど)ったという(はなし)から、沖縄(おきなわ)伝統行事(でんとうぎょうじ)浜下り(はまうい/はまうり)()まれたそうな。


※この話の参考とした話
沖縄本島・沖縄県島尻郡伊平屋村字我喜屋~「昭和五四年度 沖縄国際大学口承文芸研究会伊平屋調査草稿」
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村伊良皆~『伊良皆の民話』読谷村民話資料1
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村渡慶次~『渡慶次の民話』読谷村民話資料7
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村儀間~『儀間の民話』読谷村民話資料5
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村長浜~『長浜の民話』読谷村民話資料3
沖縄本島・沖縄県島尻郡東風平町富盛~『こちんだの民話』上巻 昔話編
沖縄本島・沖縄県島尻郡渡嘉敷村前島~渡嘉敷村史別冊『とかしきの民話』
沖縄本島・沖縄県島尻郡伊是名村諸見~『いぜな島の民話』


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●伝承地
沖縄本島・沖縄県島尻郡伊平屋村字我喜屋~字のはじまりは、名護親方という話があります。このアカマターというやつは、よく人に化けて女なんかいたずらしよったと。そして、名護親方が道中通るときに、女も通った。こう行き違いで通って行きよったと。そしたら女のしっこした後によ、アカマターというやつが、しっこにしょっちゅういじっているそうですよ。そしたら、名護親方というのは偉い人なんだけどね、その人がアカマターがいじったところを、このアカマターと女の通った所を通って行って、後から調べてみたらみんな字になっておったそうです。そして、「これは大変」と言って、今度は、名護の親方も、この蛇と女の通った所へ急いで行ったらしいんです。もう、やがて女はこの蛇にだまされているところまでいっておったというんです。それで、名護親方が、それを追い払って、助けたという話がある。(「昭和五四年度 沖縄国際大学口承文芸研究会伊平屋調査草稿」)
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村伊良皆~名護親方が道を歩いていると、女がアカマタともつれあって、あやしげな行いをしていた。親方は、許してはおけんと言って、アカマタを切り殺した。女は恥ずかしくなり、慌てて帰ったそうだ。小便の跡に、アカマタの尾で字のようなものが書かれていた。親方はそれを写し取り、別の女が小便した跡に同じように書いたら、親方もまたあやしげな行いをした。それで、これは大変と思い、その紙を慌てて燃やしたそうだ。(『伊良皆の民話』読谷村民話資料1)
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村渡慶次~夜、道でおしっこをした後は、必ず足で三度踏み消すようにとのことである。そうしないとアカマタに騙されるからだそうだ。万一騙されて妊娠すると、アカマタの子を生むといわれ、その時には浜へ行ってお腹の子を下ろしたという。今でも行われている浜下りの行事はその名残だそうだ。(『渡慶次の民話』読谷村民話資料7)
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村儀間~池城親方という人が辻からの帰り道、美しい女がおしっこをしてそのまま行ってしまったそうだ。そして、その跡にアカマタが字を書いていた。アカマタが字を書くと、どんな女も騙されるということを知っていたその人は、「一大事だ」と思い、その字を踏み消してしまった。そうしたら何事も起こらずに済んだようだ。それ以来、おしっこをすると唾を三回吐きかけるようになったそうだ。(『儀間の民話』読谷村民話資料5)
沖縄本島・沖縄県中頭郡読谷村長浜~アカマタに騙されて妊娠した娘がいた。その娘の親が、「浜遊びに行って、浜の砂を踏めば子供が生まれる」と言ったので、その通りにすると、頭に乗せる桶一杯のアカマタの子供が生まれたそうだ。(『長浜の民話』読谷村民話資料3)
沖縄本島・沖縄県島尻郡東風平町富盛~女が山に向かっておしっこをする時は、必ず三度唾を吐いてからやりなさいといわれた。そうしないとアカマタに騙されると言う。(『こちんだの民話』上巻 昔話編)
沖縄本島・沖縄県島尻郡渡嘉敷村前島~女が井戸の側のいつも同じ所で小便をすると、そこに雄のアカマタが息を吹きかけ、字を書いて男に化け騙しに来るといわれた。(渡嘉敷村史別冊『とかしきの民話』)
沖縄本島・沖縄県島尻郡伊是名村諸見~村一番の美しい娘が洞窟の前で小便をした。その洞窟にはアカマタが住んでいた。アカマタは小便の音を聞いて、そこから這い出し、小便の上に呼び字を書いて、若い男に化け、娘を呼び寄せていた。娘が出て行かなくなると、今度は男の方が毎晩忍んで来た。男は娘の家から帰る時、必ず後ずさりして出ていった。不審に思った母親が、芭蕉を針に通して男に気付かれぬように着物に刺しなさいと、娘に言いつけた。後を辿って行ったら、洞窟の中で針を立てたまま、アカマタがとぐろを巻いていたそうだ。(『いぜな島の民話』)


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クルク民様。はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

ここに挙げた伝承地以外にも、まだまだあるようです。
伊是名ですが、
かつては伊平屋間切の中に、伊是名島も伊平屋島も野甫島も入っていました。

浜下りの話は、沖縄じゅうにあるようです。
微妙に、話が違うのがまた、面白いです。

コメントありがとうございました。では。
Posted by 横浜のtoshi at 2011年02月16日 17:46


浜下りの話しは、伊是名のだけでなく、こんなに沢山あるんですね~
Posted by クルク民 at 2011年02月16日 13:31


のはら恵子様。はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

恐らく、のはらサンの書は、
書がわからない人にも人気があると思います。
でも、書の世界でも通用すると思います。

書の世界は保守的で、伝統と格式はじめ、基本を大切にする、いい面もありますが、
逆に、足の引っ張り合いや、悪口の言い合いと言った、
芸術の世界に、よくありがちな、嫌なことも少なくありません。

それよりは寧ろ、のはら流自己流で、頑張って欲しいなあと思うんです。
ちばりよ!
Posted by 横浜のtoshi at 2011年02月16日 05:40


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