ゲーン、サン、サングヮー、ヨーカビー、シバサシとは

横浜のトシ

2019年07月12日 08:20

「ゲーン」と、
「サン」と
「サングヮー」、
そして、
「ヨーカビー」、
「シバサシ」の違い。


「ヨーカビー」や「シバサシ」等は行事の一つです。
特に、
旧暦の8月は、
マジムンや妖怪などの活動期で、
それに対する行事です。

その他3つは、
魔除け目的に作る物、道具です。


【魔除け/3つの区別】

大きいススキ1本で作るのが「サン」。
その携帯用で、
葉で作る小型の物が「サン(グヮー)」。
3本まとめて作るのが「ゲーン」です。

以上からわかる通り、
ゲーンが、
どれよりも魔除け効果が高いとされます。

「ゲーン」「サン」「サングヮー」には、
基本的に共通した「結び方」があります。

なお、ススキがよく使われる理由ですが、
葉に殺菌作用があり、
また、土壌を良くする性質があるためです。
イトバショウなども使われるものの、
ススキが最適なのには、
そんな理由があるわけです。
(※殺菌作用は科学的にも証明されていますが、とれたて、つまり生の状態が強く、永遠には続きません。常温のススキはある程度殺菌作用が続く一方で、それを過ぎると悪い菌が発生する事がわかっています。作り置きは極力避け、何日も使い続けないよう新鮮な物に替えましょう。)

「サン」は、
事故や病気といった不幸を呼ぶ、
マジムンや悪霊といった(たぐ)いを、
寄せつけないようにする魔除(まよ)けです。
シバサシなどの行事で、
家の軒先や玄関や門、
特に、家の東西南北の四隅に置いて、
魔除けとします。

外出時、マジムンから身を守るためには、
小さいサングヮーを持ち歩きます。
「サングヮー」には他に、
食べ物が腐らないようにする、
殺菌作用があるため、
よく食べ物にも、そえられます。

「ゲーン」は「サン」より魔除け効果がより強く、
神木である桑の小枝と一緒に結びます。
「ヨーカビー」や「シバサシ」等の行事、
特に、妖怪や悪霊祓いの要素が強い御願(うがん)ほど、
「ゲーン」や「サン」は定番になります。
それらには、
マジムンや悪霊や疫病を、
追い払う強い力があると、
昔から信じられてきました。

「ヨーカビー」が妖怪対策、
「シバサシ」が幽霊対策の行事、
という考え方もあります。

旧暦八月九日~十一日のシバサシは、
妖怪や幽霊、
つまり魔物の類に対する物忌み行事です。
家に結界を張るのが、
「シバサシ(柴差し)」行事です。

時期が重なる、
旧暦八月八日~十一日ヨーカビーは、
多くの家でその行事の必要はないものの、
しなければならない家があるとされます。
その家では悪霊祓いの拝みの行事が、
行われます。

まず集落や家が見渡せる高台に登って、
火の玉が上がる家を確認するところから、
この行事は始まります。
魂が上がった家では、
悪霊祓いの拝みを行うのが習わし。
理由は、
火の玉が上がった家では、
三年以内に家族に死者が出るという、
言い伝えがあるためで、
それを忌避するための行事であるわけです。

なお、
火の玉が上がらない多くの家は、
お供え物や拝みの必要はありません。

特に昔から、
魂など上がっていないのに、
妖怪などいないのに、
心の弱い人がつけこまれ、
騙される人が多いのも、
沖縄の特徴、
気を付けたいところです。

見分け方ですが、
対するのは、
悪いマジムン・妖怪や幽霊です。
それらに対する深い知識理解があり、
きちんとした対応が出来る者しか、
対応できません。

理解不足や能力不足、
そして浅知恵や嘘では、
人は騙せても、
悪い妖怪や幽霊に対抗は、
出来る訳がありませんから。

一方で、
先祖から伝わった風習は、
誰にでも、自分たちでも、
できるわけですから、
正しい伝統や知識は大切にし、
ぜひ子孫に伝えて行くべきだと、
個人的には考えます。

では。



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