喜念権現 ~琉球沖縄の伝説

2011年08月22日

Posted by 横浜のトシ(爲井) at 22:00│Comments(0)琉球沖縄の伝説・奄美編

みんなで楽しもう!
~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第181話。


喜念権現(きねんごんげん)/(※新田神社(にったじんじゃ))



 むかし(むかし)の、徳之島(とくのしま)のお(はなし)です。
 この()(もの)とも(おも)えぬ(ほど)、それはそれは(うつく)しい乙女(おとめ)がいたそうです。その(うわさ)()いた(むら)(わか)男達(おとこたち)は、(なん)とかその姿(すがた)一目(ひとめ)()ようとしたものの、(むすめ)(ひと)()られるのを大層(たいそう)(いや)がる()ずかしがり()だったため、ひっそり(しず)かに()らしながら、(まった)人前(ひとまえ)()(こと)がありませんでした。ですから誰一人(だれひとり)として、まともにその(むすめ)(かお)()(こと)がありませんでした。
 ある()のこと、その美女(びじょ)戸口(とぐち)で、(しず)かに(すす)()いていました。(あね)(わけ)(たず)ねたところ、(おと)(もの)見付(みつ)からないと()います。そこで、姉妹(しまい)一緒(いっしょ)になって(にわ)(さが)していると、物陰(ものかげ)(ひそ)んで(かく)れていた若者(わかもの)()()して()て、大声(おおごえ)()げながら、(ほこ)らしげに(わら)って()(こと)には、
 「(つい)にお(まえ)(かお)()てやったぞ。」と。
 (あま)りに突然(とつぜん)出来事(できごと)に、清純(せいじゅん)なその乙女(おとめ)(こころ)(ひど)()れてしまい、そのまま山奥(やまおく)洞窟(どうくつ)()(ひそ)め、そのまま喜念権現(きねんごんげん)(かみ)になってしまったそうな。



 
※この話の参考とした話
奄美・鹿児島県大島郡伊仙町喜念~『伊仙町誌』
奄美・鹿児島県大島郡伊仙町喜念~「徳之島採集手帳」22
同上~『詩と花の徳之島徳之島人物誌』


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●伝承地
奄美・鹿児島県大島郡伊仙町喜念~昔、世にも美しい娘がいた。村の若者たちは何とかしてその姿を一目みようとするが、娘はどういうわけか人に顔を見られるのを嫌って全然外に出ることもなく、だれ一人としてまともにその娘の顔を見たことはなかった。ある日この美女が戸口ですすり泣きをしているので、その姉が、わけをたずねると、何か落したがそれが見つからないという。姉妹が一緒になって庭を探していると、ものかげにかくれていた青年の一人が、「見たぞ、見たぞ」と誇らしげに大声をあげて飛びだした。彼女は、「しまった」と失望落胆してとうとう山奥の洞窟の中に身をかくし、そのまま喜念権現の神となってしまった。(『伊仙町誌』)
奄美・鹿児島県大島郡伊仙町喜念~昔、喜念に島一番といわれる美女がいた。この美人は他人に顔をみせることはなかった。一人の若ものがこの美人の妹をそそのかして、戸口で泣かせた。その美人の姉が泣く理由をたずねると、床下に大切なものを落したとのことであった。姉が妹とともに出てきたので、垣根から若ものが美女をみたと叫びながら逃げ去った。美人はそのまま喜念権現の岩穴深く姿を隠して再び出てくることはなかったという。(「徳之島採集手帳」22)
同上~喜念にサンジョウという絶世の美人がいた。薩摩の代官が島妻にと望んだが、サンジョウは権現の山の洞穴に入り自殺した。人々が参拝するようになった。(『詩と花の徳之島徳之島人物誌』)


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