無名寺 ~琉球沖縄の伝説

2011年08月19日

Posted by 横浜のトシ(爲井) at 20:20│Comments(14)琉球沖縄の伝説・奄美編

みんなで楽しもう!
~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第180話。


無名寺(むめいでら)



 与論島(よろんじま)琴平神社(ことひらじんじゃ)の、(おな)境内(けいだい)(なか)に、ヤブニッケイの(もり)があります。その(なか)に、二坪(ふたつぼ)(ぐらい)無名(むめい)(ちい)さな(てら)があります。この(てら)由来(ゆらい)についてのお(はなし)です。
 むかし(むかし)のこと、何時(いつ)時代(じだい)からか、沖縄本島(おきなわほんとう)与論島(よろんじま)中間(ちゅうかん)(あた)りの(うみ)に、(よる)になると篝火(かがりび)(とも)場所(ばしょ)があり、実際(じっさい)にそれは篝火(かがりび)より(ひか)(かがや)いていたそうです。
 琉球(りゅうきゅう)(おう)は、毎晩(まいばん)(うみ)(とも)()(はなし)不思議(ふしぎ)がって、ある()のこと、船頭(ふながしら)(めい)じてその()調(しら)べてくるよう、探索(たんさく)させました。それを(めい)じられた船頭(ふながしら)は、その(ひかり)(もと)めて(ふね)(すす)め、(つい)(ひか)(かがや)場所(ばしょ)辿(ただ)()いてそれを()てみたところ、()(しろ)髑髏(しゃれこうべ)が、(なみ)()()()かんでいたのでした。それを確認(かくにん)したで船頭(ふながしら)(ふね)()(かえ)し、(おう)にその様子(ようす)(くわ)しく報告(ほうこく)しました。
 すると(おう)()(こと)には、
 「髑髏(しゃれこうべ)()(はず)がない。もう一度(いちど)()って、それをよく調(しら)べてきなさい。」と(めい)じたのでした。
 それでやむなく船頭(ふながしら)(ふたた)出掛(でか)け、今度(こんど)髑髏(しゃれこうべ)(ひろ)()げたところ、()()(あいだ)に、一枚(いちまい)()()かれた(かみ)(くわ)えていました。しかしながら船頭(ふながしら)文盲(ぶんもう)だったため、そのまま()(かえ)って(おう)(わた)したのでした。すると(おう)(かみ)()み、船頭(ふながしら)(たず)ねることには、
 「この髑髏(しゃれこうべ)()いていた場所(ばしょ)からは、琉球(りゅうきゅう)(ほう)(ちか)かったか。それとも与論(よろん)(ほう)(ちか)かったか。」と。
 すると船頭(ふながしら)は、与論(よろん)(ほう)(ちか)かったと(こた)えました。すると(おう)は、()ぐさま(めい)じて()うことには、
 「この髑髏(しゃれこうべ)()って、与論島(よろんじま)(たか)(ところ)で、沖縄本島(おきなわほんとう)(もっと)(ちか)(ところ)に、(まつ)ってきなさい。それから、その一切(いっさい)祭事(さいじ)は、自分(じぶん)一人(ひとり)でするように。」と。
 そう(めい)じられて、与論(よろん)()いた船頭(ふながしら)は、髑髏(しゃれこうべ)(おう)命令通(めいれいどう)りに一人(ひとり)で、琴平(ことひら)境内(けいだい)(ちい)さな(てら)をつくって、(まつ)ったのでした。そしてこの(てら)は、それ以後(いご)、その船頭(せんどう)一族(いちぞく)によって(まつ)られる(よう)になりました。
 なお髑髏(しゃれこうべ)がくわえていた(かみ)には、こう()いてありました。「(わたくし)は、キーターラシビという(もの)で、海賊(かいぞく)首長(しゅちょう)だった。()髑髏(しゃれこうべ)見付(みつ)けた(もの)は、(もっと)(ちか)(しま)高台(たかだい)(まつ)って()しい。もしも()(ねが)いを(かな)えてくれたならば、子々孫々(ししそんそん)、そして()()(とど)(かぎ)り、海難(かいなん)(のが)れることであろう。」という(よう)内容(ないよう)()かれてあったのでした。
 それからというもの、人々(ひとびと)(たび)をする(まえ)に、そこにお(まい)りするようになりました。(また)海難(かいなん)事故(じこ)遭遇(そうぐう)した(ひと)(なか)三人(さんにん)だけが(たす)かった(こと)がありますが、(すべ)てキータラシビを(まつ)った船頭(ふながしら)子孫(しそん)だったそうです。
 琉球沖縄(りゅうきゅうおきなわ)海難(かいなん)()った(とき)には、「キーターラシビの(かみ)さま、どうぞお(まも)(くだ)さい。」と祈祷(きとう)すれば、(たす)かると(しん)じられてきたそうな。



 
※この話の参考とした話
奄美・鹿児島県大島郡与論町~「奄美民俗」3号


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●伝承地
奄美・鹿児島県大島郡与論町~与論の琴平神社の同じ境内の中に、ヤブニッケイの森がある。その中に二坪位の無名の小さな寺があるが、この寺の由来について書いてみます。いつの時代からの事か沖縄と与論の中間に夜になったらカガリビが毎晩ついていた。それはカガリビというより輝かしいものであったという。琉球王がこの毎晩ついている火を不思議がって、ある日船頭に命じてその探索をさせた。命じられた船頭は、その光を求めて船を進めた。そして、とうとうたどりついて火を灯してみたところ、白いシャリコウベが波にもてあそばれていた。それで船を引返し、王様にその結果を報告したところ、
 「ガイコツが浮くはずはない。もう一度引返して、そのガイコツを調べてこい。」と命ぜられた。それでやむなく又引返しそのシャリコウベを拾いあげたら、歯と歯の間に一枚の紙をくわえていた。その船頭は文盲であったのでそのまま持帰って王様にみせると、王様はその文を読んでその船頭にたずねた。
 「このシャリコウベは琉球の方が近かったか与論の方が近かったか」と。船頭は答えて
 「与論の方が近うございました。」王様は早速船頭に次の様に命じた。
 「このシャリコウベを持って与論の高い所で沖縄に近い所に祭れ。そしてその一切の祭事は自分でするように」と。その船頭は与論に来てそのシャリコウベを琴平の境内に祭った。この寺はそれ以後その船頭によって祭られる様になった。シャリコウベがくわえていた紙には「私はキーターラシビという者で海賊の首長であるが、このシャリコウベをみつけた人は一番近い島の高台に祭って下さい。そしたら子孫代々海難を免れるでしょう。」という様な内容が書かれてあった様です。今でもある人々は旅行する前にそこにお参りしている。又戦争中海難にあった人が三人共助かった。それが全部キータラシビを祭った船頭の子孫だったという。それで海難にあった時には「キーターラシビの神、お守り下さい。」と祈祷すれば助かると言われている。(「奄美民俗」3号)


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笑い猫サン、はいさい、今日(ちゅー)拝(うが)なびら。

ありがとうございます。
遅れたって、大好きな笑い猫さんに言われて、デージうれしいバ~ヨ~。
目の前にいたら抱きしめて喜ぶんだハズ。
でも、悲しいかな、遥か海の彼方、宮古なのである。

マブヤ~は、見つかるどころか、伊良部島に、いっぱい落としてきました~。
力が、は・い・ら・な・い・・・・・・。

へぇ~、ちょうど一ヶ月遅れ何ですねえ。
20歳の誕生日ですか、お姉さま。
ボクはやっと18歳になりました、精神年齢が。

ちなみに、伊良部時まで、
原付なのを、いいことに、遊歩道を、突っ走っていたら、
みごと、蜘蛛の巣に、つっこみました!

あの時かも、マブイ、一個目を落としたのは。
残りは、伊良部島の、一番高い所で、大風&大雨で、どっかに飛ばされました~。

笑い猫サンの家の庭に落ちてたら、拾っといて~!
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2011年08月23日 18:51


ルミさん、こんにちは。

ありがとうございます(涙)

ルミさんと、僕との、出会いの民話、「通り池」、よかったですぅ~

FBのおかげで、誕生日が、バレてました。

誕生花、クレオメ、昨日、調べたんです。
まるで、ガラスでできた僕の繊細な心のように可憐だなあ~、うそうそ。
花言葉、秘められた時間は、なかなかです。
これから、そんな素適な、失われた時を求めて、生きていきま~す、マ~ス?

宮古上布、ルミさんに教えてもらったので、見てきました。

天国&地獄ツアーは、まだまだ続きます。では。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2011年08月23日 18:43


トシさん、誕生日おめでとうございます! (2日遅れですが)

8月生まれだったんですね~(≧▽≦)/

マブヤ~は見つかりましたか(笑)

私は来月が20歳の誕生日(笑笑笑) もうちょっとしっかりするぞ!という意味で私もマブヤ~さがしましょ~ね~。
Posted by 笑い猫 at 2011年08月22日 13:10


toshiさん
20日はお誕生日だったのですね…
2日遅れですが

『お誕生日おめでとうございます

誕生花…クレオメ
花言葉…秘められた時間

イメージが違い過ぎますが(笑)

秘められた時間…も 読書のイメージです
素敵な一年になりますように

ところで、今日から… 宮古島 ですね

下地島の通り池、そしてお時間があれば、
宮古上布を織っているのが見学出来る
『宮古織物事業共同組合』…

元宮古神社隣にあります。
昨年行って良かったので

『東平安崎』…

夜も素晴らしいですよ…満天の夜空に星がたくさん
流れ星も

ただしこちらは、30年前?の体験ですが

充実した宮古島 になりますように
Posted by ルミ at 2011年08月22日 09:21


のはら恵子さま、はいさい、今日(ちゅー)拝(うが)なびら。

こちらこそ、今日は、やっと、お会いできて、嬉しかったです。
自分だけのための、この世に一つの一書、
しかも、目の前で、のはらサンに書いて頂いたMyしおり、
でーじ嬉しかったです。


お誕生日ですが、優しい、わくがみサンに、とってもよくして頂きました。
のはらサンに書いて頂いた、
まったく、いちゃりばちょーでーです。

いっぺー、にふぇーでーびる。
今後とも、ゆたしくうにげーさびら。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2011年08月22日 07:42


(有)ちゅらさん、はいさい、今日(ちゅー)拝(うが)なびら。

ありがとうございます。
自分の誕生日を、あやうく忘れるところでした(笑)。
みなさんに、お祝いして頂いて、感謝です。
フェイスブックの威力は、スゴイですねぇ。

チバって、これからの一年、有意義に過ごそうと、心新たにしているところです。
(有)ちゅらさんもまた、お仕事のますますの御発展をお祈り致します。
では。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2011年08月22日 07:35


今日は
ありがとうございました(^^)
突然の初ご対面で
ビックリしました(><)
しおり・・・気に入っていただいたので
嬉しいです(^^)

お誕生日会の様子が
とても楽しい時間だったようですね
改めて
おめでとうございます(^^)
Posted by のはら恵子のはら恵子 at 2011年08月22日 00:20


こんにちは お誕生日おめでとうございます。
私も直美さんのブログで知りました
これからの1年楽しく過ごせますよう祈ってます。
Posted by (有)ちゅらさん(有)ちゅらさん at 2011年08月21日 16:11


ケンさん、トミさん、はいさい、今日(ちゅー)拝(うが)なびら。

したたか、いっぺー、にふぇーでーびる。

いよいよ、大震災の土地での、本当のボランティア活動、近づいてきましたねぇ~。

ケンさん、トミさん、そして、ケントミを支えるみなさん、チバりよ~!
きっと、東北の人達は、デージ喜ぶんだハズよ~!(涙)

沖縄からの親善大使として、頑張ってきて、くださいねぇ~。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2011年08月21日 01:39


ハイサーイ

tishiさん 多運星美なんですね~!
直美さんのブログで知りました!

おめでとうございます。
toshiさんの お母様も おめでとうございます。

toshiさんを 生んでくれて ありがとう!
Posted by ケントミケントミ at 2011年08月20日 22:57


骨格調整ビーイングさん、はいさい、今日拝なびら。

にふぇーでーびる。

あれれれ?
僕の誕生日、バレてる?
顔も?

誕生日であるわけさぁ、だっからよぉ~、なんでかねぇ~?

●永遠に責任逃れも可能、藤木勇人の沖縄三大無責任言葉、正しい使い方編より●

息子「かーちゃん、俺の車にキズがついてるけど」
母「だからよぉ~」
息子「だからよって、昨日俺の車、借りて乗って行ったの、かーちゃんさぁ~」
母「であるわけさぁ~」
息子「と言う事は、犯人はかーちゃんさぁ~。なんで車にキズつけたわけぇ~」
母「なんでかねぇ~」
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2011年08月20日 12:27


toshiさん誕生日おめでとうございます!
写真からしてかなり若相な顔立ちですね。
先日、僕はなちぶさ~で祝ってもらいましたよ。

僕は今年の初め、引き寄せの法則でイメージを作り上げました。
「今年は自分の人生に大きなインパクトを与え、共に真の人生を楽しめる仲間と出会える年になる!」と。
現在進行形で多くの仲間が集いつつあります。一緒に楽しみましょう!
Posted by 骨格調整ビーイング at 2011年08月20日 09:16


楽書字遊人西口先生、はいさい、今日拝なびら。

にふぇーでーびる。

僕の人生がこれからという感じは、個人的にはないんです。

モットーとか、目標というのも、もっていません。
ただひたすら、もくもくと学問あるのみという感じでしょうか。

西口先生が、僕の人生のライバルですか?
それは、無理です~。
そもそも、人生のライバルなんて僕は考えもしませんし、設定もしません。

ひたむきに、少しでも学んで近づきたい人なら、山ほどいます。
例えば、森鷗外、紀貫之、清少納言、ゲーテ、ユゴー・・・・・・、
やっぱり多すぎて、無理です(笑)。

宇治拾遺物語にある話ですが、
どんなに美人でも、いい男でも、財産の有無や名声があっても、
死んでしまえばガイコツです。

食べて寝る繰り返しだけの生活に埋没するのは、何となく嫌なので、
せめて、生きている間に、少しでも有意義に生活して、
ひたむきに、学問研究に向かって、
あと少しでも多く本を読めれば、僕はそれで充分です。
それから、真の友と、愛すべき女性は、求めたいものですが、こればっかりは。

誕生日のお祝いの言葉、チムでしっかり受け止めました。感謝。
行逢り場、兄弟(いちゃりば、ちょおでぇ)。
チバッていきましょう~。
再見!
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2011年08月19日 22:52


toshiさん

少し早目ですが

多運星美 おめでとうございます。

人生これからですね。

僕が

人生半ば夢半ばをモットーにしています

お互いに人生のライバルとして恵流を贈ります
Posted by 楽書字遊人楽書字遊人 at 2011年08月19日 21:56


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