最新・琉球沖縄の「もののけ」たち
~妖怪幽霊・大集合/総集編~
(2023.2改訂版) 50音順
アーマンチュー
アマンチュー参照。
アカウニ
八重山諸島、特に西表島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
アカカナザー
アカカナジャー参照。
アカカナジャー
妖怪。アカカナジャーとは「赤い髪」という意の伊平屋島(沖縄最の有人島北端。無人島最北端は徳之島沖の硫黄鳥島)の方言。伊平屋島でのキジムナーの呼び名といえるが、キジムナー発祥の地は、伊平屋島に隣接する野甫島の海岸に隣接する岩のジューマの巣と言われ、そこでは家族で住むフィーフィーという名の妖怪であった(※そのため住居はフィーフィーガマと呼ばれる。フィーフィーは伊平屋島でもその名が使われた可能性がある古い呼び名)。伊平屋島ではアカカナジャーを古くはフィーフィーと言ったと伝えられ、どちらもたくさんいたという複数形の話も多い。野甫島のフィーフィーが、伊平屋島のアカカナジャー隣、沖縄本島の奥武山に移動して(※その当時の奥武山は川に浮かぶ島)、 単体(※1匹)になって、そこから琉球全域に広がったのではないだろうかと推測できる。キジムナー参照。
アカカラジャー
アカカナジャー参照。
アカガンター
妖怪。赤い髪の毛をお河童にした、童子のような格好をした妖怪。赤い衣を着ている場合もある。古い家の広間などに現れて、枕返しをしたり、寝ている人を押さえつけたりする。姿や習性が似ていることから、精霊のキジムナーの仲間、もしくはキジムナーの別名ともされる。座敷童子と同じ種類の琉球沖縄の妖怪で、家の中での悪戯したり、枕返ししたり、人を金縛りにするのが共通の性質。家運に関係する事も少なくない。韓国の済州島のトチェビ等も似た性質。キジムナー参照。
アカガンターワラバー
アカガンターのこと。アカガンター参照。
アカガンターワラビ
アカガンター参照。
アカグヮーマジムン
アカングヮーマジムン参照。
アカジラー
キジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
アカジラグヮー
久米島仲里でのキジムナーのような妖怪。カーカプロー、キジムナー参照。
アカナー
月の精。月の神。昔話や童謡に出てくる子どもの名。その名には赤い顔という意が。むかし、正直者のアカナーと、ずる賢い猿がいた。2人の庭に、桃の木があった。桃を独り占めしたい猿は、悪巧みし、負けた方が勝った者に殺される条件で、桃を売る競争をしかけた。断れなかったアカナーは、熟さない実を売らされ、猿は熟れた実を売った。夜になった帰り道、アカナーは、夜空に輝く月を見上げて、涙ながらにこう祈った。「お月様、僕は殺されたくありません、助けてください」と。すると、それを可哀想に思ったお月様が、空から籠を下ろし、天の世界へと引き上げてくださった。それ以来、アカナーは、月で暮らすようになったという。琉球沖縄では、月の中の影はずっと、兎が餅をついているのではなく、桶を持ったアカナーの姿だとされてきた。
アカブチャーグヮー
久米島仲里でのキジムナーのような妖怪。カーカプロー、キジムナー参照。
アカブサー
妖怪。アカブサーとは、赤い髪の魔物の意。島尻郡伊平屋村伊是名(※歴史上の長きに渡り、伊平屋島と伊是名島に区別はなく、周囲を含めて島尻郡伊平屋村であり、伊平屋と呼ばれた)に、2つの話が伝わる。漁が上手なアカブサーは、魚の目玉だけを食べ、友だちになると魚がもらえるという。ある人が、嫌いなタコでアカブサーを追い払ったところ、一つの話では自分の子どもたちの目がくり抜かれ、一つの話では家を焼かれてしまう。(※沖縄県立図書館で調べたところ、『日本昔話通観』によると、「沖縄民族8、p28」と、「沖縄民族21、p69」にある。これもキジムナーといえる。本来、地域地域でキジムナーの呼び名が異なり、共通が多い半面、微妙に異なっている部分があったりする、その例。)。特に、伊是名島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
アカマタ
神。沖縄各地で行われる豊年祭に登場する神。石垣島宮良の豊年祭に登場する2柱の神の場合や、発祥とされる西表島の古見の場合は、クロマタ(ー)が親神で、アカマタ(ー)とシロマタ(ー)が子神である。シロマタ、クロマタも参照。
アカマター
妖怪。動物の怪。アカマターとは山原地方に多い毒をもたない無害の蛇で、ナミヘビ科の斑蛇 の名。八重山諸島から、沖縄本島では谷茶、国頭、今帰仁 、羽地村田井、名護、中頭郡西原村我謝、那覇泉崎はじめ、琉球沖縄の広い地域でアカマターの話は語り継がれる。民話でのアカマターは、若く麗しい漁師や美女に化け、女性や青年を、言葉巧みに騙して誘惑し、時には子どもを(たくさん)産ませ、人を殺す場合もある。アカマターが人を誘惑する時、尻尾で文字を書くということは有名。沖縄本島第2の都市、名護の東江と城戸との境にあるアナダ橋の袂に、鬱蒼としたガジュマルの大木があった(※今も橋のすぐ近くに有名な名護の大ガジュマルがあるが、話のそれであるかは、今となっては分からない)。ある人が、そこで挙動不審の若い女性を見つけたが、よく見ると、足もとでアカマターがしきりに尻尾を振って文字を書いている。女は、ここで美男子と待ち合わせをしているのだと言って、にこにこ笑っている。その人は女を家に連れていき、再びひとりでガジュマルの木まで戻って、アカマターが書いた文字を消した。するとその瞬間に、女は正気に戻ったが、なぜ知らない人の家にいるのかわからなかったという話が伝わっている。羽地村仲尾次には蛇婿に似た話が伝わる。「3月3日浜下り」起源説話のアカマターもまた、よく知られている。他に多い話が、アマターが美青年に化け、娘の所に夜な夜な訪れる話。そして美青年の着物に糸を縫い付け、昼間、その糸を辿っていくと洞穴の中まで糸は続き、結果、美青年はアカマター(蛇)だとわかった、という内容の似た話があちこちに伝わる。その後、娘はアカマターの子を産んだり、流産するなど色々。
アカングヮーマジムン
妖怪。赤ん坊の死んだ幽霊や死霊の妖怪。四つん這いになって人の股間を潜ろうとする。これに股を潜られると魂が取られて死んでしまうという。「マジムン」の一種。「アカングヮー」は「赤ん坊」、「マジムン」は「魔物」の意。股を潜られた人が死んでしまう妖怪は、特に奄美大島や徳之島はじめとする南西諸島一帯によく見られ、子豚の妖怪がその代表といえる。女性の貞操教育の意があったのではないかと個人的には考えている。赤ん坊は人間なので幽霊ではないかとも考えられなくはないが、これは赤ん坊の形をした妖怪。マジムン参照。
アカングヮユー
人魚。ジュゴン。上半身が幼い赤子のような人魚。大津波を知らせる。
アコークロー
ユサンリとも。時間帯を指し、まだほんの少し明るい夕暮れ時の、日が沈んで暗くなりきる頃をいう。西の地平線状には、ぎりぎり夕日の残照が残っていて上空に向け光が少し出ている状態で、そこから空の色はだんだん青みがかっていって、東の空は真っ暗である、その状態とその時間帯と指す。マジムン(魔物)が出没し始める時刻。
アヒラーマジムン
アフィラーマジムン参照。
アフィラーマジムン
家鴨マジムン。妖怪。動物の怪。家鴨の妖怪 、変化。マジムンの一種。これに股をくぐられると死んでしまう。沖縄本島読谷村の読谷高校の運動場周辺は、かつては寂しい谷底で、アフィラーマジムンがよく現れたという。ある畑人(※農民の意)が石を投げつけたところ、たくさんの螢になって畑人の周囲を飛び回った。間も無く一番鶏が鳴くとその声と共に消え去ったという。他に旧日本軍の軍服を着て日の丸の鉢巻きの一匹の家鴨に追いかけられ、気付くといつの間にか消えていた話が那覇にあり、それは日本兵に食べられ骨が投げ捨てられた家鴨の妖怪だという。マジムン参照。
アマオナグ
アモレオナグ参照。
(アマサンチュウ)
運が悪い人、運の弱い人。(※よってここに入れるべきではないかも知れないが記載しておく。)
奄美大島に隣接する加計呂麻島薩川でアマサンチュウと言う呼び方があるが、幽霊や妖怪ではなく人間。加計呂麻島薩川では、コーマブルシャンチュウ(※霊感が強い人)には幽霊が見えるといい、そしてアマサンチュウは幽霊に体を害されている事が多いという。ちなみに幽霊の色は青や黒で、人の形をしているが足は無く、空中を飛ぶように歩くという。
アマミキヨ
アマンチュー参照。
アマミク
アマンチュー参照。
アマミコ
アマンチュー参照。
アマンチュー
神。阿摩美津。「天の人」という意。琉球沖縄の創成神とされる。大むかし、天と地は境い目がなくて一つであったため、人は蛙のように這って生きていた。それを見かねたアマンチューは、両手両足に力を込め、一気に天を押し上げた。天と地の境をつくったお陰で、それから人間は立って歩けるようになったという神話。またある時、アマンチューは天秤棒に、太陽と月を担いで遊んでいた。その時に棒が折れて、太陽と月はそれぞれ遠く離れた場所に落ちてしまった。悲しんだ彼が涙を流すと、涙川という川になったという。来訪神としての「天の人」は、一説にはアマミキヨを語源にもつとされている。同じような話は、熊本のアマンシャグマの巨人の話に類似。
アムログオナグ
奄美大島地方の妖怪。または霊魂。海に入って死んだ者の霊で、青い火を持って歩き回るという。本来は、天から降りてくる天女だったが、海で死んだ者の死霊という意味になったのは他の妖怪との混同ともいわれる。アムログオナグは、アモレオナグともいう。アモレオナグ参照。
アメカイユウレイ
飴買い幽霊。幽霊。飴買い幽霊の話は、日本全国に伝わる。那覇の「七つ墓」にまつわる話に出てくる幽霊。しとしと雨が降る夕刻のこと、那覇市牧志の十貫瀬にあった飴屋が店じまいしようとすると、白装束の女が現れて飴を買い求めた。翌朝、店主が前日の売り上げを調べていると、お金の中にウチカビが紛れ込んでいた。その日の夕方にも女は現れて飴を買い求め、主人は代金を受け取ったが、女がいなくなるや否やお金はウチカビに変わっていた。翌日、主人はこの事を知り合いの坊主に相談したところ、その女は幽霊に違いないから、今晩、飴を買いに来たら、こっそり後をつけなさいと言われてその通りにする。つけて行くと女は、かつては海岸だった、岩場にある小さな「七つ墓」と呼ばれれる、たくさんのお墓がある場所ですっとかき消すように消えてしまった。消えた辺りに主人が行ってみると、赤ん坊の泣き声が一つの中から聞こえてきた。墓の蓋を開けてみると、白装束の腐乱した女性の脇に、生まれたての赤子が泣いていた。そして赤子の口元には、今まで売った飴がいくつもあったという伝説。
アモレオグナ
アモレオナグ参照。
アモレオナグ
神。アモレオナグは、奄美大島などでの天から降りてくる女、天女の呼び名。「天降女・天降女子、阿母礼女、安室(神)、天下り女、天の女、天女、アマオナグ、アモロオナグ」等々と表記される。また、ハゴロモマンジョとも言われ、羽衣伝説の天女と似た話が古くから琉球全域に伝わり、様々な話に変わって後世に語り継がれてきた。その一方で、奄美地方などの天女や羽衣美女の中には、天から男を求めてやってくる妖女の話もあるのが特徴的で、その場合、白い風呂敷包みを背負って天から降りて来て、泉や村境の辻などに出没する。なお、どんなに天気が良い日でも必ず小雨が降る。そして、男を見ると、行って着物の左をまくり上げ下裳を覗かせて、相手に逆らいがたい強力な色気で艶かしく迫る。この誘惑に負けた男は命を取られてしまう。また、水が入った柄杓を持っている場合、その水を飲むと命を取られマブイを天上に持っていかれるので、決して飲んではいけないという。ただし、柄杓を持つ掌が上を向いていて柄を支えるようにしている場合は、その水を飲んでも大丈夫とされる。艶やかに色っぽいアモレオナグが近づいてきた時の対処法は、じっと睨みつけ、根負けさせることが、唯一、助かる道だという。また他の話では、自分の素性を口外しない約束で男と結婚して子供が産まれるが、男は子どもの母がアモレヲナグである事を村人に話してしまい、アモレヲナグは怒って男の命を奪う話もあれば、鬱蒼と茂る樹木に覆われた渓谷の淵や滝壺の水溜まり水浴する天女で、人に危害を加えることはない話の場合もある。天降女が家に来る怪、天降女子を山の怪とする場合もある。奄美大島の山のマイナムン。
アモロウナグ
アモレオナグ参照。
アモロオナグ
アモレオナグ参照。
イエジマハンドーグヮー
イエジマハンドゥグヮー参照。
イエジマハンドゥグヮー
ハンドゥグヮー参照。
イキマブイ
イキマブリ参照。
イキマブリ
妖怪。霊魂。奄美大島の怪異。生き魂。生霊、生き霊。生きたままの姿で、霊が歩き回ること。イキマブイ、イチジャマとも。イチジャマ参照。琉球沖縄では、マブリやマブイは魂のこと。マブイ参照。
イシャトウ
奄美の与論島だけにいる妖怪「ハタパギ」は「イシャトウ」ともいう。ハタパギ参照
イジュガマクグヮーノイネンビ
伊集ガマク小の遺念火。イネンビ参照。
イチジャマ
霊魂。生邪魔。生霊、生き霊。また、呪法、呪法を行う者、またその家筋等を指す。他人に取り憑き害をなす邪術、その使い手をいう。使い手は、非社交的、嫉妬深い、強欲といった特徴がある。主に女性が多いものの、男系•女系とも遺伝しやすいため通婚を忌んだ。憎い相手にイチジャマを憑けて苦しめることができる。イチジャマを行う者は、イチジャマブトキイというものを持っていて、それに祈って相手にイチジャマを憑けるという。憎いと思っただけで、憑けることができる者もいるという。イチジャマは土人形を刺して嫌いな人間の体を痛めつけたり、憎んだだけで人を病にできる。イチジャマに憑かれると病気になる。その場合、神職者や巫女などに祈祷してもらうのが有効で、その際、病人の親指を縛って釘を打つ真似をすることにより、イチジャマを相手に送り返すことが可能。なおイチジャマは、人間だけに限らず家畜にも憑く。石垣で1676年、ある女がイチジャマを使って他の女を果てさせたと告発され、評定所はその女を死刑に処した。また名護では、ある娘が咳をしてイチジャマヤシキの側を通ったため、その家のイチジャマの女に見つかって頭痛になった。アンキングヮ(※脈を取る人)がウシヌキウガン(※除災の儀式)をしたところ治った。イチジャマは主に女性だが男性にもいて、特にイチジャマの体質は遺伝されやすいため、その男系・女系の通婚を忌んだ。マブイ参照。
イチマブイ
霊魂。イチジャマとも。沖縄県中頭郡でいう怪異。マブイには、「イチマブイ」と、「シニマブイ」とがある。「イチマブイ」は、生きている人の霊魂=生霊のこと。「シニマブイ」は、死んで間もない人の霊魂のこと。危篤の人の霊魂が、墓場に行く場合がよくある。その際に、マブイが顔を被っている場合は、肉体に霊魂を戻すことができる。しかしながら、もし笑っている場合は、諦めるしかないという。イチマブイには、離脱性があり、心理的ショックで、霊魂が身体から抜け落ちてしまうことがある。また、抜け落ちやすい場所があるともいわれる。琉球沖縄では、とても驚いた時の言い回しに「魂脱ぎたん」というのがあり、本土の「おったまげた」は「魂が抜けた」の語源と思われる。魂脱した人の特徴は、焦点が定まらない虚ろな目をし、微熱が続いて、ぼけっとしている。日頃からトゥルバヤーの場合、なかなか見分けがつかないので、よほど注意して観察しないと判別が難しいという。抜け落ちたイチマブイは、いつまでも放っておいてはいけない。いち早く身体に戻すため、抜け落ちた場所で「マブイグミ」の儀礼を行うが、特に神職者や呪術師のような特別な人である必要はない。なお琉球沖縄では、気をつけているとわりにマブイグミはよく見かける。その際の呪文は色々あり、地域差もある。一例をあげておくと、「マブヤー、マブヤー、ウーティキミソーリー(※魂よ、魂よ、どうぞ追って来て下さい)」などと唱えながら、マブイを落とした場所で落ちたマブイを拾い、あるべき所(※なお、マブイの出入り口は、背中の上部、首の下のほう)に戻す仕草をする。落としてから時間が経って戻らない場合には、自宅の便所の神にお願いして、マブイが戻るのをお願いするがのが一般的だが、それでも駄目な時には最終手段として、伊平屋島のクマヤ洞窟でマブイグミをする。マブイグミはかつて、地域を治める巫女であり神人であった祝女という神職者に頼む事が多かったようだが、また集落や家族の年長者の女性がごく自然に日常の中で行っていた行為。マブイの数には地域差があり、3つ・5つ・7つなど色々。マブイ参照。
イッシャ
奄美の徳之島の妖怪。母間集落の周辺では、夜になると犬田布岳から異様な小人、イッシャが降りてくるという。破れ傘をさし、短い蓑を着て、片足でひょこひょこ飛ぶように走り、人に出会うと「お前は誰だ」と質問する。そんな場合の対応策は、とうもろこしなどを尻尾のように振って見せ、イッシャの姿を真似ると、イッシャに自分の仲間と信じ込ませる事が出来るとされる。また、上手におだてると、気をよくして、色々と仕事を手伝ってくれる。漁の手伝いの場合は、豊漁になる。ただイッシャが食べてしまうので魚はすべて片目がない。イッシャにとって人を誑かすのは朝飯前で、何日も山中を彷徨わせたり、海辺に連れ出して海水を飲ませたり悪戯をする。魚の片目だけを食べる特徴から、沖縄本島のキジムナーや、特に奄美のケンムンと同種でありあがら違う妖怪といえる。
イッチョイグワー
沖縄本島中部、勝連半島と周辺の離島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
イトマンキジムナー
キーヌキジムナー参照。
イナフクバア
怪異。沖縄本島の西原間切の棚原に、稲福婆という祝女がいた。他の祝女と一緒に上ヌ嶽で祭事を執り行っていた時に、忽然と神隠しにあった。それから数年後、我謝村の鍛冶屋大主という者が船を出して沖で釣りをしていて、海面に、得体が知れぬモノを見つけた。それは頭髪が抜けて禿頭の、全身にフジツボや貝殻や海藻などが付いた老婆だったが、息があったため岸まで連れていって介抱した。瞬く間に、その話は広がって、一目見ようと人々が集まってきた。やがて稲福婆が語れるようになると、上ヌ嶽から、自分ではわけのわからないうちに海の底のギライカナイ(※古くはニルヤカナヤ、近年はニライカナイとも)に飛ばされて、貝ばかり食べさせられているうちに、体じゅうから貝殻が生えてきた話などをした。話を聞いて人々はそれから、稲福婆をギライバアと呼ぶようになったという。やがて噂は首里城にまで伝わって王の耳に入り、登城するようにと命が下りた。首里城の城門まで来た稲福婆は、両手を両脇に挟んだかと思うまもなく、そのままそこで跡形もなく消えてしまった。あわてて行方を探したところ、上ヌ嶽で蹲っている稲福婆が発見された。それから稲福婆はその当時としてはかなりの長生きして八十歳嫌いで息を引き取ったという。
イナボーマジューヌ
八重山諸島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
イニンビ
イネンビ参照。
イニンビー
イネンビ参照。また、沖縄本島南部の東海岸地域のキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
イヌガミ
インガメ参照。
イネクイシーサー
神。神の使者。浦添の天徳山龍福寺(もとは浦添の極楽寺)の仏殿の獅子木像があった。知恵の文珠観音が、右手に知恵の剣、左手に蓮華の花を持ち、このシーサーに乗っていた。夜になると寺を抜け出し、稲の穂を盗んで食べていたが、それはこの寺に寺田がなく獅子に供物を捧げなくなったためとわかり、首里王府は六畝の獅子田と呼ばれる田圃を寄進したところ、もう浦添の田に現れなくなった。それから何年かして、シーサーを修理することになった時、腹の中には稲穂の籾殻が入っていたという。
イネンビ
遺念火。火の怪。霊魂。怪火(※正体不明の炎の総称)。琉球沖縄では亡霊も遺念と呼ぶ。遺念が火となって一定の場所を往復するのが遺念火。遺念火にまつわるほとんどが、色恋のもつれから非業の死を遂げた男女の霊の話。男女2つの霊の火が連れ立って現れる場合もあり、最も有名な話は、首里の南、「識名坂の遺念火」の悲劇が最もよく知られているが、ほかに「謝苅坂の遺念火」、「大道松原の遺念火」、「川平良井戸の遺念火」、「ウフンガーラの遺念火」、宮古「カママミネの遺念火」、「伊集ガマク小の遺念火」はじめ、各所にたくさんの遺念火の話が伝わる。「識名坂の遺念火」の話は、識名に、大変に仲睦まじい夫婦がいた。妻は毎日、遅くまで首里の街で行商をしてよく働いていた。妻の帰りが遅くなったある日、妻を案じる夫は、識名坂から金城橋まで迎えに出た。ところが、かねてから夫婦の仲がよいのを嫉妬する男がそこにやってきて、あなたの妻は首里で若い男と遊びほうけていると、夫に嘘を吹き込む。真に受けて怒った夫は、生き恥を晒すよりはと識名川に身を投げてしまう。やがて帰ってきた妻もそのことを知り、愛する夫を追って同じ場所に身を投げた。それ以来、識名坂の上から川の方へ、2つの火の玉がもつれ合いながら行き来するようになったという。なお、亡霊火と近年呼ばれるのは海上の怪火のことで、群れをなし、移動するという。遺念火の話には、ユクサーや悪い人には、くれぐれも気をつけるように、また賢い人になりなさいという先祖の戒めがこもっていると考えられる。なおユクサーとは、嘘つき、嘘吐き、平気で嘘を吹き込む人のこと。嘘に「er」が付いて人を表す。刀自待火参照。
イマジョ
幽霊。奄美大島の幽霊。阿鉄生まれとも小名瀬生まれとも言われれ、絶世の美女だったが、やがてヤンチュとなり、主人からの寵愛を受けたために夫人が嫉妬してイマジョに虐待を繰り返していた。助けを求めても誰も助けてくれず、イマジョはついにたまりかね逃げ出して山で首をくくって死んでしまう。イマジョがもしかしたら故郷に帰っているかも知れないと行方不明は実家にも伝えられたが、その間にイマジョの死体は発見されて主人の家の墓に葬られた。行方不明を聞いたイマジョの兄弟達が駆けつけたが、とき既に遅く、兄弟達はイマジョの遺体を故郷に持ち帰ると言ったが、主人はイマジョの虐待が露見するのを恐れて頑なに拒否した。それでも兄弟達はイマジョの遺体を掘り起こして故郷に連れ帰ったが、遺体に数知れず暴力を受け続けた跡を見た兄弟達は嘆き憤り、イマジョの髪を道の下に埋め、竹の棒を逆さに突き刺していったのだった。その後、イマジョの幽霊が出現し、恨みをはらすべく主人一家をたたったため、一家はじめ見て見ぬ振りをした人々は全て変死した。奄美の同じく美女で非業の死を遂げたカンッテメの話はカンツメ節となって広く話が広がったが、イマジョの話は民謡にならずに生々しく恐ろしい怪異談として伝わった。
インガマヤラウ
インガマ・ヤラウとも。宮古諸島伊良部島などでのキジムナーのような妖怪。インガマヤラウが住む所は次々に火をつけられ、岬、赤木の根元、アダンの幹、八重山へと逃げ住む所を移したもののその度に人々に焼かれた。報復としてインガマヤラウは木箱に悪性のマラリヤ菌を入れ人に送って全滅させたとも伝わる。キジムナー参照。
インガマヤラブ
インガマ・ヤラブとも。インガマヤラウ参照。
イングヮーマブイ
妖怪。犬の霊魂。「イングヮー」とは犬、「マブイ」は魂のため、犬の霊魂の意。沖縄本島本部間切の備瀬村桃原の男が、夜、上島のロンロン道とペンザン道が交わる三叉路で、野良犬に襲われた。犬を打ち殺したところ、黒い煙が犬を覆い尽くし、それは天に昇るやいなや、大空を埋め尽くすほどのおぞましい犬の怪物に姿を変えた。男は必死に家まで逃げ帰ったが、高熱を発し、魂が抜け殻のようになってそのまま亡くなった。その後、何人もの者が三叉路で野良犬の妖怪に襲われ、同じことがしばらく続いたという。
インガメ
霊魂。神。ほかの地方の犬神にあたるのがのインガメ。主に、農村地帯でいわれる憑き物。犬神には、突然人の体に憑く場合と、代々家系に憑く犬神持ちとがあり、狐憑きと同じような特徴がある。犬神に憑かれると様々な病気になるが、発作を起こすと犬の真似をするためそれと直ぐわかる。神職者や巫女などに頼んで、犬神を落としてもらう。犬神の由来は多く、様々。犬神を作り出す方法も色々とあるという。中国伝来の巫蠱術(※蠱道)の手法と酷似し、犬神は巫蠱術の影響を受けたものとされる。犬の霊を使う呪術もあるという。
インヌフィークーテアッチュン
インヌフィークーテアッチャン参照。
インヌフィークーテアッチャン
妖怪。沖縄本島中頭郡地方でいう怪異。火をくわえて歩く犬の妖怪で、名前そのまま。詳細不明。
インマーザァービ
妖怪。「夜間に海浜を過ぎる火」という意。下半身が真っ赤な姿で現れ、長い髪を垂らしているという。
インマホ
奄美大島の妖怪。霊魂。人が死ぬ直前に、マブイを取りにくるという。
インミャオ
奄美の妖怪。夜道で出会う、山羊とも犬ともいえない耳の大きな動物で、歩くとパチャパチャと、耳が体にあたる音が聞こえるという。これに出会っても、何か悪いことがあるわけではない。まったく無害の妖怪は珍しく、この妖怪が伝わってきた意図を想像すると実に楽しいと思う。(※ふりむんサンから、かつてご指摘頂いた通り、鹿児島県奄美大島瀬戸内町花徳となっている資料がある。しかし、奄美大島に「花徳」という集落はなく、徳之島町の旧東天城村地域の集落名にある。ネット上や多くの資料も同じように間違っていると思われる。一方で、奄美大島の瀬戸内町に似た地名もあるのでそこかも知れない。そもそも『季刊民話 通巻8号』(一声社) にて、話者である田畑ウヒルさんから、 奄美の民俗学研究者として有名な田畑英勝氏が聞き取った。田畑氏が地名を間違える事は考え難いため、恐らくその資料を、誰かが書き写しの際に間違え、それが誤って広まったと考えられる。なお『季刊民話 通巻8号』が見つからないため、確認できていない。)
ウイ
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の山のマイナムン。
ウサグヮ
ウサグワー参照。
ウサグワー
ウサ小。幽霊。怪異。首里の内金城に(※首里の金城には、昔、金城村と、その東の内金城村があった)士族の新垣里之子という男がいた。酷く貧乏で仲間から酷い扱いばかり受け苦労していたが、尾類(※遊女)のウサ小と恋に落ちた。ウサ小が身を挺して新垣の身の回りの世話をした甲斐あって、みごと新垣は科挙の試験に受かるが、受かるなり心変わりし、ウサ小を遠ざけてしまう。まもなくして新垣の結婚の噂を聞いたウサ小は、いてもたってもおられず会いに行き、初めて会った時と同様に、自分は尾類の身だから妻にして欲しいなと高望みはしないが、せめて側妾(※妾)にして自分をそばに置いてくれと懇願する。ところが新垣は大事な縁談のある身なのでと冷たくあしらい、その夜、ウサ小は井戸に身を投げ自殺してしまう。新垣は結婚したが、水を飲もうとすると血に変わり、夜には三つの淡い火の玉が自分の蚊帳のまわりを彷徨うようになり、肘で切断された腕が出現して自分に近づいてきたため気を失い、精神錯乱の後、ついに悶死する。
ウシマジムン
妖怪。動物の怪。牛の変化。牛マジムン。沖縄本島の読谷村地域では、大きな真っ黒の牛のようなマジムンとされ、牛が化けたモノなのではなく、牛に化けたモノ。島尻地方では棺桶を入れる籠が牛に化けたものと言われてきた。夜道で襲ってくるという。「マジムン」の一種。ある時、男がウシマジムンと出会い、組み合って、その角を折ったが、とり逃がしてしまった。翌朝、その角を見てみると、死者の棺桶の飾りになっていたという。また他の話では、空手の名人が、夜遅くに突進してきた赤牛と大格闘して両角をへし折って組み伏せたが、自分もすっかり疲れ果ててその場でそのまま倒れ込んで寝てしまったが、翌朝、起きて見てみると龕の両側に付けた鳥型の飾り物を握り締めていたという。
ウタンクビリ
地名。妖怪。怪異。奄美大島の知根を流れる川の奥にウタンクビリと呼ばれる、昼でも夜のように暗い渓谷がある。ここにはクランビャラほどのハブがいて、耳が生えていて、人などが近づくと耳を動かしながら「コーコー」と吠えるという。
ウトゥジャー
沖縄本島恩納村の真栄田を中心とした近辺でのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ウミフサガリ
姥。妖怪。怪異。精霊。奄美大島の海のマイナムン。
ウバ
海塞リ。姥。奄美大島の山のマイナムン。外観や性質は、熊本県周辺の妖怪山童•山と同じものと思われる。沖縄のキジムナー同様、河童と同系列の妖怪。山野で人を迷子にするなどの悪戯を働く妖怪。頭に水の入っている皿があり、これをたたき落とすと力を失う。同じく奄美大島の妖怪であるケンモン同様に、元々は人だったと考えられ、7歳と5歳の兄弟のうちの、兄がケンモン、弟がウバになったとも言われている。また、ウバはケンモンと別の妖怪ではなく、ケンモンの現れ方の一つがウバだとも言われる。いずれにせよ、ガワッパとケンモンとウバには混同が見られる。一方で、ウバはナガネなる地域を中心に山林一帯に生息すると言われ、その点でケンモンやガワッパの生息する場所と異なる(※部落から部落に通じる山路の峠辺りには大抵長根/長峰と呼ばれる地域があり、この名称は大抵の部落に共通で、赤土のトーミチ(山間の平坦路)のある地域をそう呼ぶ。たいてい硲があり、砂糖黍や色々な農作の耕地があって、水便の良い所には田もある)。ウバはケンモンより体が大きく、従ってケンモンほど敏捷ではない。顔は広く赤く、頭いっぱい毛だらけで顔におおいかぶさっている。山間の大木の間に棲み、雨が降る山中が小暗い時など、薪とりなどで人が通ると、小石や木片を投げ付けていたずらする。方言にウバガマチという語があり、これはウバのような頭髪の意であるが、女の子のオカッパのようで、頭髪に手入れをせずに乱頭蓬髪である。ウバは、頭髪が茫々と生えて眼まで覆い被さっていると信じられて来た。尚、髪を姥にするという意味の言い方も残っている。またこの島の山間には姥滝などという地名もあり、よくウバが出没する所とされている。ここから、ウバは山姥の上略語だろうと推測される。ウバに会った時は、生木ではなく、出来るだけ朽ちた木の棒で叩くのが良く、これは朽ちた木は折れやすいためである。ウバは木が折れるまで叩かれたと錯覚して降参するという。また、ウバには頭に皿のようなものがあり、これには力水が入っているため、この皿を叩き落とすと力を失って消滅するのは、一ッ目小僧の目に当たるとも。なお、部落により、あるいは同一部落内でも、年齢層により姥の話は色々と混同し、皿のあるのはケンモンだという人もいる。大石文七という人は、姥滝で真昼に出会ったという姥は、叩いたところパッと煙を立てて消失したという。ガワッパ、ケンモン参照。
ウバトウイ
奄美大島の音の怪異。山の怪。主に、山で起きる現象。しかし磯辺や浜で起きた場合もある。ひとりで山道を歩いていたところ、不意に後ろから、「ウイ(おい)」と声がする。足を止めて振り向いても誰もいない。ふたたび歩き出すと、また「ウイ」と声がする。これはウバの仕業とされる。宇婆と呼びかけの言葉「ウイ」で、「ウバトウイ」と呼ばれる。ウバ参照。
ウフドゥマツバラノイネンビ
ウフドウマツバラノイネンビ参照。
ウフドウマツバラノイネンビ
大道松原の遺念火。イネンビ参照。
ウフンガーラノイネンビ
ウフンガーラの遺念火。イネンビ参照。
ウミフサガリ
ウミフサギ参照。
ウミフサギ
奄美大島の海の怪異。海の怪。妖怪。海塞ぎ。海塞がり、とも。島影が見えない沖合いの海原で、舟を漕いで帰りを急いでいたところ、いつの間にか舟の前に山が現れて立ち塞がった。慌てずに目をつぶって念仏などを唱えていると消えるという。
ウヮーグヮーマジムン
妖怪。動物の怪。豚の変化。沖縄で夜道によく現れる豚の化け物、妖怪。しきりに人の股を潜ろうとし、潜られた人は魂を抜かれて死んでしまう。ウゥーグヮーマジムンは、男にも女にも化けることができる。なお、毛遊び(※夜の野原で、三線などを弾いて若い男女がカチャーシーを踊ったりして遊んだ)などで見知らぬ者が飛び入りした時は、人なのか豚の変化なのかを識別するために、「ウヮーンタ、グーグーンタ」と囃したてると、もしも豚の変化の場合は逃げ出すという。ただし過去には、そうして囃し立てられて追い出された若者が少なくなかったことが推測できる。娼婦のことを三小ナーともいうが、これは数十年を経た豚が美女に化け、皮の草履を履いて三貫で多くの若者と一夜を共にしたからという。草履を無理矢理脱がせたところ豚の爪だったので正体が分かったという。豚の妖怪は、男に化けて女を誘惑する場合もある。皮裏草履を履いて若い女を盛んに口説いたが、糞臭いのは何だろうと女に言われ、正体を見破られたと思った妖怪は、豚の姿に戻って姿を消したという。宜野湾我如古道では青年の姿に化けて出没。通り掛かった男と格闘になり豚の正体を現した。男は逃げたが、翌朝、待ち伏せされて殺される。なお豚は盲神であるため、豚小屋に唾を吐くと貧乏神になってしまうという。なお、豚小屋でなにか驚くと必ず魂が抜ける。また豚小屋に落ちたりすると、チマラーになる、ウマンズラー、石男などになるとも言われる。マジムンの一種。マジムン参照。
ウンサーガナシ
キジムナー参照。伊是名島、内花の呼び名。
ウンサービー
沖縄本島中部の勝連半島の平敷屋周辺などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ウンサガナシ
沖縄本島近くの伊是名島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ウンサグワー
沖縄本島中部、勝連半島と周辺の離島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
エギリドリ
妖怪。エギリ鳥。疫痢鳥。石垣島でいう怪鳥。夜に飛ぶ鳥で、上空を通過した場所では疫病が、流行ると言われる。
オーナチマヤー
青泣ち猫。バケネコ参照。
オオヤママヤーガマ
大山猫洞窟。ガマとは洞窟の意。バケネコ参照。
オカッパグワー
キジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
オカッパグヮー
キジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
オバケザカ
怪異。オ化ケ坂。久米島にある坂で、勾配を変えることにより、徒歩だと上り坂に見えるのに実際は下っているように、あるいは、下り坂に見えるのに実際は上っているように錯覚を起こす坂道。
カーカンロー
沖縄の妖怪。怪異。井戸に棲んでおり、子どもを井戸に引き入れてしまう。また、古井戸を覗き込んだ子どもが、水面に映った影をカーカンローに取られると、病気になってしまう。なお、沖縄方言で、「カー」は「井戸、川」など、「カンロー」は「子ども」という意。
カーカプロー
久米島仲里でのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
カーガリモー
沖縄本島中部や、中城村などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
カーテーラガーノイネンビ
川平良井戸の遺念火。イネンビ参照。
ガーナームイ
妖怪。ガーナー森。那覇の伝説の森。「ガーナー」は「たんこぶ」、「ムイ」は「森」の意。また、「鵞鳥」の意もあり「鵞鳥森/鵝森」という表記もある。かつて昔、ガーナー森は、那覇の奥武山から真玉橋あたりまでの、かつては深い入り江のある海だった漫湖に浮かぶ、盛り上がった瘤全体にこんもりと木々が生い茂る動く小島で、自ら意志をもって動き回る化け物だったという。そして、真玉橋へ行っては人を襲って食べたり、陸に上がって畑を荒らしたりと、やりたい放題に暴れていた。近隣の村人は困り果て、ついに土地の神に退治してくれるように祈った。土地の神はこの願いを聞き入れて、ガーナー森の尻尾の上に大きな岩を置いて動きを封じたところ、動けなくなったガーナー森は、そのままそこで力尽きたという。村人たちは再びガーナー森が暴れ出さないよう魔除けのシーサーを、森の側に安置したという。戦前まで奥武山の東の海中にあった、名勝の地としてよく知られていた小島だった。1719年(尚敬7)に渡来した、尚敬王の冊封副使であった徐葆光の言には、「奥武山の東に小尖阜(小さく尖った丘)あり。鶴頭山(ガーナー森)と名づく。(中略)那覇市近所第一の勝処(※景勝地)たり」とある。1800(尚温6)年に渡来した李鼎元もまた同様に景勝地として称賛。
カイギョ
妖怪。怪魚。動物の怪。美里間切古謝村に伝わる話だが、日本のあちこちに似た民話がある。塩焚きが、海に浮かんだ一尾の魚をとって帰った。すると、笊の中から「一波寄せるか、二波寄せるか、三波寄せるか」と、微かな声がする。塩焚きは不気味がって、海に魚を戻そうと浜に向かう。ちょうどその時、一人の無頼漢(※ならず者)が通りかかり、塩焚きから事情を聞いて嘲笑い、魚をもらって自分で料理した。食べようとしたまさにその時、大津波が襲って来た。
カイビ
怪火。妖怪。怪異。精霊。奄美大島の海のマイナムン。沖縄ほか日本各所に見られる。
カゲタマシ
亡霊。奄美大島の怪異。また霊魂を奄美ではカゲタマシと言う。
カゲダマシ
カゲタマシ参照。
ガジャヌヒャ
妖怪ではなく、山の大木に宿る神で、山の神(ダマヌカン)。ガジャヌヒャという男がウスガナシという男の妻を我がものとしようとしたが、妻の妖術により木の精(キディムヌ)にされてしまったと与那国島に伝わる
カゼ
奄美大島の怪異。道の怪。風邪神。墓道などで出会う。辺りに風もないのに生温かい風が体などをかすめて悪寒がし、家に帰って着物を脱いでみると、体のどこかに斑紋が出来ていて、間もなく高熱が出る。神職者や巫女に治してもらう。
カタアシピンザ
沖縄宮古島の妖怪。片足ピンザ。「ガングリ・ユマタ 片足ピンザの話」として、宮古では有名な山羊の妖怪。宮古島の方言で。山羊はピンザ、四辻(四つ角)がユマタ。 ガングリ(ガングル)は、このユマタ近くに棺桶小屋があったから、「ガングリ・ガングリ」という音を出してどこからともなく現れるから、歩く姿が「ガングリ・ガングリ」だからとも。頭上を飛び越えられたり、頭の上を跨がれると、死んだり、魂を抜かれたり、呪われるという。島の山羊の中に、人を見ると飛び越えるのが好きな、たいそう元気な山羊(がんずうピンザ)がおりました。ある時、着地に失敗して捻挫し、片足(三本足)でしか歩けなくなり、「片足ピンザ」といわれるようになりました。それ以来、夜になるとこの山羊がどこからともなく現れて人の頭上を飛び越え、飛び越えられた子どもは魂を抜かれるという噂が広がり、子どもたちは決してこの交差点を通らなくなったとも言われている。夜遊びしない教育ともとれる。
カタキラウヮ
奄美大島の妖怪。片耳豚。片身豚。影がない子豚の形をした妖怪で、しきりに人の股を潜ろうとする。これに潜られると、死んでしまうか、子どもをつくる器官が駄目にされて腑抜けになる。カタキラウヮに狙われた場合は、咄嗟に両足を踏み交わせば防げる。またその状態なら、潜られても痛手はない。出現地、出没時刻は、ほぼ決まっており、大抵、女性の一人歩きや二人連れの前によく出現。「ユマグレアキ(夕まぐれ歩き)」する頃に出ると言われ、妖怪が出るから危ないと戒められた。ミンキラウヮ、ユナワ参照。
ガダヌヒャ
ガジャヌヒャ参照。
カデモーサ
怪異。奄美の徳之島、徳之島町亀津の怪異。山中での怪音を言い、天狗倒しや天狗礫の類い。(※以下、田畑英勝『奄美物語』からの引用~「・・・・・・大風のようで、大木を倒す音がしたり、グワラグワラ牛に木を引かせる音がした。そんな時は、谷間には行かないで、峯になった所を行くとよい。迫ぐだりに神は通るからだ。しかし、見える人にしか見えない。自分は(田畑氏に語る人)一度、木を引く音を聞いたので、追いつこうとして追ってみたが、追いつけなかった。石を投げたり、石の落ちてくる音がしたりもする」。)
ガニクノバケマヤー
バケネコ参照。
ガネコノバケネコー
バケネコ参照。
カブロー
久米島仲里でのキジムナーのような妖怪。カーカプロー、キジムナー参照。
カママミネノイネンビ
宮古地方の、カママミネの遺念火。イネンビ参照。
カムラーマ
八重山諸島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
カムラグヮー
カムラーグヮ参照。
カムラーグヮ
妖怪。怪異。沖縄本島北部、本部町、今帰仁村、伊江島などでのキジムナーのような妖怪。カムラー小は20~30cmぐらいの小人。人の魂ともいわれている。形はスノーラと似ているが、人を害することはない。スノーラが誰でも見られるのに対し、カムラー小は普通の人は見ることが出来ない。またスノーラが海辺を歩くのに対し、カムラー小はおもに山を歩く。ただしセーマとはまた異なるという。キジムナー参照。
カムロ
妖怪。禿頭をした河童のような妖怪とも言われるが、この妖怪に関する話はもともと少ない。道の怪。 那覇と与那原の間にある一日橋で、よく踊りの音がした。近づいて川に引き込まれた人がいたという。これは「マ」の仕業だという。家にいる怪。カムローとも。井戸に住み、子どもが覗くと引き込む。なお古井戸を覗くと水面の影をカムローに取られ、その人は病弱になるという。
カムロー
カムロ参照。中城村でのキジムナーのような妖怪。
カムローグ
カムローグヮー参照。
カムローグワー
カムローグヮー参照。
カムローグヮー
沖縄本島北部、本部町、今帰仁村、名護市屋部地区安和、伊江島などでのキジムナーのような妖怪。カムラグヮー、キジムナー参照。
ガヤブヤ
ガヤプヤー参照。
ガヤプヤー
沖縄本島中部、金武町などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ガワカムロウ
水の怪。かつてはよく池などで人を引きずり込んだ。
ガワッパ
河童。奄美大島の妖怪。ガワッパは体が細く、異常に手が長く、雨が降って洪水がある時などは、必ず川尻に来て「厄かぶり」の人を川に引き込んで溺れさせる。また子どもなどが水門尻で浴びると尻を抜く事がある。その他の他所でガワッパについて語られる時は、ケンモンによく転嫁されている傾向がある。よって、ガワッパはケンモンと別の妖怪ではなく、ケンモンの現れ方の一つがガワッパだともいわれる。いずれにせよ、ガワッパとケンモンとウバには混同が見られる。一方で、ガワッパは主に奄美大島の、部落を貫いて流れる川のミナトジリ(水門尻)と、その上流ウッコー、あるいは、ウックンコー(※奥河あるいは御垢離河の意か。乃呂やユタはここで斎戒沐浴したと言われている)と呼ばれる深淵の辺りに生息すると言われ、その点でケンモンやウバの生息する場所と異なる。ウバ、ケンモン参照。
カワタロ
水蝹。「水蝹」は様々な読み方がある。奄美の妖怪。ケンモンの別名、ないしは似た妖怪。ケンモン参照。
ガワル
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の海のマイナムン。
ガラシヌクイナキ
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の村里のマイナムン。
カンチメ
カンッテメ参照。
カンッテメ
幽霊。奄美大島に伝わる、「岩加那」と「カンティミ(カンティメ、カンテメ、カンツメ等々)」という若い男女の悲恋物語。そこに登場する魂、あるいは幽霊。むかし、奄美大島には「ヤンチュ(※奄美独特の奴隷)」という制度があった。焼内間切名柄部落の、あるお金持ちの家に、隣りの村の須古から、カンティミという名の、たいそう美しい娘が、ヤンチュとして買われて来た。心立てがたいそう優しい上に、容姿端麗、眉目秀麗の娘だった。その頃、名柄部落とは、山一つ隔てた背中合せの場所に、久慈村(※現在の瀬戸内町)があり、そこの役場の筆子(※書記)を務めていた者に、岩加那(※岩加那は通称で、本名は岩太郎。「加那」は敬称)という名の青年がいた。また岩加那は、歌と三線が得意な若者でもあった。やがて二人は運命的出逢いによって相思相愛の仲になる。それを知った主人によって、カンティミは辱めを受けて自殺。するとその魂が恋人の岩加那の前に現れる。そして、永遠の最後の別れを告げながら、カンティミはこう歌う。「恋路隔めてぃ、思いぬ苦てぃさ。あかす世は暮れて汝きや夜は明ける、果報節のあらばまた見逢そ」(※大意~今やふたりの恋路は隔たってしまい、互いの思いは苦しいばかり。幽冥の世〈あの世〉は暮れて、あなたの夜は明けます、よい時節がめぐって来たらまたお逢いしましょう。)
カンツメ
カンッテメ参照。
カンティミ
カンッテメ参照。
カンティメ
カンッテメ参照。
カンテメ
カンッテメ参照。
カントミ
カンッテメ参照。
ガンノセイ
妖怪。器物の怪。龕の精。龕のマジムン。琉球沖縄の妖怪。龕とは、龍の彫刻や仏画が描かれた朱塗りの御輿のようなもので、棺桶をのせて担ぐ葬具。琉球沖縄では、龕や棺桶が化けて人を誑かす話が多い。国頭郡今帰仁村運天のブンブン坂にこの龕の精がいて、よく大きな牛や馬に変化して出没し、人を襲ったという。人の足音と、荷物を運ぶギーギーという音が聞こえて近くを通るのは、それは人が今まさに亡くなる時、その家の周囲を行き来する龕の精だという。龕の精は、夜、鶏を売りに来ることがある。子どもが病気なので鶏を買ってくれと夜訪ねて来た者がいて、買ってあげて翌朝それを見たところ、龕の角々に飾られる木彫りの鳥だったという。また、名護市の北西に、昔あった羽地村では、夜に鳥を売りに来る者から買ってはいけないという言い伝えがある。昔、子どもが病気だから鳥を買ってくれないかと家々を回る者がいて、翌朝、買った鳥を見たところ、龕の角に飾る鳥の木彫りになっていたという。龕は、亡骸を運ぶ物のために精霊がこもりやすいと考えられてきて、取り扱いには注意が必要とされた。また、葬式に赤い着物や帯をすると龕の精に魂(※たましい)を奪い取られるとか、葬式の最中に龕を指差すと手がもげてしまうといった戒めがある。また、葬儀が終わって龕をしまう時には、悪口を言いながらしまわないと、龕の精が人を連れに来るとされた。龕は、村毎に一つという村の共有物であったため、年に一度、村人による龕祝いが、かつては行われ、酒や肉汁で供養した。また、古くなって不要になった龕は特に琉球時代、神職者である僧侶や祝女によって充分に供養された。マジムン参照。
ガンノマジムン
ガンノセイ参照。
キーヌーシー
キーヌシー参照。
キーヌキジムナー
木自物。糸満のキジムナー。南部の真壁の話で、全身が鮫肌の人間クカキサメドンとキジムナーの話。クカキサメドンが夜に海で魚を取っていると一人の魚取りがやって来て、並んで漁をするようになる。それからというもの大量だった。クカキサメドンはある夜、こっそりその友だちの跡をつけていって村はずれの大きな桑の木自物と知る。そして帰ると妻にそれを話す。すると妻は、クカキサメドンが漁に出ているうちに、その大きな桑を燃やしてしまう。キーヌーキジムナーが帰ると住む所が焼けて仕方なく遠い木の多い国頭へ移っていって苦労する。それからというものキーヌーキジムナーは、ぱったり現れなくなったが、それ以来、クカキサメドンの不漁が続く。時が経ち、友だちを誘って飲みにいった時にその話をしたところ、その友が突然恐ろしい形相になって立ち上がると、自分がキーヌーキジムナーだと名乗り、全身鮫肌のクカキサメドンの弱点であった、指と指の間に小刀を突きつけ復讐する。
キジムナー参照。
キーノキジムナー
キーヌキジムナー参照。
キーヌシー
木の精。木霊。精霊。沖縄本島で木の精をキーヌシーという。大木に宿る木の精のこと。屋敷内の大木を伐る時にはかつて、キーヌシーに祈願してから伐採した。なお、真夜中に木が倒れる音がする事があり、これはキーヌシーが苦しんでいる音とされ、決まって二、三日後、その木は枯れるという。屋敷の大木を伐採する時には、キーヌシーが宿っているため祈願を執り行う。旧暦12月8日のムーチーの日には、キーヌシーが不在となるので、かつてはこの日に限って大木の枝を切り落とせるとする地域もある。キーヌシーはキジムナーであるともいわれるが、キジムナーとは異なって木から飛び出すことはない。。キジムナー参照。
キーマジムン
キジムナー参照。
キームングヮー
沖縄本島北部、名護の宇茂佐近辺や伊計島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
キザムナー
キジムナー参照。
キジマスクヮー
沖縄本島恩納村などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
キジムナー
琉球独自の妖怪。木に宿る怪。水の怪。木の精。水死人の亡霊。死霊。精霊。キジムンとも。キジムナーの語源は諸説がある。一説には「物をかき回す」の意とも。また一説には「キヂムン=異し物」の意とも。また一説には「キヌ(=の)ムン」の意とも。あるいは「木の蠱物(※まじもの/意味は人を惑わすもの。魔性のもの)」から「ま」が落ちて「キジムン」になったのという説もある(※キジムンの愛称がキジムナー)。また神の対極の存在とする説もある一方で、富を司る神としての存在の象徴とする説が有力。キジムナーという呼称は本来、正確には沖縄本島の中部と南部などでの呼び方。琉球沖縄全域で最も知名度が高い妖怪として有名で、河童に似た妖怪なものの頭上に皿はなく、河童の緑色に対しキジムナーは赤。また河童に火は無縁だが、キジムナーは火と深い縁がある。多くが古木の精であり、主にウスク、ガジュマル、アコウ、フクギ、センダンの古木(の洞•空)に棲む(※この他には、ガーガーギー、伊集、ビンギなど)。また歳をとった古木がキジムンになるともいわれる。うっかり住む木を伐ってしまって酷い目にあわされたり、つきまとわれて、いつまでも悪さをされる場合もある。外形は、人の形、あるいはそれに近い。背丈は、7、8才の子どもぐらいとか、2尺とか、5~10センチぐらいなど色々。赤面、赤頭、小童で古木に棲んだりする。つまり赤い顔の子どものような姿をしているが、顔は猿に似ているとも。いずれにせよ赤ら顔、赤毛が多い。髪が肩よりも長く、全身が毛で被われている場合が多いので小童伝承の系譜に入ると思われるが、ある地域では大きく真っ黒いモノであったり、あるいはまた、大きな睾丸の持ち主であったり、乳房が大きく垂れ下がっていたりする場合もある。黒い小さな虫の形をして節穴から入ってくる場合もある。つまり、妖怪変化の性格をもつ。人を騙すのが大好きで、寝ている時に人を押さえつけたり、赤土を赤飯に見せかけて人に食べさせたりする(※金縛りは、よくキジムナーのせいとされる。キジムナーに押さえ込まれることを「ウサーリーン」という。キジムナーには雄と雌がいて、イナグキジムナーは男を、イキガキジムナーは女性を押さえ込むが、女性がキジムナーの子を孕むことはない。押さえ込む行為の意味はクイ(恋)であり、ミートンダニンジであるとも。仮眠状態の時によく押さえ込まれ、その際のキジムナーの姿は全く見えず、周辺の人にも見えない透明であり、キジムナーには姿がないとも伝わる。また、キジムナーが家に入ってくる際には、一陣の風が起こってからやって来るともいわれる。夜に人がうなされるのは、キジムナーが戸の隙間や穴から入って来て人を押さえるためとも。これを防ぐにはススキのサンを胸に乗せておくのが効果的)。また、木の洞(※樹木に開いた穴)をはじめとする、通常なら入れない狭い場所に人を閉じ込めたり、夜道の灯を奪ったりという悪戯をする。逆に、友達になると、漁や山仕事を手伝ってくれる。キジムナーがいる家は富み、キジムナーと友だちになったところ経済的に豊かになったという話は多いが、やがてキジムナーがよそに越して家が没落する話が多い。家に大変な富をもたらす性格と、裏切った人間に残忍な仕返しをする二つの性格を併せ持つのが特徴的。家の中で枕返しにあったり、寝ている人が押さえ付けられたりはキジムナーのせいといわれる。水面を駆けるのが巧みで、人を連れたままでも水面に立てる。一緒だと魚運に恵まれることが多く、キジムナーは魚を捕るのが非常に上手で、一緒に漁に行くと瞬く間にたくさんの魚が捕れる。ただ決まって左目、または両目はキジムナーに食べられている(※「片目の魚」とは、そもそも神への供物お魚で、取ってきた魚を神に捧げるにために片目を潰して神社の池に放し、普通のものとの差別化を図った。つまり、片目の魚は神や精霊の食べ物の象徴)。キジムナーと縁を切るには、大嫌いな、次の物を投げつけるのが有効とされる。蛸、放屁(おなら)、鶏、熱い鍋蓋など。また、宿っている老木を切ったり焼いたり(※木を切って良い日を「キリチビー/チリキ」などといい、その日以外に切るとキリチ、つまりキーヌシーの祟りがある)、古木(の股)に釘を打ち込む方法もあるが、但しいずれにせよ、いちど友だちになったキジムナーとの決別後は必ず仕返しされ、経済的没落や死亡に至る場合が多い。またキジムナーの復讐は、縁を切った本人以外に、むしろ家族に、災害や不幸が及ぶ場合も少なからずあり、本人は絶望の淵に立たされる。キジムナーは火と深く関わり、魚や蟹を捕る時に盛んに火を灯して海の上を行き来する。特に旧暦8月10日は妖怪日といってキジムナーの火が出るため、それを見ようとする人は多い。キジムナーの火は通常の火の色と異なる。時々、海上を渡って来る時があり、またそれはとても速い。なおその原因不明の怪火は「キジムナー火」と呼ばれる。「キジムナー火」が家の屋根から上がる場合は、死の予兆とされる。キジムナーと関わりたくない方法の一つは、側に来ても声を掛けないことで、声を掛けると魂を取られる事があるという。山で出会った人や、谷川の石を動かしているのを見てしまった人が、キジムナーの怒りをかって魂を取られたという。国頭村の山小屋にキジムナーが来たことがあり、追い払うと悪さをするので、生竹をそっとくべ、爆ぜる音を聞かせたところ、驚いて逃げていったという。人語を聞き分けることができ、怪力の持ち主で、それを利用して財を成した者がいて、この者はキジムナーと別れるため、蛸(たこ。手八つ、の意)を柱に掛けておいたところ、二度と来なかったという。総角の髪型で、山で人が焚いた火の周辺に近寄って来る。これを追い払うには青竹を燃やして出る爆音が効果的。なお本土の火取魔のように人が持つ提灯の火を取って逃げる。これを防ぐには出掛ける前に提灯を跨ぐとよい。羽地村源地では、老婆が川端の老木の上で、枝を枕に睾丸の大きい子どもが寝ているのを見た。老婆が竹竿で睾丸を突くと子どもは飛び上がってどこかに消えた。その夜、老婆は床につくや否や先ほどの子どもに襲われて身動きが出来ず、一晩中苦しめられたという。大宜味村喜如嘉のある家に、毎年旧8月8日にやって来て、豚小屋の豚を綱で縊り、火でところかまわず焼いたという。他の話では、屋敷にあったヒンギの老大木にキジムナーが住んでいて、その家の翁と親しくなった。キジムナーは、翁を毎晩、魚取りに誘い、また翁を裕福にした。毎晩の誘いが辛くなった翁は木に火をつけたところ、キジムナーは他の家に移ってしまい、あっという間にその翁の家は没落したという。似た他の話では、キジムナーとの関係を断とうとして、嫌いなものを聞き出し、門口に蛸を吊るし、蓑を着て鶏の真似をして追い出すことに成功するも、3日後に翁は死んでしまう。沖縄本島の勝連には、水死した人の亡霊が妖怪化してキジムナーになったとする伝承もある。奄美のケンムンや宮古のマズムヌ同様、起源は、家造りの手伝いをした藁人形にあるという説もある。なおキジムナーの呼び名は多種多様で、本来、以下のように地域により様々だったのが、近年はあまりにキジムナーという呼び名に傾倒し過ぎている傾向が見られる。野甫島に隣接するジューマの「フィーフィーガマ」のフィーフィーが、当時は小島であった那覇の奥武山に引っ越し、やがて沖縄中に広がっていったと推測している(※キジムナーには以下のように色々な元の呼び名があり、中にはここで扱うキジムナーとは異なる妖怪の場合もあるものの、あくまでここでは個人的な分類となる。なお、奄美の群島のケンムン類は、分類を別にしてここでは別扱いにしているが、同類と考えている)。
【キジムナーの地域別の本来の呼び名】
沖縄本島の、中部・南部・島尻・中頭~キジムナー、アカジラー
伊平屋島~アカカナジャー、アカカナザー
野甫島~フィーフィー
伊是名島の、伊是名・勢理客~アカブサー
伊是名島の、内花~ウンサーガナシ
沖縄本島北部の、国頭村・大宜味村・羽地村・東村・久志村~ブナガー、ブナガイ、ブナガヤ、ブナガヤー、プルパカヤー
沖縄本島北部大宜味村喜如嘉~ハンダンメー、ハンダンミー
沖縄本島北部大宜味村謝名城~ブラガヤア
沖縄本島北部の、名護~カムローグワー、シノーラー、スノールキジムン、ボージマヤー、ヤンバサカー
沖縄本島北部の、汀間~ティヤーチャー
沖縄本島北部の、本部町・今帰仁村・伊江島~カムラグヮー、カムローグワー、シェーマ、セーマ
沖縄本島北部の、伊豆味・健堅~セーマ
沖縄本島中部の、金武町~ガヤプヤー
沖縄本島中部の、勝連半島とその周辺の離島~イッチョイグワー、ウンサグワー、ケンケンズーマー、ケンケンジムナー、フカゾークークー、ヤチバー
沖縄本島中部の、中城村~カーガリモー
沖縄本島南部の、糸満~ギジムナー
沖縄本島(旧島尻)の、仲里~キムナー
沖縄本島南部の、南風原町・玉城村~マージャ
久米島~キムナー、ギジムナー、仲里村では更にカーカプロー、カブロー、アカジラグヮー、アカブチャーグヮー、マヤ
宮古列島(諸島)~インガマ・インガマ・ヤラブ、ズムヌ、マジムン、マズムヌ、マズムン
八重山列島(諸島)~アカウニ(西表島)、カムラーマ、キディムヌ・マディムヌ、マア、マージヤッピー、マンジー、マンジャー、マンジャースー(小浜島)、マンダー(石垣島)
奄美沖永良部島~グァーラ
ギジムナー
沖縄本島の南部、糸満を中心に北部の西側、久米島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
キジムナービー
キジムナー参照。
ギジムナービー
キジムナー参照。
ギジャムナービー
キジムナー参照。
キジムン
キジムナー同様、よく使われて来た呼称。キジムナー参照。
キジャムナー
キジムナー参照。
ギズマナービー
キジムナー参照。
キヅムナー
キジムナー参照。
キディムヌ
与那国島はじめ八重山諸島にいるキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ギベテツジン
人。幽霊や妖怪ではない。儀部鉄人。むかし、沖縄本島のの金武間切並里に、儀部鉄人という体の多くが鉄で出来た屈強な男がいた。薩摩が琉球國に攻めてきた際、大いに薩摩軍を脅かしたが、ついに殺されてしまった。他の記事「儀部鉄人」参照。
キムナー
久米島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
キムヤー
キジムナー参照。
キャンミサキノハナモー
ハナモー参照。
ギライバア
イナフクバア参照。
ギルマナア
妖怪。家に来る怪。妖怪。身長は一尺(※約30㎝)程の身長で、赤い体をしていている。普段は腐った木の空(※木の穴)、またはその下にいて、夜になると人家に侵入し、金縛りにして人を押さえつける。ない、鶏が鳴くと去ってゆく。海で魚や蛸を取って来る。キジムナーの一種。キジムナー参照。
キンノギベテツジン
ギベテツジン参照。
クイキリウシ
奄美の徳之島の妖怪。首切り牛。阿布木名の白牛の坂に現れる、首が切れた牛の妖怪。
クチ
呪文。奄美大島の怪異。お茶や食物などに呪詛する呪詞を唱え入れ、相手に飲ませたり食べさせ害を成す事を「クチ」「フイグチ」という。呪術のクチを返す「カエシグチ」もある。そのほか、憑依した物をクチという。
クカキサメドン
クカキサメドン。全身が鮫肌の人間。キジムナーに復讐され殺される。キーヌキジムナー参照。
クチフラチャー
伝説の、双頭の龍。双頭。
クビキリウシ
クイキリウシ参照。
クビナシハブトリ
浦添間切に西原部落を作って、西原間切と区別するため西原グヮーとした。そこのあるハブ取りが、自分で自分の首を切り落とし、胴体を墓の外に放り投げて自殺した。
クランビャラ
ウタンクビリ参照。
クロマタ
神。沖縄の特に八重山各地で行われる豊年祭に登場する来訪神。西表島東部の古見が発祥とされ、小浜島、石垣島宮良、上地島などに伝わる。アカマタとクロマタの二神とともに現れる場合もある。西表島の古見では、クロマタが親神、アカマタとシロマタは子神とされ、親神のクロマタには次の伝説が伝わる。むかし、山の幸を採って生活していた下幸二という屋号の家の息子が、犬と猟に出たまま戻らなかった。村総出で捜索したが見付からず、結局、死んだものと思われた。ある嵐のこと、家の外から母を呼ぶ息子の声がする。母が誰かと問いただすと、声の主が言うことには、自分は神になって、母に会えない身となったいう。私の姿を見たければ、旧暦六月の最初の壬の日に、ある場所に来て欲しいと。いぶかしく思いながらも、母はいわれたままにその場所へ行ってみると、僅かな時間だけ息子を見ることが出来たという。それ以来、毎年その日になると、神になった息子が出現し、豊作の時は村の近くに、凶作の時は村から遠くに現れるようになったと言い伝えられる。なお村人達は、これを豊作をもたらす神とするようになり、その神を真似た面を作り、豊作祈願して村近くに祀った。するとそれから神が姿を見せなくなり、代わりに、面に神が宿るようになり、それが豊年祭の始まりだといわれる。
クンム
ケンモン参照。
クンムン
妖怪。奄美大島や、徳之島伊仙町などに伝わる妖怪。首吊り現場に現れる妖怪で、ケンムンの一種とも言われる。ケンモン参照。
ケムン
徳之島の妖怪。ケンモン参照。
ケンケンジムナー
沖縄本島中部、勝連半島と周辺の離島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ケンニン
ケンモン参照。
ケンムン
ケンモン参照。
ケンモン
怪ン物。奄美のマイナムン。水蝹。奄美地方全域の海や山に現れる奄美で最も有名な妖怪。ケンモンは熊本県周辺の妖怪山童•山○(※○は「けものへん+操のつくり」)と同じものと思われる。沖縄のキジムナー同様、河童と同系列ながら、別の妖怪とされる。琉球独特の妖怪キジムナーが、琉球時代の島津氏の琉球侵攻により奄美地方が薩摩支配に変わった事によって日本本土の様々な影響がしだいに強くなり、有名な妖怪であるガラッパの影響を強く受けて奄美独自の妖怪となったと推測される。また一説には、沖縄本島ののキジムナーや宮古のマズムヌ同様、木こりのの手伝いをしたり、山から木を運んで大工の手伝いをする話もあり、由来譚からケンムンの起源は、家造りの手伝いをした藁人形にあるともされる。ガジュマルやアコウなどの木の精とされ、また棲む場所はケンムンワラと言われる。呼び名は色々あり、ケンモンやケンムンのほか、カワタロ、クンムン、クンム、ネブザワ、山ワロはじめ色々あるが、そもそも発音を正確に表記できないため、それらで仮に表記しているとされる。また語源は、怪の者、化の者、恠の者、木の者、毛の者(※「者」が「物」の場合も)の訛語といった諸説がある(※「ムン」は、実体のない何か、摑みどころのないもの、得体の知れぬ霊物という意)。また体の特徴や性質は、土地毎でかなり異なっている。幼子のような体格で、顔が犬、猫、猿などに似て、体中に毛が生えているとか、赤い肌をした裸の場合など様々で、犬、猫、猿などに化けることもあるという。また、頭に皿があったりなかったり。また、おかっぱ頭で赤い毛の場合もある。脚が細長く、座る時はいつも両膝を立てるが、頭より両膝の方が高いという。指の先に、火を灯して歩くとか、涎が光るとされ、いずれにせよ、火に関連。季節によって海と山を移動し、尾根伝いに火を灯しながら集団移動する様子は、さながら提灯行列のようだと言われ、それをケンムンマチと言う。蝸牛が常食で、ナメクジを丸めてそれを餅だと言って食べたりもする。体臭は山羊のそれで、山中で、臭いと言われたり、屁の事を話すのを嫌がる。また、嫌いな物は、蛸、ギブ貝、鉄類など。山の中で、大きな石が転がる音や、木が倒れる音を立てたりするのはケンムンの仕業である。また、人と相撲をとるのが好き。変化能力が非常に高く、子馬、出会った人そっくりの人に化けてみたり、保護色を使って周囲の物に化けて同化するのも得意とする。山の中で食物を持っていると、ケンムンに跡をつけられて、よく道に迷わされる。ケンムンと友達になると、きまって片目の魚が沢山捕れるが、片目がケンムンに食べられているのは、キジムナーの場合に同じ。ただし目に塩を塗っておくと魚の目玉はどうもない。ケンムンには、河童、キジムナー、イッシャーといった西南諸島の妖怪の性質が殆ど含まれている点が特徴的といえる。ケンムンは、太平洋戦争までよく目撃されたが、戦争を境にあまり聞かれなくなったという。なお戦時中、空襲を避けるためにガジュマルの木の下に疎開していた時、炊いておいた粥をケンムンに食べられたという話があり、人には姿が見えないのに、ケンムンは、チャンチャンと音を立てて食べたと伝わる。またGHQの命令で奄美大島に仮刑務所が造られ、たくさんのガジュマルなどの大木を伐採した。島民はケンムンの祟りを恐れ、「マッカーサーの命令だぞ」と大声で叫びながら木を切ったという。後にマッカーサーがアメリカに帰って亡くなった知らせを聞いた島民は、近頃、見えなくなったケンムンは、アメリカに渡ってマッカーサーに祟っていたのだと言ったそうである。そしてその後、ケンムンが現れる始めると、アメリカから帰ってきたと噂したという。奄美のキジムナーともいえるが、キジムナーとは区別するのがよいと思われる。ケンモンと似た奄美地方の妖怪は、ケンモンの一つの現れ方とも言われる。いずれにせよ、ケンモンとウバとガワッパには混同が見られる。その一方で、ケンモンは、ウバやガワッパと生息する場所が異なるとも言われる。ヒジャ(※海に迫る山頂の平斜地を「ヒジャ(※ヒダの訛、飯田、飛騨)と呼ぶ。この場所は人々が耕作して唐芋その他の農作物を作った。ヒジャに出来る唐芋を比田蕃藷と呼び、かつては有名だった。また秣を刈ったり、周辺から焚物を拾ったりする所)という地域を中心に海浜一帯に生息するのがケンモンの特徴。ただし、ケンモン原と呼ばれる所ではどこでもケンモンが出没するが、そこでウバやガワッパはあまり出没しない。空模様が悪くなりそうな暗い夜など、また海岸などに出ていると、人が通りそうもない山の中腹辺りに、青白い光が明滅し出す。時に早く、時にゆっくり動き、みるみる一点の火が三つも四つにも分かれて、また一つになる。これは怪物火比という。その火は、浜伝いに河童が出ると言う水門尻に迄やって来て消失する事がある。またケンモン指の先に火を点して歩くともいう。あるいは、その涎が光って火に見えるともいう。朝まだ誰も人が通らぬ白浜の水際に行ってみるとケンモンの足跡が付いている場合があり、脚は細長く、杵の先の様になっているため、これを手杵足と言う。人里離れた白浜の小屋などにいると、夜になると裏山から木の葉をざわめかして岩石を蹴落としながら無数のケンモンが磯の方へいざりに出掛ける。その通る様は、群鳥が飛び下って来る様であるという。なおその通り道に白い洗濯物を干しておくと翌朝は必ず足跡が付いて汚れているという。その際は何か「左まき」の物を置いておけば被害がないという。ケンモンの棲家は、ホーギ(※オホ木/ガジュマルの一種)の下だといわれる。よくケンモンは子をあやすため、嘉徳部落のヒゴ山の法木からは、白昼でもケンモンの子守唄が聞こえるという。ちなみに、これが子をあやす時は、「ヨーファン子、ヨーファン子(意味不明)」と歌うのに反して、人の子守唄は、「ヨーファンヨー、ヨーファンヨー」であるから、区別がつくという。ケンムンの常食は蝸牛(蝸牛)で、木の根元に食い残しの蝸牛の殻が沢山溜っていたりする。またナメクジを丸めて餅だといって食う。ある山間の一軒家の子供が行方不明になった。父母は心配して心あたりを探しが見つからなかったが、翌朝、木の下に坐っていた。そして夜中にケンモンに引き回わされ蝸牛をしこたま食わされたと言う。山路の法木の側を通る時は、よくケンモンが石を投げるという。また山路で屁のあげつらいはしないものだと言われていて、必ずケンモンが出て来て「吾ン屁ヤヒラソド」(吾は屁はひらざりしぞ)と言われている。よくケンモンは人間に相撲を挑むが、その際は逆立ちして見せるとよい。ケンモンが真似て逆立ちすると、頭上の皿の力水がこぼれてケンモンはたちまち退散するか死ぬ。同様に、お辞儀をすると、ケンモンもお辞儀して水がこぼれるので効果的。ケンモンは「ノブサダ」と呼ばれるのが嫌いで、こう呼ばれると怒って色々なと人にいたずらする。ケンモンは藁人形からできていて、頭は大工の神テンゴであるともいう。また人をススキの下などに閉じ込めることがある。ケンモンは怪力の持ち主で、捕まえて家の柱に括り付けておいたところ、柱をへし折って逃げていたという。ケンモンが騙すのは、同い年で頭が悪い人、または、とても善い人だいう。また、ケンモンが見えない時は、人差し指を口に加えると見ることができる。なお、ケンモンと河童の共通点は、頭に水を蓄える皿がある点、その水が無くなると力が抜け神通力が消失する点、人を水中に引き摺り込んで肛門のところにあると想像されていた尻子玉•尻小玉を取る点だが(※取られると人も動物も死ぬ)、逆に、ケンモンと河童の相違点は、ケンモンがガジュマルなどの古木の樹上や岩の上といった陸上に住むのに対して、河童は水中に住む点(※ケンモンが水に入ったり河童が陸に上がるのは稀)、ケンモンがが猿のように全身が毛で覆われているのに対して、河童は背中が鱗で覆われ亀の甲羅のようである点、ケンモンには河童にない様々な要素がある点が挙げられる。従って違いから、ケンモンは河童というよりもヤマワロ•サンツアウに似ているといえる。ウバ、スイイン、カワタロ、ヤマワロとも。ガワッパ、ウバ、キジムナー参照。
コイナー
妖怪。石垣島でいう鳥。クイナ。夜間に南方の海上から鳴きながら渡ってくる。その鳴き声を聞く事は、吉兆(※善い事が起こる前触れ、前兆)とされている。
コソダテユウレイ
子育て幽霊。幽霊。飴買い幽霊とも呼ばれ、昔話や伝説、民話として語られる怪異で、青森県から沖縄県までの広い地域に似た話が分布。幽霊が子育てする内容。ある飴屋に、夜毎、見知らぬ女が飴を買いに来る。不思議に思った飴屋の主人が後をつけると、女は墓地に消える。すると、ある墓の地面の下の方から、赤ん坊の泣き声が聞こえ、墓を掘り返すと、最近死んだ母親の亡骸の傍らで、赤ん坊が元気に生きていたという話。身ごもったまま、行き倒れの場合や、いずれにせよ死んだ母親が、三途の川の渡し賃である六文銭で、子どものために、乳の代わりに飴を買って与えていたという話が基本型。また、この赤ん坊は、後に立派な僧(※お坊さん)になる話の場合が多く、各地の寺院の秘話として語り継がれている場合が多い。
ザー
幽霊。沖縄の宮古島に伝わる女の幽霊。どこか弱々しく、髪の毛を垂らした姿で出現。生前、失恋した女性がザーの姿の幽霊になって現れるとされる。特別、人を襲うことなどはないものの、生前好きだった人の側に常にいて、その人が裏切りを働いたり、大切にすべき人を大切に出来ていない場合はじめ、ザーから強い忠告がある。なお、それでも何も変わらない男の場合は、重い罰が下る。
サイモン
チリモス参照。
サカダチユウリー
サカダチユウレイ参照。
サカダチユウレイ
幽霊。逆立ち幽霊。首里の末吉から泊の崇元寺まで続く道を真嘉比道と言う。かつてここに波名城真三郎という士と美人の妻真鶴が住んでいた。真三郎は士官もかなわず病弱で寝込んで心も病み、性格が良く美人の妻が他の男の元に走るのではないかと始終嫉妬したため、真鶴は自分の鼻を削ぎ落とし、自らの貞操を証明した。その後の真鶴の献身的な介護により真三郎はすっかり回復し、士官も叶うが、醜い妻に嫌気がさし、ついにはナビーという女を自宅に連れ込み、真鶴に毒を盛って殺してしまう。毒殺された真鶴は幽霊になって、怨念を晴らすべく真三郎とナビーの家へ夜な夜な現れたため、真三郎は真鶴の墓に行き、二度と化けて出ないようにと真鶴の亡骸の足を釘付けにした。しかし真鶴の幽霊は、釘付けされた両足を逆さにし、鼻がないうえに猛毒によりさらに醜くなった顔のまま現れ続けたため、真三郎は寺に頼んで魔除けの札を手に入れて、それを屋敷じゅうに貼った。そのため家には入れなくなった真鶴は、逆立ちしたまま真嘉比道を彷徨うしかなくなってしまった。その噂を聞いた池城里之子という者が、幽霊を退治するため真嘉比道へやって来るが、真鶴の非常な身の上を聞いて同情し、家に貼られたお札を無効にしたため、ついに真鶴の幽霊は怨みを晴らすことができたという。(※他に、夫の名が嘉平川里之子、妻がチルー、愛人が寡婦のナビー、池城親方になっているといった話あり。芝居では、夫の名が玉城里之子、妻がチルー、愛人が花城、愛人は尾類。)
サバ
神。海の神。海の神の使い。琉球の民話に度々出てくる巨大な鯖とは多くがruby>鮫だが、大きい魚のことをいう。
サヒモン
チリモス参照。
ザン
神。海の神。海の神の使い。動物の怪。人魚。琉球沖縄の伝承上の魚や、ジュゴンのこと。奄美地方では「ザンノイオ」とも。「ザンノイオ」ともいうジュゴンのことを言う。むかしは、漁師がジュゴンを捕まえて食べる時は、必ず浜で料理し、家には決して持ち帰らなかったという。持ち帰れば、その家の主婦が死ぬか、あるいは持ち帰った者が海で災難に遭うと信じられていたためである。なお、奄美大島では、ジュゴンをザンノイュと呼び、これを見かけたら必ず大時化になると信じられ、舟を急いで帰港させた。石垣島に伝わる話では、ある漁師がザンを捕まえたところ、涙を流して助けを乞うので、逃がすことにした。するとお礼に、大津波が来ることを教えてくれた。漁師達はさっそく村に帰って、その話をみんなに伝えた。なお、それを信じた者だけが助かり、信じずに避難しなかった者達は、ことごとく大津波で命を落としたという。また他の話では、知らせを聞いた村の人々は避難して助かり、折角教えてあげた隣り村の人々は、話を信じずに逃げなかったために、助からなかったという。他の話では、夜遅くに、海上の波間を渡って美しい女性の声が聞こえた。翌日、その声を確かめるべく、3人の若者が船を出した。網に掛かっていたのは半人半魚の生き物、人魚だった。船に引き上げようとしたが、人魚は、空気中では生きていかれないと泣いて命乞いした。そこで若者たちは人魚を海に帰してあげた。なお人魚はお礼に、程なく大津波が来ることを教えた。琉球沖縄で人魚は、大津波の預言者としてよく登場する。
シー
西表島など八重山の妖怪。クヮーキ(桑の木)の木のヌシで、木の穴から人の形をしたシーが出てきて漁を助けてくれると西表島に伝わる。また沖縄本島の名護より本部方面の海側の広い地域でのキジムナーのような妖怪もシーという。キジムナー参照。
ジーワーワー
妖怪。地豚。国頭郡大宜味村謝名城地方の妖怪。夜道に出る化け物。ジーワーワー石と呼ばれる石が、夜な夜な豚に化けて歩き回るという言い伝えがある。
シイノキノセイ
木の変化。椎の木の精。椎の木は必ずスジヤを守ってくれるという言い伝えが琉球沖縄には昔からある。大宜味村喜如嘉で、椎の実を拾うため山に入り、道に迷ってしまった少女がいた。夜中、緑の衣装を着て踊る大勢のモノ達に会った。この時、大きな猪に少女は襲われるが、白い髭を生やした翁に抱きかかえ上げられて救われた。翌朝、目を覚ますと、椎の大木の下に抱えられるように少女はおり、実がたわわに実っていた。
シェーマ
妖怪。精魔。沖縄本島北部、名護から本部町、今帰仁村、伊江島などでのキジムナーのような妖怪。シェーマは人の目には見えないとも。大きなガジュマルなどに棲む。かつて本部の健堅はじめどこでも、家の敷地に年を経た大きなガジュマルがある場合にシェーマの住みかとならないように、ガジュマルに五寸釘を打って追い払っていたという。沖縄本島の国頭郡今帰仁村羽地内海のヤガンナ島では、人がこの島に入ると、雄のセーマは自分の性器を人のロに突っ込み、雌のセーマは乳房をロに突っ込んで窒息死させるという有名な伝説がある。また本部町健堅では、シェーマと仲良くなると、その人に覆い被さるようになり、人は物も言えず、動く事もできず、息ができずに苦しいという。シェーマが家に入って来る時は真っ黒な影で人の足音がするので注意していれば薄々感じる。雌のシェーマは乳房で人の口を塞いで物を言わせなくする。雄のシェーマは女性に覆い被さると睾丸を口にくわえさせるという。今帰仁湧川のヤガンナ島は、そもそも死者を葬る神聖な島で、一般の立ち入りはタブーとされてきた。その一方で、ヤガンナ島に先祖の墓がある者達は、しばしば祖先を供養するため、舟で羽地内海を渡った。キジムナー同様に、シェーマと友達になって一緒に漁に出ると大漁になるが、獲れた魚には左目がなく、シェーマが食べられているという。蛸(タコ)と屁が苦手。キジムナーの一種とも。キジムナー参照。
シェーマキジムナー
シェーマ、キジムナー参照。
シェーマビ
シェーマ火。海でシェーマが火つける火で、1つが2つ、3つ、4つとなった後に1つになったという言い伝えがある。
シカタ
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の村里のマイナムン。長く病気を患った病人のところに現れる。この妖怪が、地面を叩いて固める音を立てると、その病人は死んでしまうという。
シキン
沖縄本島北部、安和や山入端などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
シチ
怪異。山の怪。決まった時間に出る幽霊。奄美の喜界島や沖縄の妖怪。難産で死んだ女の霊がなる妖怪で、天と地を繋ぐ黒い円柱のようなものだとも言われ、喜界島に伝わる『二十三夜様』という昔話に登場する。ヒチと関係あるとも言われる。また琉球沖縄ではヒチ、シチマジムンとも呼び、幽霊の一種とされる場合もある。道の辻にいて、人を迷わせ、時には数十キロも離れた所まで歩かせる。シチが走るとそれは風のようで、水面を駆け回る時もある。また人に会うと、赤飯と白飯とを選ばせる振る舞いをし、赤飯を選んだ者は赤土を食わされ、白飯を選んだ者は海岸の波の飛沫を食わされる。シチに出会った時は、男の場合は褌を外して鉢巻きし、女の場合は腰巻きや袴を頭に被ったり打ち振れば被害を受けない。時には、草木にしがみ付いていて助かった例はある。また、鶏が鳴くと離れてゆく。なお、夜道、櫛を髪に挿して歩いたり、筵を持って歩くとシチに騙されるともいわれえう。なお、シチマジムンを、魔物の中で最も恐ろしいとする考えがあり、それは天まで届いたり地面一杯に広がったりする得体の知れない魔物であるため、絶対に逃げ切れないという。沖縄本島の山原地方に伝わるクルク山のシチマジムンも有名。形が見えず、ぼんやりした雲か風のようなものだとも。板戸の節穴からでも出入り出来て、人に危害は加えないものの数週間、人を連れ出して迷わせる。時には、墓穴の中に人を閉じ込めることがある。
シチマジムン
シチ参照。
ジッカンジノアメカイユウレイ
幽霊。十貫瀬の飴買い幽霊。アメカイユウレイ参照。
シツヌビ
霊魂。巳亥の火。「ツチノトキノヒ」とも。「シツ」とは「巳亥」で干支の一つ。石垣島地方でいう怪火。巳亥の夜、お墓の付近からのぼる炎で、特に墓守などは、それ見て、色が青白ければ大凶、赤ければ半凶・半吉ということで、それを人々に伝えて注意を促した。
シニマブイ
霊魂。死魂。死霊や霊魂のこと。死んだ後も存続する死者の霊魂や、死後三十三回忌まで墓や位牌に宿る霊魂。マブイには、生者に宿る「イチマブイ」と死者に宿る「シニマブイ」とがある。死後もこの世に留まるシニマブイは、そのまま幽霊になってこの世を彷徨うため、あの世へと正しく送り出さなければならない。そのために、四十九日の法事が終わってから、死者と遺族の絶縁の儀式である「魂い別し」を行う必要があるとされた。イチマブイ、マブイ参照。
シノーラー
沖縄本島北部、名護などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
シバナガユウレイ
幽霊。舌長幽霊。沖縄本島の国頭地方でいう、人の幽霊や、人以外では、首長、山羊、牛、豚などの形をした妖怪。山羊、牛、豚の妖怪は、そもそも琉球沖縄ではマジムンとしてもよく知られる動物。なお舌長、首長については、よくわかっていないところがあるが、首長は特に地方の豪族の長や権力者の場合が多い。
シマーブー
奄美の喜界島の妖怪。夜中に道を歩いている時、枝を広げた木のようなものが突如出現して、先に行かれなくなる。有名な福岡県の塗壁のような妖怪と言えるかもしれない。
ジャー
妖怪。義本王時代、沖縄本島北谷間切屋良村の屋良無漏池の巨大な大蛇。伝承では、巨大な蛇、龍、巨大な鰻のようでもあったと伝わる。ある時は雲の中まで昇ったかと思うと遠くまで響き渡るほどの大音響で咆哮し、雷と共に暴れ回った。古い時代、ジャーの怒りを抑えるため、屋良村の人々は生贄を捧げていた。ある時、生贄に加那という女性が選ばれ、年老いた母と村のために、母には内緒で自分の身をジャーに捧げることにした。そしてまさに加那が食べられそうになった時、天をも貫く雷光がジャーに落ち、悲鳴を上げながらジャーは燃え上がったという。人々は天神が母親思いの加那に慈悲をかけたのだと噂した。やがてそれが伝わり、天神にまで愛されるほどの娘ならばと、義本王は息子の妃にと、加那と母親を城に迎え入れたという。
ジャガルザカノイネンビ
謝苅坂の遺念火。イネンビ参照。
シャクシクレ
タンゴクレレ参照。
シャクシクレレ
杓子くれれ。タンゴクレレ参照。
ジュリガーマジムン
妖怪。沖縄本島の、遊女「尾類」の幽霊。琉球沖縄各地の妖怪の中では有名な化け物の一つ。「ジュリ」とは琉球の遊郭の遊女のこと。ジュリバカから三線を奏でる音や、呻き声のような唄が聞こえる事があるという。それを聞いたらマブイを抜かれたという話もある。しかしながら、そもそも貧しい地域から買われてきて遊女となる女性が殆どであり、悲しい末路の者が多かった、はかない女性達の一生から生まれたともいえる。なお、「男のジュリ買い、女のユタ買い」は、ともに家を傾かせる元凶とされ、昔から琉球沖縄では戒められてきた。もちろんそれらは、家計を圧迫し、それがもとで家庭や親族の崩壊、家系断絶に繋がる場合が多かったためである。なお琉球王朝崩壊後、例えば離島はじめ、神人である祝女や司の血筋と、民間の霊媒師(※祈祷師)ユタの血筋の、両方を受け継ぐ者も出てきて、それぞれの仕事や役割りを兼務するようになった場合がごく稀にあるものの、大名的存在で神官である祝女と、神人と霊媒師では天土地ほど違宇野で決して混同してはならない。中頭郡浦添村屋富祖で、深夜、アガリヌカー(※村の当方にある共同井戸)という東の共同井戸の方から芳わしい香りが漂って来たので、村の屈強な若者達が忍び寄って覗いて見た。すると一人のジュリガーマジムンが井戸で髪を洗っていたという。
ジュリグワーマジムン
ジュリガーマジムン参照。
シュリノミミチリボウジ
ミミチリボウジ参照。
シリー
霊魂。沖縄本島の、那覇地方で言われる死霊のこと。何らかの理由で成仏できないシリーの霊が、夜な夜な彷徨い歩くと伝えられている。
シロマタ
神。沖縄各地で行われる豊年祭に登場する神。アカマタ、クロマタという二神と共に現れる場合や、発祥とされる西表島の古見の場合は、クロマタが親神で、アカマタとシロマタが子神である。クロマタ参照。
ジロムン
奄美大島の妖怪。真っ白なものや黒いものがいる。動きが俊敏であるほか、まるで兎のように飛び跳ねる。なおこれを見た場合は、開いている両足の間をしっかりと閉じて、くれぐれも股の間を潜らせてはいけないとされ、潜られると災難に遭うという。夕暮れ時の、人の顔が、見分けがつくか、つかないかの時分に出没すると言われる。はっきりとした容姿が分かっていない妖怪ではあるものの、子豚の妖怪の類のようである。
ジャイシ
蛇石。妖怪。奄美の妖怪。名瀬の隣りのコバマという浜に大蛇がいて、名瀬に美女が生まれて娘に成人するとさらっていた。勇者が成敗したところ蛇は石になったという。
ジンピカレー
神。小人。聖霊。むかし西表島の租内に、両親を亡くした貧しい若者がいて、祖父が養われていた。何をやらせても失敗ばかりするひどく不器用だったため、ついに家を追い出されてしまう。若者は山奥をさんざん彷徨い、土地の者がジンピカレー(※ヤンバルアワブキ)と呼ぶ大木の洞(※穴)を見つけ、そこで寝る。すると神から、一所懸命、真面目に働けば、幸せになると啓示がある。また両親と住んでいた屋敷に行くよう言われる。そこで若者が屋敷跡に行ってみると、草で荒れ放題だった敷地はきれいになっていて、大黒柱が立ち、小人達が次から次へと材木を運び込んでいた。若者はこっそり小人の後をつけたところ、小人は若者が昨夜泊まった洞から材木を運び出していたのがわかった。出来上がった家に住みながら真面目に働いた若者は金持ちにって幸せになった。またこの話を伝えきいた村人はジンピカレーに寄人加那志の名をつけ、家を建てる着工の儀式では必ず大黒柱の先にジンピカレーをかけるようになったという。
ジンメンギョ
人面魚。妖怪。怪異。精霊。奄美大島の海のマイナムン。
スイイン
水蝹。「水蝹」は様々な読み方がある。奄美の妖怪。ケンモンの別名、ないしは似た妖怪。ケンモン参照。
スキマカゼ
怪異。霊魂。好魔風。鹿児島県、吐噶喇列島の十島村ロノ島の怪異。スキマカゼにあうと病気になるとか、打ち倒されるという言い伝えがある。風による災いや病気は、巫女などに頼んで、憑きものを退散させる。
スノーラ
妖怪。霊魂。怪異。沖縄本島北部、本部。キジムナーのような妖怪とも、キジムナーと異なるとも。コウナに出現。テービー(松明)を持って歩くためスノーラ火とも。海岸を歩くため誰でも見ることが出来た。スノーラの好物は魚の目。
スノールキジムン
沖縄本島北部、名護などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ズムヌ
宮古島諸島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
セーマ
シェーマ参照。
セーマキジムナー
沖縄本島名護の数久多などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
セーマグ
セーマ、キジムナー参照。
ソーンリサ
キジムナー参照。
タチッチュ
タチュッチュ参照。
タチュッチュ
妖怪。山の怪。岳人。沖縄県国頭村地方や山原の妖怪。夕方になると、山から(杖をついて)下りて来て、子どもをさらってゆく。非常に力が強い山人で、村の若者でこれに相撲を挑んだところ勝てる者がいなかったという。
タナハラノイナフクバア
イナフクバア参照。
タマガイ
霊魂。火の怪。県今帰仁地方の怪火。子どもが生まれる時かその前に、タマガイといって火の玉が上がるという。様々な除厄招福の行事が集中する旧暦八月前半期はヨーカビーとされ、この時期は怪しい火がよく目撃され、そうした火もタマガイと呼ばれる。子どもが生まれる前に姿を現われて人に危害を与えないタマガイは、命の誕生を祝う縁起よい怪火とされる。また「タマガイ」は人魂のことで、人を死に追いやる怪火だとする場合もある。また沖縄本島南部の大里のいち地域ではキジムナーのような妖怪をタマガイと呼ぶ。ヒザマ、ヒダマ参照。
ダマヌカン
妖怪ではなく、山の神。
タマビー
妖怪。沖縄の波照間島の妖怪。浜千鳥亭主。浜千鳥亭主で、タマビーとも、ハマチドリテイシュとも。むかし独り者の男が暮らしていて、ある日、魚釣りに海に出掛けたところ、釣れた魚がとても綺麗で珍しい魚だった。食べるのをやめ、水瓶で育てながら、魚をタマビーと呼んで可愛がって育てた。そんなある日、畑から戻ってみると、いつもご飯が出来ている上に洗濯もされている。そんな毎日がずっと続いた。不思議に思った男は、隣りのお婆に相談する。すると畑に行く振りをして、半分行ったところでこっそり戻ってきてごらんと。そこでその通りにし、家の戸をいきなり開けると、そこには見た事もない綺麗な女が立っていた。男が誰かと聞くと、女は、魚のタマビーですと答える。神の命を受け、男を助けるために竜宮からやって来たと言う。ただし、魚から女になる事を絶対に話してはならないと神から言われていた事も話す。話をしてしまった以上はもはや一緒に住む事は出来ず、竜宮に戻るには、草鞋が十三足なければ帰れないと話す女のため、男はそれを編んで渡す。やがて出来上がった草鞋を肩に掛け、女は挨拶をすると家から出て行くが、男はこっそり跡をつける。やがてタマビーは海に入って、姿が見えなくなる。すると失ったものの大きさに気づいた男は、それからタマビーと何度も必死に呼びながら想い続け、気が触れたように岸辺を彷徨う。そして何日も歩き続けた挙げ句、ついに恋焦がれるあまり、岩にくっついて死んでしまう。そして、男の魂は、浜千鳥になったという話。
タンゴクレレ
幽霊。桶呉れれ。「桶呉れよ」という意。鹿児島県奄美大島地方の船幽霊。闇夜の海上に現れるもので、淡い光とともに「たんごくれれー」という声が近づいてきて、船に海水を入れて沈没させようとする船幽霊の類。無視していると、どこまでもついて来るので、底を抜いた小さな桶を投げてやると消えてしまう。船幽霊の話に出てくる典型で、柄杓と小桶が違っている話といえる。シャクシクレ等とも。奄美大島の海のマイナムン。
タンナーバ
妖怪。沖縄本島近くの、伊江島に伝わる巨人。「力タンナーバ」という大男の話が伝わる。隣り村との戦いで、タンナーバは伊江島タッチューに登って、迫りくる軍勢に向かって岩を持ち上げ、投げつけて敵を退散させたとされ、その時にできた足跡が、伊江島タッチューの頂上に今も残る。
ヂーヂーウヮーグヮ
妖怪。沖縄本島の沖縄市地方の妖怪。ヂーヂーウヮー小。ヂーヂーと鳴く子豚の妖怪で、人に害を及ぼすことはない。捕まえて縛っておいたところ、棺桶の切れ端になっているという。そのために、棺桶の切れ端は焼いて処分するものとされてきた。
チーヌウヤ
チーノウヤ参照。
チーノウヤ
沖縄県の妖怪。乳の親。沖縄本島、国頭村、大宜味村などでは、子どもを埋葬した童墓にいる妖怪で、死んだ子どもは後生でこのチーノウヤが乳を飲ませて養ってくれるとされる。とても優しい顔をした女性で、洗い髪のような黒髪を長く垂らし、乳房がとても大きいという。水中の水面近くにいる事があり、生きた子どもをあの世に引き込む恐ろしい存在でもある。特に沖縄本島、今帰仁村などでは、童墓や水中にいる乳の親は子どもをさらう存在。また、幼い稚児に鏡を見せると、水面を鏡と思って行って落ちる可能性があるので、鏡を見せるべきではないとされ、それは水面下の乳の親に引きずり込まれるからだという。なお死児のためにはこの霊怪である乳の親に、亡き子の冥福を祈る。
チカラタンナーバ
タンナーバ参照。
チグトュ
沖縄の怪異。音の怪異。死の予兆のこと。家の中で、鋸や鉋の音、板を置く音といった大工仕事の音が聞こえてくると、その家から死者が出るという。この音は棺桶を作る音らしい。また、家族が談笑している声が、外から聞くと泣いている声に聞こえる時も死者が出るという。
チューキジャー
沖縄本島近辺、古宇利島のキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
チュダマ
人魂。妖怪。怪異。精霊。奄美大島の村里のマイナムン。
チリモス
妖怪というよりも、かつて奄美にいたとされる幻の絶滅した動物。別の名をサヒモン。色は黒っぽ尾は短いという。
ツチノトキノヒ
シツヌビ参照。
ツボノマジムン
妖怪。器物の怪。壺の変化。山羊に化けて通る人を悩ませたり、数え切れない人間の命を奪ったという。その正体は洞穴の中にあった壺とわかり、これをマーニで縛ったところ、以後、化け物は出なくなった。
ティヤーチャー
キジムナー参照。汀間の呼び名。
テツジン
人。鉄人。二人の話が有名で、沖縄本島金武の儀部鉄人と、竹富島の根原金殿の話が有名。鉄でできた人間とは屈強という意味も含むが、琉球の歴史において鉄の意味は重要で、支配者、地域を治める者の意を表す。ギベテツジン、ネーレカンドゥ参照。
テンゴンカミ
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の山のマイナムン。。
トウィマジムン
妖怪。動物の怪。鳥の変化。鳥マジムン。沖縄県の妖怪。鶏のマジムン。家畜のマジムン。人の前をさっと横切るという。
トジ・マチャー・ビー
霊魂。火の怪。刀自待火。沖縄の怪火。遺念火の一種。イネンビ参照。最初に提灯ほどの大きさの火の玉が現れ、他方からもう一つ火の玉がやって来て、二つは合わさって、ゆらゆらと明滅する。那覇市首里の識名平の話が有名で、刀自待火の由来譚。首里に仲がよい夫婦がいた。その妻に横恋慕した男が妻を待ち伏せ、「お前の夫は、お前に不満があり、お前の帰りがあまりに遅いので、川に身を投げて死んだ。」と嘘をつく。夫も、この男に同様の手口で騙され、すでに自殺。妻はこれを悲しんで、自分も川に身を投げて死んでしまう(別の話では、先に豆腐売りの美しい妻が、夫が死んだと聞いて自害。それを聞いた夫が後を追う)。それ以来、この夫婦の二つの魂が無念の火、刀自待火となって出現するという。なお「刀自」とは妻のこと。イネンビ参照。
トジマチャービー
トジ・マチャー・ビー参照。
ナカニシ
ナカニシヘーイ参照。
ナカニシヘーイ
怪異。晩方、那覇と泊の間にかかる潮渡橋付近(塩田温泉)で「仲西ヘーイ」と呼ぶと出てくる。かつて那覇の東には大きな干潟があり、塩田が広がり、川も流れていたが、明治36年に木造の潮渡橋がかけられた。この橋のたもとで夕刻、「仲西ヘーイ」と名を呼ぶとそれが現れると言う妙な噂が立って広まった。従って、比較的新しい時代に生まれた。人間を惑わせたり、人をさらうとも言われるが、その姿を見た者はいないという。仲西ヘーイという人名がついた原因や理由は不明。
ナガムン
長いもの。蛇。
ナナイロムーティ
髪を結ぶ紐。琉球國の尚眞王の時代、王府は首里から那覇まで真珠道を作った。その途中の国場川を渡るために真玉橋をかけたが、たびたび流されてしまった。ナナイロムーティ(※ナナイロムーティとは、七色の元結いの意。髪の毛をまとめる紐)をした子年生まれのユタが生贄として人柱として橋の根元に埋められると、その後真玉橋は洪水で流されることがなくなったという(※幽霊や妖怪の話から除外しても良いかも知れないがが掲載しておく。)。
ナナツバカノアメカイユウレイ
幽霊。七つ墓の飴買い幽霊。アメカイユウレイ参照。
ナビケーマジムン
ナビゲーマジムン参照。
ナビゲーマジムン
妖怪。器物の怪。鍋笥マジムン。汁などをすくったりする道具である鍋笥の変化の妖怪。琉球時代から古い食器類は化けて出ると信じられてきた。なお似たミシゲーマジムンも参照のこと。
ナンナンジョウ
南々城。怪異。琉球が、まだ鬱蒼とした木々に覆われていた山や林だった大昔のこと、南々城に天界から若い神たち三人が降りてきた。全身、毛で覆われて毛むくじゃらだったので、男とも女とも見分けがつかなかった。通り掛かった倭人が三人が何を食べているのか聞くと、木の根、草の実、水芋を生で食べているという。倭人は、焼いたり、煮ると、生で食べるよりもっと美味しいよと教えてあげた。それから三人は焼いたり煮て食べるようになった。すると三人の体毛が薄くなっていって人間らしくなっていった。
ニタンボージ
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の山のマイナムン。
ニシートビ
霊魂。沖縄県石垣島の怪火。夜の海中から現れる。
ネーレカンドゥ
竹富島の鉄人。幽霊や妖怪ではない。根原金殿。非常に優れた頭脳を持ち、また大変な力持ちであり、六つあった竹富島の村々を統一し、神と崇められていた人物。
ネコノカイ
動物の怪。猫の怪。猫はマジムンにはならないが、13年経つと化けて人を害すると言う。子供が夜泣きした時に「猫だ」と言って脅すと化け猫がやって来て噛み殺すという。猫が青鳴き、高鳴きした場合は今でも長い呪文を唱えて災いを避ける所がある。
ネブザワ
奄美大島の妖怪。ケンムンのあだ名ともいわれる。昔、ネブザワとユネザワという漁師がいた。ユネザワには美しい妻がおり、それを羨ましいと思っていたネブザワは、密かにユネザワを殺してその妻に求婚する。やがて浜に打ち上げられたユネザワの死体を見て真実を見抜いた妻は、ネブザワを山に誘い込んで、ネブザワの手を釘で木に打ち付け、夫の復讐を見事に果たす。妻が去ってその場に取り残されたネブザワの前に、やがて神が現れてこう言う。お前はユネザワを殺すという大罪を犯してしまったが、それ以外の悪行はないので、命までは取らないものの人間にしておくことはできないとそう言って、ネブザワをケンムンの姿に変えてしまったという。これがケンムンの起源であると伝わっている。そんな経緯があるため、ケンムンはネブザワと呼ばれることを嫌うのだという。ケンモン参照。
パーダ
沖縄地方に妖怪の児童語。
ハーメーマジムン
沖縄地方の妖怪。老婆の怪。老婆のお化けといわれる。
パーントゥ
神。沖縄、宮古地方の妖怪の児童語。パーントゥには鬼神、来訪神の意がある。一つは、宮古島の島尻のもの。ここではパーントゥ・サトゥプナハ祭りが執り行われる。「プナハ」とは祈願祭という意で、毎年、旧9月吉日に登場。年に一度、パーントゥが集落に現れて厄を払う。泥と蔓草で全身を仮装したパーントゥが現れ、泥を塗られ者には無病息災が訪れると信じられてきた。一つは、野原岳の南、上野村の野原集落のパーントゥ。これはパーントゥの面を被った子どもを先頭に、蔓草などを体に巻き付けた女性達が、ホーイホーイと叫びながら行列をつくって集落を回るサティパライ。こちらは旧暦12月最後の丑の日で、一説には平良の久貝・荷川取から伝わったとも。
ハギハラウヮークヮー
妖怪。奄美大島名瀬の妖怪。夜道で、足が切れていたり足がない子豚ウヮークヮーが現れる。南西諸島の子豚の妖怪は、股を潜ろうとするのを常習とするが、このハギハラウヮークヮーにはその特徴がない。
バケネコ
妖怪。動物の怪。猫の怪。化ケ猫。怪異をなす猫のことで、全国に伝承が残り、古い文献や民俗伝承にも数多くみられる。沖縄本島国頭地方をはじめとして、猫はマジムンにはならないものの、十三歳になると化け猫になり、人に害を及ぼすと信じられてきた。この禁忌は、ほぼ全国的な特徴。化け猫のなす怪異は多岐にわたり、人に変化する、手拭いなどを被って踊る、言葉を喋る、山に潜む、狼を従えて旅人を襲う、祟りを及ぼす、死体を操る、人に憑くなどといった傾向が全国的にみられる。なお琉球沖縄の地方によっては、死んだ猫を葬る際、土に埋めると必ず化けて出ると考えられてきたため、それを避けるために木に吊してきた。夜泣きするとバケネコがやって来て噛み殺されると、子どもたちによく言い聞かせた。また、猫が青泣き、高泣きすると今でも呪文をよく唱える。沖縄本島宜野湾間切我如古の長柵洞窟の化け猫の話も有名。『我如古の化猫』の記事参照。
バケマヤー
「マヤー」は猫のこと。バケネコ参照。
ハゴロモマンジョ
アモレオナグ参照。
バショウノセイ
精霊。芭蕉ノ精。謡物『芭蕉』は中国の怪奇説話『湖海新聞』などを題材にしたもので、芭蕉の精が人の姿になって現れる話。芭蕉は背が高いバショウ科の多年草。芭蕉の精が人の姿となって現れ、様々な怪異をなす。琉球沖縄では芭蕉の繊維で糸をつくって布にし、衣服を作るために、昔は山野はじめ芭蕉が沢山植えられていたという。その場所を蕉園という。夜が更けてから一人でこの蕉園を通ると必ず芭蕉の怪異にあう。芭蕉の変化は必ず婦人の形をしているが、特に害はなく、ただそれを見た人は驚くだけである。なお刀を持っているとこの怪異には遭わずに済むという。江戸時代に『中陵漫録』を書いた佐藤成裕は、最初、この信州に伝わる話を信じていなかったが、後に琉球の人と出会った時に琉球の蕉園での話を聞いて信じるようになったという。また佐藤は、大きな葉をもつ芭蕉は草の中にあって王のような存在のため、怪しい振る舞いをする力を持つのだろうと考えた。
ハタパギ
奄美の与論島だけにいる妖怪。 ハタパギ とは、片足の意。南西諸島の妖怪ケンムンのようなものだが片足しかない。ケンムンと性格がよく似ていて、体格は小さくて、子どもぐらいだという。片足で跳ねて移動するとも。火になっ珊瑚礁の上を飛ぶとも言われている。夜、いざりをするともされる。魚の目を抜き取ったりする点が他の妖怪と似ているが、人は騙さない。夕刻、漁船の前を似た形の舟が走っている事があり、着いて行くと危険な目に遭うのはハタパギのせいともいわれる。人に対して大きな禍を与える事はあまりないが、名前を呼び捨てにされると、怒って仕返しに道を迷わしたり、海で釣果の文句を言うと、また波が荒れて魚が獲れなくなるのはハタパギのせいだという。浜で、「アーパンチカ・クルパンチカ(※赤くはじけている•黒くはじけている)」と言うと必ず海が荒れるので慎まなければならない。また、海でモリ漁をしている時に何が獲れるかを聞かれて、「ハタパキトゥトゥラリュイ(※片足しか獲れない)」と返事をしたらそれから魚が全く獲れなくなったという。ムヌ、イシャトウとも。
ハナモー
幽霊。ハナモーとは鼻無しの意。昔々、沖縄本島最南端の喜屋武間切に、結婚が間近の女性がいた。嫁ぐ日のため花嫁衣装をせっせと準備していたところ、誤って自分の鼻を削ぎ落としてしまい、その夜、女は嫁入り衣装を身にまとい、村はずれにある断崖絶壁の喜屋武岬から、荒れ狂う海に身を投げてしまった。それ以来、岬で「ハナモー」と叫ぶと、それまでは静かであっても海原が一転して荒れ狂い、海の中から巨大なその女の幽霊が出現して叫んだ者を高波で連れ去るため、決してそう叫んではならないと言い伝えられてきた。ハナモーの話では他に、美しい嫁をもらった夫の嫉妬に対し、夫への愛を証明しようと自ら自分の鼻をそいだ妻が、醜くなった妻に見向きもしなくなった夫に失望して妻が自殺し、化けて出る似たような話がある。
ハニマノカブル
妖怪。奄美群島の沖永良部島の妖怪。子どもが泣いて騒ぐ時、親はハニマノカブルがやって来るぞと言って叱って泣き止ませようとする風習がある。その正体はよく分からないが、恐らく山姥のような存在ではないかと考えられる。
ハブ
飯匙倩。奄美や沖縄に生息する有名な蛇の一つが「ハブ」だが、奄美ではマジムンという。
ハマチドリテイシュ
タマビー参照。
ハンダンメー
大宜味村喜如嘉のキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ハンドーグヮー
ハンドゥグヮー参照。
ハンドゥグヮー
ハンドゥ小。伊江島ハンドー小。幽霊。怪異。「ハンドー小」は芝居などでの名で、実際の名はカマドー。伊江島の、下級役人文子ながら豪農の大百姓島村家の一人息子に、加那という若者がいて、伊江王子の首里の御殿に奉公していた。国頭の辺土名に加那が行った際、田舎には珍しく類い稀な美人ハンドー小と一夜を明かす。そして、間もなく仕えている王子に同行し薩摩の国に行くが、帰国したら必ず迎えに来ると約束して伊江島に帰ってゆく。ところがいつまで経っても迎えに来ない。ついにハンドー小は恋人を訪ねて伊江島へ行く。ところが加那の父親に、息子が辺土名に行った時に誑したのはお前かと罵られる。しかも加那には昔から許嫁がいて、今は妻だと知る。そこに加那が帰宅するが、ハンドー小に怒号を浴びせて追い払う。あまりの酷い仕打ちに嘆き悲しんだハンドー小は、山越森まで来ると一家を呪いながら長い自分の黒髪を木の枝にかけ、首を吊って死んでしまう。するとその後、島村家に次々と災いが降りかかる。加那と父親が原因不明の死を遂げたのを発端に、子孫に不具者が出たり、首の周りに首を吊ったような黒い輪が出来て死ぬ者が続いて、ついに一家は断絶してしまう。一方でハンドー小の遺骨は辺土名の実家の者に引き取られ、海の向こうに伊江島が望める、田原にある辺土名村の、三つあった墓のうちの「前んトー」に葬られた。このハンドー小の伝承は、特に近年は組踊りで人々に伝わり、「辺士名ハンドー小・伊江島ローマンス」、「辺士名ハンドー小」、「伊江島ハンドー小」と名称は変わりながらも現代に伝わる。
ヒーダマ
ピージャーヤナムン参照。
ピィーイハト
妖怪。ピィーイ鳩。奄美大島地方でいう怪鳥。このピィーイハトが七回鳴くと、間もなく誰かが死ぬと言われる。
ヒージャーマジムン
ヤギマジムン参照。沖縄本島のヤギの呼び名が「ヒージャー」。
ピーシャーヤナムン
ピージャーヤナムン参照。
ピージャーヤナムン
沖縄の妖怪。山羊の沖縄語「ヒージャー」の妖怪。ガンノセイ、ヤギマジムン、ヒツギノマジムン参照。
ピージャーマジムン
ピージャーヤナムン参照。
ヒーダマ
ヒダマ、ヒザマ参照。
ピーフキトゥリ
妖怪。沖縄の八重山地方の妖怪。火吹き鳥。ヨーラサーのことで、夜間、これが鳴いて通る所は何か事件が起こると忌み嫌われる。また、これが鳴く時には、「なーまやーど。」と唱えながら杵で木臼を三度叩いて魔除けをするのがよいとされる。
ピキクルー
ピキンキル参照。
ピキンキル
妖怪。怪魚。水の精。大宜味間切喜如嘉を流れる川の、深い所に住む妖怪。水に人を引き込む命を奪う。「ウンダ川」、「インナトチビ」、アミガーの「ウイヤチフンムイ」などにそれがいるといわれる。
ヒザマ
霊魂。邪神。奄美群島の沖永良部島の怪火。島で最も恐れられる邪神であり、火事が起こるのはヒザマの仕業と信じられてきた。ヒザマは鶏のような姿をしていて、頬は赤く、羽は胡麻塩の色をしている。そのために沖永良部島ではそのような特徴をもつ鶏を嫌って飼わなかった。またヒザマは、空の瓶や桶に宿るとされる。もし宿るのを避けたい時は、いつも水を入れておくか伏せておく。もしも家にヒザマが憑いた場合には、直ぐに巫女を呼んで追い出しの儀式をしたというほど恐れられた邪神。なお、ヒザマは火玉と書くとても明るい火の玉のことで、(全国的に)すっと流れるように飛んで消え、その現れた場所から消えた場所までのどこかの土地で必ず火事が起こると言われてきた。沖縄本島などでは火玉のほかに火魂と書いて、フィーダマともいう。奄美大島では村里のマイナムン。ヒダマ、タマガイ参照。
ヒジムナー
沖縄本島北部などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ピジムナー
沖縄本島北部などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ヒダマ
霊魂。火玉。火魂。琉球沖縄の沖縄地方で特に、死人が出る前や、火災が起きる前兆として現れる怪火や人魂をいう。タマガイ、ヒーダマ、ヒザマ、ヒダマガヒ、ピダマ、フィーダマなどともいう。男は青い火、女は赤い火で、大人や子どもによって大きさが違うという。また場合により、屋根すれすれの場所を重量感があるような感じで、横に尾を引いて流れるもので、それが出た家から厄が去って、落ちた家に厄が憑くともいわれる。石垣島ではピダマと呼ばれる。ヒザマ、タマガイ参照。
ヒダマガヒ
ヒザマ、ヒダマ、タマガイ参照。
ピダマ
霊魂。火玉。沖縄の石垣島でいう怪火。天から下りて来るもので、火事を引き起こす。そしてその煙は天に昇って雲となり、ピダマはその雲に乗ってまた天に帰って行くとされる。ヒダマ、ヒザマ参照。
ヒタマガキ
霊魂。沖縄本島の中頭地方で、遠方から、火や煙が火事の前兆として見えるのをヒタマガキという。昭和2年の大火の際、その4、5日前にこれが見えたという。
ヒチ
ヒチマジムン、シチ参照。
ヒチマジムン
妖怪。怪異。海の怪。沖縄地方、特に国頭地方でいう妖怪。単に「ヒチ」とも言う。道の辻にいて人を迷わせるという。なかには数十キロも離れた所まで歩かされた人がいたという。ヒチマジムンは、風のように走り、また水面を駆け回ることもできるという。また、人に出会った時、赤飯と白飯とを選ばせた上でふるまう振りをして、赤飯を選んだ者は赤土を食べさせられ、白飯を選んだ者は海岸の波の飛沫を食べさせられる。なお、このヒチマジムンに出会った時に被害を避ける方法がある。男の場合は褌を外して鉢巻きにするのがよく、女の場合は腰巻きを頭に被るとよいとされる。なお、夜、櫛を挿しているとヒチマジムンに連れ去られるとも。また夜道、筵を持って歩くとヒチマジムンに騙されたり、連れ去られるとも。シチ参照。
ヒツギノマジムン
妖怪。器物の怪。棺の変化。棺のマジムン。沖縄の妖怪。古い棺の板切れなどが、美女、雄牛、山羊などの、化け物に変化する。ある一つの話では、昔でいう羽地間切の真喜屋村の男が、深夜、隣りの稲嶺村から帰る途中、真っ白い山羊が前を通ったので、不審に思って稲嶺の浜まで追い詰めて、縛り上げた。浜に山羊を置いたまま帰宅した男は、妻にその話をし終えた途端に発熱して死んでしまった。翌朝の未明、妻が浜の山羊を見に行ってみると、奇怪な棺の板が縛られていたという。また今帰仁村の話では、大変に美しい女に化けて青年を誘惑した。青年の友がそれを垣間見たところ、舌が長く目玉が飛び出したていんげーのような化け物だった。友は青年にそれを話して説得し、その女を短剣で突き刺させたところ、刺した女の胸から蛍火のような青光りする血がほとばしった。翌日、改めて見てみると、古い棺の板切れの中央に、短剣が刺さっていたという。また他の話では、羽地村源河と大宜味村の境で、とても美しい女が執拗に男に抱きつき纏わり付いて来て知らない場所へ引き込もうとした。男は必死に抵抗したが、そうしているうちに夜が明け、女は一片の棺板になった。直ぐさま男はそれに火をつけ燃やしたところ、陰湿な悪臭を伴った油が滲み出て来て、物凄い光景だったという。(※稲嶺村は、沖縄各所にある。沖縄本島南部豊見城は「んなんみむら」で、豊見城間切の宜保村の南、渡嘉敷村の西にあった村。沖縄本島南部大里村も「んなんみむら」で、大里村稲嶺平川村の南。沖縄本島北部は「はにくむら」で、羽地間切の北東寄りに位置。隣接する親村の真喜屋村と共にマギャー・ハニクと併称)。龕の精、山羊マジムン、マジムン参照。
ヒジムナー
妖怪。精霊の意。キジムナー参照。
ビセノイングヮーマブイ
犬の霊魂。備瀬のイングヮーマブイ。「イングヮー」とは犬。イングヮーマブイ参照。
ピンザマヅモノ
妖怪。沖縄の宮古島の妖怪。山羊の化け物。山羊の妖怪の総称。ヤギマジムン参照。
ファードリ
妖怪。沖縄の石垣島でいう怪鳥。五月の上旬に渡ってくる鳥。一声、鳴く時は大凶。二声なら半凶だという。
ファチハンバ
沖縄本島北部の喜如嘉の、河童に似た妖怪で、頭の上に皿がある。
フィーダマ
霊魂。火の怪。火玉。火魂。火球。鬼火。人魂の類。「火の玉」の意。「上がる」ことをタマガエンといい、その名詞がタマガイ。人が死ぬ時にはその魂はフィーダマとなって墓場に飛んで行くと信じられて来た。なおそれが上がった近所では近いうちに、思いがけなく人が死ぬことがあるとされた。なお、人の霊魂である魂は火の形をしているという考えがある一方で、小鳥の形をしている、蝶の形をしているともいわれる。火魂は火事を起こすことがある。その形は赤い火の鳥に似て、火球が長い尾を引いて飛び回るといわれる。時には台所の竃の後方の、蓋をしていない瓶に住んでいるとも。火魂が飛んで行って止まった場所からは必ず火災が起きるという。ヒザマ、ヒザマ参照。
フィーフィー
妖怪。伊平屋島に隣接する野甫島などでのキジムナーのような妖怪。野甫島の島影に隣接する小島の洞窟は「フィーフィーガマ」と呼ばれ、かつてフィーフィーがたくさん住んでいたと伝わる(※通常、キジムナーは単体が少なくない)。また、ここから那覇の奥武山に移って、それから琉球沖縄全域に広がっていったとも言われている。アカカナジャー、キジムナー参照。
フィジムナー
沖縄本島北部などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
フカゾークークー
沖縄本島中部、勝連半島と周辺の離島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
フカゾークークーキジムン
フカゾークークー・キジムンとも。フカゾークークー参照。
フサキ・ガバネノ
冨崎ガバネー。身長八尺の巨人。弓術にたけ、名蔵湾を航行する船が帆を上げて表敬の意を表す礼式を欠くと、強弓で船もろとも沈める。
フサマラー
神。沖縄の八重山郡、波照間島で、旧暦の七月に行われる、ムシャーマ行事の際に登場する雨乞いの神。祭りの際、子ども達は全身を蔓草で覆ってフサマラーに扮する。
フトンノカイ
妖怪。布団ノ怪。沖縄の宮古郡城坂町の怪異。太平洋戦争が終わった頃、結婚十年目にして、やっとのことで一人の男の子を授かった夫婦があった。夫婦は子どものために、村中の人々を集めて、盛大な誕生祝いをした。宴もたけなわの時、突如、奇妙な叫び声が一帯に響き渡ったという。夫婦が子どもの所に飛んで行くと、子どもが寝ていた布団が、ばたばたと波打っていて、子どもはその下で息絶えていた。父親が布団を庭に投げ捨てると、魔物がその中にいると思った村人は手に手に鎌を持って襲いかかって布団を細かく切り裂いた。それでも布団の切り屑が周囲をばたばたと動き回って土煙を立てたが、やがて力尽き、動きを止めた。それからよく布団を調べてみたところ、人の爪に髪の毛を何重にも巻いたものが四隅の角に縫い込まれていたという。当時は行商が色々な物を売り歩いており、新しい布団を買えなかったこの夫婦は、ある行商から子どものためにこの布団を買ったという。しかしこの布団は、墓荒らしによって掘り出された物で、悪霊が乗り移っていたとされる。(※宮古郡城坂町がどこを指すのかまだわかっていません。出典として記載されている『ゆがたい 宮古島の民話』宮古民話の会編・『現代民話考 五 あの世へ行った話』松谷みよ子編は、現在まで未確認。)
ブナガ
木に宿る怪。沖縄本島で、木に宿る怪をいう。国頭地方でいうキジムンと似たモノ。ボージマヤとも。大宜味間切高里村のある家の主人と親しくなった。後に主人が交際をを絶とうと烏賊をぶつけたところ驚いて逃げ、二度と現れなかった。大宜味村ではキジムンそのもののこと。ブナガルは髪を振り乱すの意味。キジムナー参照。
ブナガー
沖縄本島北部、国頭村、大宜味村、東村などでのキジムナーのような妖怪。ブナガ、キジムナー参照。
ブナガイ
沖縄本島北部、国頭村、大宜味村、東村などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ブナガ
妖怪。精霊。木に宿る怪。沖縄本島木に宿る怪をいう。国頭地方でいうキジムンと似たモノで、ボージマヤともいう。大宜味村間切高里村のある家の主人がブナガと親しくなった。後に、主人がこれと交際を断とうと烏賊をぶつけたところ、驚いて逃げて二度と現れなかったという。大宜味村ではキジムンそのものを指す場合がある。「ブナガル」は髪を振り乱す意で、腋あたりまで髪を垂らした様をいう。ブナガヤー、キジムナー参照。
ブナガヤ
ブナガ、キジムナー参照。
ブナガヤー
沖縄本島北部、国頭村、大宜味村、東村などでのキジムナーのような妖怪。ブナガヤーモもキジムナーも頭に皿はなく、河童とは異なる(※喜如嘉には」河童に似たファチハンバがいる)。ブナガヤーも多少のいたずらをしたり、防衛上、人に火傷を負わせる例はあるが、基本的に人に何の危害も加えない。ブナガヤーの意は「振り乱している者」で、長い髪の毛を自然のままに伸ばして手入れせず、原始の姿そのままに振り乱した姿の者。大宜味村を中心に、特に喜如嘉や謝名城部落では、旧暦8月に、ヤングヮー(架け小屋)を巨木の上に造ったり、ヤドゥイ(小屋)を山の中腹や小高い丘に造ってブナガヤーの来訪と出現を見届けるアラミ行事という風習が戦前まであったという。ブナガ、キジムナー参照。
ブナガヤア
ブナガヤー、キジムナー参照。
プナジ
妖怪。神。神の使い。プナジとは「婢」の意とされる。沖縄の石垣島でいう怪鶏。神の使い神使の鶏。姿には清潔感があり神々しく、この妖怪を見た者は心を奪われ、うっとりと見とれて心が舞い上がり、とてもよい気分になるという。ただし、特別善い事があったり幸せになるという事はないという。
フナユウレイ
幽霊。船幽霊。奄美大島などでの船幽霊。全国各地で海上、河川、湖沼にも現れる。タンゴクレレ参照。
プルパカヤー
沖縄本島北部、国頭村・大宜味村・東村などのキジムナーのような妖怪(※大宜味村田嘉里のプルパカヤーの呼称はブナガヤやキジムナーに置き換えられつつあり、その傾向は他の地域でも)。キジムナー参照。
ブラガヤア
大宜味村謝名城などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
プルガヤー
沖縄本島宜野座村を中心とした地域などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
フルファガ
沖縄本島北部の田嘉里などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ヘントナハンドーグヮー
辺土名ハンドゥ小。ハンドゥグヮー参照。
ボージマヤー
沖縄本島北部、名護より北、親川から海側の地域と源川でのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ボージャーグヮー
キジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ホートイワ
ホート岩。ホートガー参照。
ホートガー
怪異。神。沖縄本島近くの津堅島の伝説に出てくる岩。津堅島海岸に「ホートガー」と呼ばれる泉にある鳩形のホート岩。この岩は親で、かつて九つの子の岩を大切に守っていたが、ある時に全て盗まれ、親岩は泣き暮らした。盗んだ者の舟は神の罰により海中に沈んだという。それ以来、ホート岩は子どもを求めて泣いているという。
ボゼ
神。精霊。奄美より北の、吐噶喇列島に浮かぶ悪石島でいう怪異(琉球の妖怪には入らないかも知れない)。旧七月十六日の盆踊りの際、青年達が仮装したボゼが現れる。シュロ皮、ビロウ、クバの葉などで全身を覆い、仮面を被り、手足に赤い泥を塗ってボゼとなる。ボゼは現れると、ボゼマラという棒で、女性を突っついたり、子どもを怖がらせたりして帰っていく。なお、ボゼは山から下りて来て山に帰っていく来訪神とされる。『十島村誌』によると、ボゼはヒチゲーと呼ばれる冬の節替りの夜に登場する仮面を被った神で、かつてはトカラ各島に現れたとされ、その名残りが悪石島にだけ残ったとある。悪石島の伝統行事として旧暦7月16日のお盆最終日翌日に登場する。
マー
妖怪。怪異。沖縄の妖怪。鹿児島県では妖怪を意味する児童語。形は漠然としていて、牛の鳴き声を発する怪とされる。
マーザァービ
霊魂。沖縄の八重山。この世に怨みが残って成仏できない死者の霊魂が彷徨い歩くという。
マージャ
沖縄本島南部、南風原町、玉城村などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マージヤッピー
八重山諸島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マーダーピィー
マーチャービの八重山での他の呼び名。マーチャービ参照。
マーチャービ
霊魂。沖縄の石垣島でいう怪火。暗い夜に、赤い火の玉となって現れて、道行く人を家まで送ってくれる親切な火。但し、別れる時にお礼を言わなかったり挨拶しないと頭髪を焼かれるという。
マイナムン
奄美で、得体の知れない禍をもらたすものの総称をマイナムンと呼び、妖怪や幽霊を含む怪異。沖縄のマジムンに似ている。マイナムンは本土の「眉撫で物」が音便化したものと思われる(※恵原義盛氏の説)。マジムン参照。
マア
八重山諸島と久米島仲里でのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マカー
座間味い山。この山から薪を拾ってくると祟りがあり、熱病で頭の毛が抜けたりする病気になる。
マカンミチノサカダチユウレイ
幽霊。真嘉比道の逆立ち幽霊。サカダチユウレイ参照。
マザービー
キジムナー参照。
マザーレーン
キジムナー参照。
マジャー
キジムナー参照。
マジャーグヮ
キジムナー参照。
マジャービー
キジムナー参照。
マジムン
魔物。マジムヌ、マジモン、マジャムンともいう。魔のもの。化け物。沖縄における妖怪や悪霊の総称。人間や動物や植物や器物が化けた魔物の意。マジムンの種類には、豚、家鴨、犬、牛、龕はじめ、器物などの変化がある。アフィラーマジムン、牛マジムンというように、「~マジムン」といった使われ方をする。家には殆ど出ず、主に道の辻などに出没する。決まった場所に出るものもある一方、徘徊するものもある。。ユーリーと混同される事があるがそれは誤りで、ユーリーは幽霊を意味し、人間の亡霊のこと(※幽霊と妖怪の区別がつかない場合は、幽霊はもともと人であり、足がないのが特徴で、一方で、妖怪はもともとは神で、神が凋落したモノなどと考えるのが基本)。奄美地方の一部ではハブをマジムンと呼ぶ。なお伝承でハブは神の使いであったりもする。
マジムヌ
マジムン参照。
マジモン
マジムン参照。
マジャムン
マジムン参照。
マズムヌ
妖怪。幽霊。霊魂。沖縄の宮古島の、化け物や幽霊の総称。動物の怪の場合と、人の死霊や幽霊の場合がある。幽霊や死霊は人の方を向いて現れ、動物の怪の場合はこれが最後という時など滅多に人に顔を向けない点で区別できるという。マズムヌは、相手を食い殺すとか、呪うとか、生きていた時の怨念を晴らそうとするとされる。なお、この霊が来る時には山羊の臭いが強く漂うため、ツカサやカンカカリャには直ぐわかるという。なお木こりのの手伝いをしたり、山から木を運んで家造りの手伝いをしたりする話もある。マジムン参照。キジムナー参照。
マズムン
宮古諸島伊良部島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マダンバシノナナイロムーティ
ナナイロムーティ参照。
マディムヌ
八重山諸島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マゾーソス
マゾームヌ参照。マゾーソスはマゾームヌの誤字ともされるが、よくわかっていない。
マゾームス
マゾームヌ参照。
マゾームヌ
沖縄の石垣島地方の、化け物の総称。総称。沖縄本島のマジムンにほぼ同じ。ちなみに、マジムンの「ムン」や、マゾームヌの「ムヌ」は、「者/モノ」を意味する。
マブイ
霊魂。魂。沖縄でいう霊魂のこと。マブイには、「イチマブイ」と、「シニマブイ」とがある。マブイは驚いた瞬間に体から飛び出してしまう事があり、これを「マブイ落とし」という。地域によって、人に宿るマブイの数は異なり、3つ、5つ、7つだったりする。マブイが落ちた時には、魂込み、マブイツケを行う。なお、マブイの出入り口は、背中の上部、首の下のあたりとされる。マブイグミの呪文ほか、更に詳しくは、イチマブイを参照。なお個人的には、「驚いた」の語源は「おったまげた」で、それは沖縄語「たましぬぎたん(※魂が落ちたの意)」から来ているのではないかと考察する。シニマブイ、イチマブイ参照。
マブイウトシ
魂落とし。マブイ参照。
マブイグミ
魂込み。マブイ参照。
マブイコメ
魂込め。マブイ参照。
マブイゴメ
魂込め。マブイ参照。
マヤ
久米島仲里でのキジムナーのような妖怪。カーカプロー、キジムナー参照。
マヤーガマ
洞窟。沖縄本島の宜野湾市大山に、大山マヤーガマ洞穴遺跡がある。猫をマヤ―、洞穴をガマという。むかしこのマヤ―ガマに住むマジムンが猫に化け、大山村の子ども達をさらっていた。見かねた村の力持ちが化け猫を懲らしめるため、逃げ込んだ洞穴の中の甕を棕櫚の皮で作った左巻きの縄で括り付けた。するとそれ以来、マヤ―ガマの化け猫は二度と村に現れなくなった。バケネコ参照。
マヤーグイオバー
猫喰いオバー。本質的に妖怪や幽霊とは関係がない。沖縄本島本部町備瀬では「猫は七つの罰を受けて生まれたため、死んだら人目に付く場所に吊してさらし者にする」という意が込められ、特にアダンの木に吊され、昔はアダン林の下は猫の死骸だらけだった場所もあるという。猫は執念深いため、化けて出ないようにという風習は全国的にある。琉球では、地面に埋めるのでは猫は成仏できないと考えられ、木に吊るして成仏させると考えられていた。なお猫は、一軒の家で7年以上飼うと化け猫になるとさた。琉球では近年に禁止されるまで猫食が残ったが、一般に肉食性の哺乳類は肉が臭く、脂肪分が少ないため食用に適さず、薬膳などに限られていた。琉球では古くから喘息に効くと信じられ、現在でも先島諸島の一部では稀に用いられる事があるという。なお、一例として、映画『ホテル・ハイビスカス』に出てくる死んだ猫の皮を剥いで食べると子ども達に思われる老婆が登場するる(※沖縄民謡の重鎮、大城美佐子先生が演じる)。バケネコ参照。
マヤーツクグル
妖怪。沖縄の石垣島地方でいう怪鳥。「ミンツクグル」とも言う。「ツクグル」は「梟」の事で、また、冥土の使者とされる。
マユンガナシ
神「真世神司」「真世加那志」等とも表記する。琉球沖縄の石垣島の川平の来訪神として有名。節祭の際に異郷から神が来訪し、簑笠姿で、家々を訪問し、家族繁栄、五穀豊穣を祝福する祝詞を唱える。
マンジー
八重山諸島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マンジャー
八重山諸島、特に小浜島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マンジャースー
八重山諸島、特に小浜島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マンダー
八重山諸島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
マンダーピス
マンダー参照。
ミシゲーマジムン
妖怪。器物の怪。飯笥マジムン。本来、飯笥とは飯を盛る器の事で、しゃもじ(※主に御飯などをすくうのに用いる道具)は杓文字の字を当てるが、琉球沖縄でミシゲーとはしゃもじの事で飯笥の字を当てる。妖怪のミシゲーマジムンは飯笥が古くなって妖怪に変化したもの。沖縄に多い器物の妖怪のひとつ。この飯笥が化けたミシゲーマジムンに対して、鍋笥や杓子(※主に、汁などをすくったりする道具)の場合は、ナビゲーマジムンという。ある家で、夜中に戸を叩くものがいるので開けてみると、一本の飯笥があるだけだったという話が伝わっている。他に、夜中にごみ捨て場から三線や太鼓の音がするのは、捨てられた楽器の器物が毛遊び(※夜、野外で若い男女が遊ぶ、昔からの伝統の集まり)しているからだという。またある話では、ある夜中に三線の賑やかな音が聞こえてきたため、ある男は頬被りしてその集まりに仲間入りした。散々、飲んだり踊ったりしているうちに夜が明けた。一人、二人と去っていって、みんないなくなったが、男は疲れてそのままそこで寝込んでしまった。目が覚めるとそこは床下で、辺り一面、飯笥、杓子、箸などが散乱していたという。またこんな話も伝わる。ある農民が夜中、道で蹲っている一頭の牛を見つけた。そのままにしておくこともできないと考え、明日にでも持ち主を探そうと連れ帰って自分の牛小屋に入れ、砂糖黍を与えたところ、実によく食べたという。翌朝、牛小屋を覗いて見るとそこには牛の姿がなく、堆く積み上げられた黍の上に、一本の飯笥があるだけだったという。この類の怪異が琉球沖縄では昔からたくさん語り継がれてきた。それは、古くなった杓文字や杓子といった器物はごみとして捨ててはいけない大切に使う物とされ、廃棄する場合は供養してきた。ナビゲーマジムン、マジムン参照。
ミチバタ
道端。キジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ミヅシカミ
ミヅシ神。奄美の徳之島、伊仙町地方でいう水神。
ミミチリボージ
幽霊。耳切り坊主。沖縄本島の首里の大村御殿で誅殺された琉球時代の伝説の怪僧。沖縄本島の波之上にある寺に、身体が大きく肌の色が黒いため、世間から黒金座主と呼ばれた、秘法を修めた天台宗の僧がいた。その読経の声は大きく、説教が大変に上手であったという。また、囲碁の腕前は琉球で一、二を争う名人だったという。ところが、幻術を使って次々と女性を誑かして意のままにしていたことが次第に明るみに出て噂となり、北谷王子により成敗された。殺される際に、一方の耳を切り落とされて、もう一方の耳が切り落とされる時に、首を深々と斬りつけられて死んだ。そしてその怨霊が耳切り坊主になった。琉球沖縄の、子守唄としての耳切り坊主は大村御殿とも呼ばれ、鎌や小刀を持ち、泣いている子どもの耳を切る化け物として長く歌い継がれてきた。ただ本来は、耳切り坊主を成敗した北谷王子の屋敷が大村御殿なのであり(※場所は、首里の龍潭池の向かいの旧博物館跡の脇)、子守唄によると、ここに耳切り坊主の化け物が、3、4体、立っていると唄われる。
ミミチリボーヂ
ミミチリボージ参照。
ミンキラウヮー
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の村里のマイナムン。耳無豚。カタキラウヮ、ユナワとも。夕方から夜の間、一人で道を歩いていると、向こうから耳がない仔豚のようなものがやってきて、しきりに、人の股を潜ろうとする。ついしゃがんだりしてこれに股を潜られると、命を取られるか、性器を駄目にされてしまう。これを避けるには、とっさに足を交差させて立てばよい。もしもその状態で股を潜られた場合は何の災いもないという。ミンキラウヮーが出没する場所は、大体決まっていたといわれ、名瀬市内だけでも三、四箇所はあったという。一匹の時もあれば複数で現れる時もあり、出現する時には、クレゾールのような匂いがしたともいわれている。なお、ミンキラウヮーには、影がないとされている。カタキラウヮ、ユナワ参照。
ミンツクグル
マヤーツクグル参照。
ムーティ
ナナイロムーティ参照
ムィティチゴロ
妖怪。奄美の徳之島の阿布木名に伝わる妖怪。ある場所を夜に通ると、一つ目の豚に出会うという。これがムィティチゴロであり、しきりに人の股を潜ろうとし、潜られた人は死ぬ。そのため、昔の人はこれと出会った場合、足を斜交いにして歩いたという。ムィティチゴロは「目一つ五郎」のことと思われる。九州で、目一つ五郎といえば、大きな一つ目小僧のような妖怪を指すが、徳之島では豚の妖怪。
ムヌ
妖怪。怪異。形は漠然としていて定まらない。妖怪を「ヤナムヌ(嫌なモノの意)」ともいう。突然、人が行方不明になる神隠しを「ムヌニ・ムタリユン(ムヌに持たれる)」といい、また迷子になることを「ムヌ・マイー(物迷い)」というのはムヌからきている。別に、奄美の与論島だけにいる妖怪「ハタパギ」を「ムヌ」ともいう。ハタパギ参照
ムヌニムタリユン
ムヌ参照。
ムンバ
奄美の徳之島、伊仙町地方でいう妖怪。洞穴や枯れ木にいるといわれる。
ムヌマイー
モノマヨイ参照。
メリマツノカワラ
目利真角嘉和良。沖縄の宮古島の神。天仁屋大司という女神と、目取真按司の間に生まれた男子で、14歳になると目利真山から天に昇ったが、たびたび地上に降りてきては人々を助け、霊験をお示しになったため、人々は目利真山を御嶽として崇めるようになったとされる。
モーフンコクシ
幽霊。矇雲國師とも。術使いの僧であったという話もある。琉球國に統一される前の三山時代、海賊の頭にモーフンコクシと呼ばれていた者がいて、沖縄じゅうを荒らし回り、略奪の限りを尽くしていたが、ついに捕まって刑に処された。その処刑方法は、八重瀬岳のメカル石と呼ばれていた巨石をくり抜き、縛って中に入れ、そのまま巨石を逆さにひっくり返すもので、窒息死か、餓死するしかないものだった。それからしばらくして、琉球が天変地異や異常気象に度々見舞われ、それがモーフンコクシを残虐に殺したからだというユタが現れた。反対する者たちを押し切って、メカル石はひっくり返されたが、世にも恐ろしい無敵となった巨大なモーフンコクシが出現し、体から黒々とした煙を立ち上らせながら次々と人々を襲い、琉球は大混乱に陥った。それを聞いた、後に中山王となる舜天は、直ぐさま軍勢を引き連れてモーフンコクシを成敗したという。
モトブノイングヮーマブイ
本部のイングヮーマブイ。「イングヮー」とは犬。イングヮーマブイ参照。
モノマヨイ
怪異。物迷い。夕方になると子どもをさらって行く怪。琉球沖縄でいう神隠しのこと。モノに迷わされるの意。
ヤエセダケノモーフンコクシ
モーフンコクシ参照。
ヤギマジムン
妖怪。動物の怪。山羊の変化。山羊マジムン。棺の板が化けた山羊の化け物。名護の羽地村真喜屋のある男が、深夜、真っ白い山羊を見つけて、稲嶺の浜に追い詰めて捕まえ、縛ってから帰宅した。家に帰った夫は妻にそのことを語るが、話し終えた途端に発熱して死亡してしまう。不審に思った妻が翌朝、稲嶺の浜に行ってみたところ、山羊の代わりに、奇怪な棺の板きれが縛られていたという。なお、棺ではなく、骨壺が山羊が化けて害をなす話も沖縄にはよくある。この他に、ピーシャーヤナムン、ピンザマズモノという山羊の妖怪もいるが、よくわかっていない。棺ノマジムン、マジムン参照。
ヤギノマジムン
ヤギマジムン参照。
ヤチバー
沖縄本島中部、勝連半島と周辺の離島などでのキジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ヤナムヌ
ムヌ参照。
ヤマワロ
水蝹。「水蝹」は様々な読み方がある。奄美の妖怪。ケンモンの別名、ないしは似た妖怪。ケンモン参照。
ヤマンカミ
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の山のマイナムン。
ヤマンボ
妖怪。怪異。精霊。奄美大島の山のマイナムン。山中に入った人が「ウーイ」と連れの者を呼ぶと、直ぐ近くで「ウーイ」という人の声ではない返事が返ってくることがあり、ヤマンボの仕業だという。ヤマンボは幼い子どものようであり、いつもは大木の根元に座っているが、人が近寄ると隠れて姿を見せないという。もしも大木の木の実を拾う時は、全部拾わずにヤマンボのために少し残しておくものだと言われ、もしもそれをしないと迷わされて森から出られなくなるという。なお奄美大島では、山のこだまややまびこもヤマンボと呼んでいる。ウバ、ウバトウイ参照。
ヤラムルチノジャー
屋良ムルチのジャー。ジャー参照
ヤンパサカ
ヤンバサカー参照。
ヤンバサカー
沖縄本島北部、屋我地島周辺での呼び名。キジムナーのような妖怪。キジムナー参照。
ユーリー
幽霊。沖縄本島の山原地方のあるユーリーは、白い着物を着た人間のような姿で、長い毛髪が顔を覆っており、身の丈は高いものの、自由自在に低くも高くもなるという。今帰仁村の天底の馬場付近に現れたユーリーは、天に届くほど背が高かったという。出会った場合、「シータカ、シータカ」と言ってユーリーの背を高くし、次に「シーヒク、シーヒク」と言って低くしておいてから、鞭や小枝などで打ちのめす。打ちのめされたユーリーは、蛍火のような青い光を四方に散乱させる。また、背が高く顔だけが真っ赤で、木にぶら下がっていて足がないユーリーを見た人がいるという。またユーリーは、歩くのに足音がなく、足跡もないという。なお那覇周辺でユーリーという場合、幽霊以外に、単に人の死霊の意の場合がある。ユーリーは幽霊であって元は人間であり、元は神だった妖怪やマジムンとは明確に異なる。夜に口笛を吹くとユーリーが出ると伝わる。また、多くは四辻っに出現する。石垣に向かっていたり、無印の提灯を持っているのがユーリーの特徴とされた。夜、自分の名を呼ばれても、三度聞かれないうちは返事をしてはいけないとされたのは、二度までは幽霊でも呼ぶ力があるとされたためである。
ユウレイ
幽霊。琉球國時代の昔から様々な幽霊の話が伝わる。幽霊と書いてユーリーと発音されてきた。ユーリー参照。
ユイヌミーマジムン
妖怪。篩の化け物。ユイとは篩のこと。知恵者がラッキョウになれと念じたところそうなり、人々に食べられた。
ユイピィトヌマイ
ユピトゥンガナシ参照。
ユイピトゥガナシ
ユピトゥンガナシ参照。
ユガラドリ
ゆがら鳥。正直な鳥で正しい人間を助ける。陰口や悪口や告げ口する人がいると夜明けに鳴くという。ほかに女遊びが起こる日は夕方から鳴き始める。家が焼けたり災いが起こる時は、夜中にそれを告げる。また隣り同士が喧嘩をする際に言葉を慎むようにと鳴く。村と村が争うような時は昼間から暴れながら飛び回るという。
ユサンリ
アコークロー参照。
ユシトゥンガナシ
ユピトゥンガナシ参照。
ユナーメー
妖怪。髪の毛がぼうぼうの妖怪。那覇上泉町(旧湧田村、現泉崎)地蔵前の石川家が所蔵し保管してきた木面の事とも言われ、この面をつけて「メーメー、ワーワー」と脅すと夜泣きしている子どもがマブイを落とさずに夜泣きの癖が治ったという。
ユナバル・ヤージー
ユナバルヤージーの、ユナバルは地名の与那原で、ヤージーは苗字の屋宜である。男の怪物だという。
ユナバルヤージー
ユナバル・ヤージー参照。
ユナワ
妖怪。奄美の徳之島の妖怪。夜、群れをなして歩く豚の妖怪で、人の股をしきりに潜ろうとする。潜られた人は死ぬ。名は「夜なウヮー」からきたとされ、「夜の豚」の意。茂野幽考『南西諸島の伝説 上』によれば、名前は出てこないが徳之島の子豚の妖怪が紹介されている。母間と花徳の間に陸川という小さな川があり、夜間にその川を渡る時に口笛を吹くと、必ず豚の子どもが飛び出してくるといわれていた。ある夜のこと、花徳の農民が川海老をとりに出掛けたが、その夜に限って川海老が一匹もとれなかった。そこで農民は退屈紛れに口笛をピーッと吹いた。すると、川上から一匹の豚の子が流れてきたので、網を張って生け捕りにしようとした。次の瞬間、豚の子は網目から幾千にも小さく千切れた豚になって飛び出したため、農民は腰を抜かして驚き無我夢中で自分の家まで走っていって逃げ込んだという。しかし群れをなして追いかけてきた豚の子は、ついに家の中にまで入ってきた。とうとう逃げ場を失った農民が豚小屋に逃げ込んで、寝ていた大きな豚の傍らに伏せて隠れていたところ、豚の子の一群はやがてその場を引き揚げていったという。カタキラウヮ、ミンキラウヮー参照。
ユピトゥンガナシ
結人加那志。寄人加那志。神。山の神、野の神、家の神。竹富島、黒島、石垣島、西表島はじめ八重山諸島の神。時には小人の聖霊で、山から材木を運んで家造りの手伝いをしてくれるとされる。石垣島川平で行われる建物の落成式では「ユイピトゥカエシ」と呼ばれる儀礼が執り行われる。ジンピカレー参照。
ヨーガラサー
夜鳥。怪異。伊平屋島では、夜鳥がたくさん鳴く時はそれほど恐れないが、一羽で鳴く時は、後生(※あの世)からお迎えが来たとして、人が死ぬ予兆とする。
ヨーレ
幽霊。幽霊を奄美ではヨーレという。ユーリー参照。
ヨナバルヤージー
ユナバルヤージー参照。
ヨハシト
夜半人。幽霊。奄美大島の幽霊。侍の幽霊が首無し馬に乗って夜半に現れる。クイナがその先触れをする。家にあかりが点っていると家の中まで入って来るが、爪を隠していると助かるという。
ワーウー
妖怪。(単に醜いの意の場合も。)恐ろしい面相をした怪。醜い妖怪。怖い顔つきの妖怪。実態はよくわかっていない。妖怪を意味する児童語ともいう。なお鬼面を刻んだ「ワーウー石敢当」や、魔除けのために屋根に置く「シーサー・ワーウー」のワーウーは、この妖怪からきているとされる。なおワーウーには、単に、醜男や醜女の意味もある。
ワカサノナカニシヘーイ
ナカニシヘーイ参照。
ワニ
神。海の神。海の神の使い。琉球民話にも出てくるワニとは鮫のことで、古くから日本中でそう呼ばれてきた。鮫は古語で「和爾」。場合により大きい魚のことをいう。
Copyright (C) 横浜のtoshi All Rights Reserved.
※出典資料については、
無断盗用などを避けるため、表示しておりません。
無断盗用・利用は厳禁。
自分自身で図書館に通い、地域を回って集めましょう!
ひろみさん、こんにちは。
なりゆきです。
仕事が沖縄にあったので。
沖縄帰省、楽しんで下さいね。
ハイタイこんにちは(^^)
お返事ありがとうございます。
えっ?! 沖縄に移住されたのですか?
すごい。
うちは、ないちゃーに嫁に行っているので沖縄へは帰省のみ。
移住、うらやましいなぁ。(^^)
ひろみサン、はいさい!
ブログはこのところサボり気味ですが、研究は続けてます。
4月から、なりゆきと勢いで、取り敢えず体だけは沖縄に移住してしまい、研究は、横浜から通わなくていいので、ずいぶん続けやすくなりました。
そうですか、遠縁にツカサの方がいらっしゃるとは、さすが沖縄の方だなあ。
今後ともよろしくお願い致します。感謝 m(_ _)m
横浜のtoshiさんへ(^^)
ハイタイこんにちは。ご無沙汰しております。
お元気そうで良かったです。
きょう、たまたまパソコンを開いていて、あ、そういえばティーだブログって開いたら、とても興味深い内容でした・
もっとも、私が幼いころに祖父母がらちらっと聴いた話がことこまかに記事になっていてとても興味深く拝読させて頂きました。ありがとうございます。
(それから、遠い親戚の伯母がかみんちゅ、司つかさでした。)
これからも拝読させて頂きますね。
お身体くれぐれもご自愛くださいませね。
コメント以外の目的が急増し、承認後、受け付ける設定に変更致しました。今しばらくお待ち下さい。