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琉球沖縄「ぶくぶく茶」琉歌一首(かりゆし)

2012年05月11日

Posted by 横浜のトシ(爲井) at 20:20│Comments(4)琉球ブクブク茶道
琉球沖縄「ぶくぶく茶」琉歌一首(かりゆし)

はいさい、今日(ちゅう)(うが)なびら。
訪問(ほうもん)、ありがとうございます。

琉球時代のお茶の一つに「ぶくぶく茶」があります。
首里の安岡サンの、
「ぶくぶく茶」のための、金の(おうぎ)で、
(おうぎ)の字は、
日展の審査員の書家である母、
爲井蘭学葉の手によるものです。

解説や訳は、私なりに調べてきてまとめたものです。

ただ、本来、母の書のジャンルは、近代詩文で、
もちろん、楷書・行書・草書もかなりの腕ですが、
仮名文字は専門外なので、多少、大目に見て下さい。

また下手ですが、
私が書いた扇も安岡さんの所にあります。

この琉歌(りゅうか)は、航海の安全を祈る琉球民謡(りゅうきゅうみんよう)
「だんじゅ嘉例吉(かりゆし)」の中の、琉歌(りゅうか)で、
短歌形式(八 八 ・ 八 六 )です。

(すで)に「ぶくぶく茶」という題で、以前、記事を書きましたが、
久しぶりの話題のため、以下は少し新たな解釈と訳です。


琉歌

(旅立ちぬ日に)
 ぶくぶくぬ
  御茶や
旅ぬ嘉利
 なむん
  たてゝ廻らしば
   戻ぬ泊


読み
(題 旅立(たびだ)()()
遠くへ旅立つ日に、と題して

ぶくぶくぬ
ぶくぶくの

御茶(ちゃあぐぁー)
お茶よ

(たび)()嘉利(かり)なむん
たて()(めぐ)()
(むとぅ)()(とぅまい)

めでたい旅立(たびだ)ちとなるよう(たっ)っておくれ
(たび)するみんなで(まわ)して()めば
世界を(めぐ)って
きっとこの(とまり)(みなと)
(ひつ)(もど)って()られるように



◇注や解説◇
【だんじゅ】~本当に、いかにも、の意。
嘉例吉(かりゆし)】~名詞。めでたい事や縁起が良い事。素晴らしい事や、おめでたい事。現在でも、よく耳にする「かりゆしウェアー」(御祝いごとはじめとする、正装の服という意)も、昔から沖縄でめでたい時に使う動詞「かりー」(「おめでとう/めでたい」の意)も、元々のこれらの言葉から派生した言葉とみられる。
嘉利(かり/かりい/かーりー)】~動詞など。縁起が良い。めでたい。良きこと多かれ。『だんじゅ嘉例吉(かりゆし)』の中の「かり」を「嘉例吉」とするものがあるが、もともとこの部分は、琉歌の短歌形式の音韻から「嘉利」だと解釈する。「だんじゅ嘉例吉(かりゆし)」の嘉例吉と、琉歌の中の嘉利(かり)は派生語で、当てた漢字や品詞が異なると考える。
【なむん】~の(ような)ものよ。
【たてて】~旅立ちの「立つ」と、お茶が「()つ」の意の掛詞(かけことば)と解釈した。
(みぐ)らし】~旅であちこちを「(まわ)る」のと、ぶくぶく茶を「(まわ)し飲み」する意の、掛詞(かけことば)と解釈した。
(むとぅ)】~もと、の意。
(とぅまい)】~(とまり)の港。
【※ぶくぶく茶】~その歴史は古いものの諸説があるがはっきりとしたところは分かっていない。琉球時代、宮廷の賓客をもてなす際に振舞われていた。のち、船出をする港などで飲まれるお茶として庶民に広まったという説あり。なお、一度、歴史の表舞台から消えたぶくぶく茶は、琉球茶道として田中千恵子先生により現代に復活(「琉球ぶくぶく茶」の記事参照)。

琉歌(りゅうか)のいろいろ
・短歌形式短歌~(八・八・八・六)
※別名「サンパチロクとも」。上句八・八、下句八・六の、三十音の定型。最も一般的形式。
・短歌形式仲風(なかふう)~(七・五・八・六/五・五・八・六)
※二六または二四音の定型。上句~和歌調、下句~琉歌調。
・長歌形式長歌~(八・八・八・八音の連続、末句六音)
・長歌形式つらね~(八・八音の連続、末句六)
※長歌より長い。例~歌劇「泊阿嘉」の「つらね」など。
・長歌形式木遣(きや)り~(八・八音の連続)
※八音と八音の間に囃子(はやし)が入る。
・長歌形式口説(くどぅち)~(七・五の連続)
※和文調。例~上り口説、下り口説、高平万歳、四季口説など。

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仲本勝男、はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

実は、仮名文字だけは、母はあまり知らず、
私の方が、断然、上手なんです。
唯一、母より上手に書ける書体です。

ですが、僕が書くより、扇の価値としては、名のある母が書く方が、
断然、価値が遙かに高いわけです。

それに、なぜか妙に張り切ってしまって。

こちらこそ、今日は色々と、ありがとうございました。
また、ごちそうさまでした。
仏像様がた、いっぺーにふぇーでーびる。
またお会いできる日を、楽しみにしております。感謝。では。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2012年05月12日 22:37


こんばんは!\(⌒日⌒)/
戻ってきたら、ムトヌ・トマイ戻ってきたら母の懐。母の日に涙を誘う歌す。お母さんがお書きなった扇子は元に戻すと母の懐とセンスがいいですね。
今日は知覧の話もでましたが、今は母の懐で少年兵はおりますように。
ルミさん植草さん有意義な語らいができ感謝致します。またの機会を楽しみに致します。母の日をあすに控え改めて感謝申し上げます。
母ちゃんありがとう!(=^0^=)
爲井蘭葉先生ありがとうございます。
Posted by 仲本勝男仲本勝男 at 2012年05月12日 21:27


三河の嫁さん、はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

ありがとうございます。
書いた甲斐が、ありました。

専門の民話と違って、
琉歌は、まだよくわかっていないところも、あるのですが、
みなさんのために、琉球の素晴らしさをもっと知って頂こうと、
こんな形で、書いてみました。

最近急に、
沖縄の「御嶽(ウタキ)や拝所(うがんじゅ)=スピリチュアル」と結びつける連中が増えて、
何か、琉球や沖縄の魂が、酷く、けがされている気がしてなりません。

スピリチュアルは、もちろんスピリチュアルでいいんです。
でも、先祖崇拝や琉球神道は、琉球時代から大切にされてきたもので、別物。
宗教とも違う、琉球沖縄独特の、素晴らしい精神文化だと考えています。

また、琉球神道の神人(かみんちゅ)と、民間占い師(霊媒師)も全く別物で、
それでも、並行して考えられなければいけないのに、実態は滅茶苦茶で悲しくなります。

ぶくぶく茶については、もっと研究しないといけないとは思っているんですが、
なかなか仕事が忙しくて、民話ですら、少しずつしか進んでいません。
今回、ぶくぶく茶の扇に携わって、勉強し、考えた事を、
気分転換に、ちょっと書いてみました。

素適な詩を、ありがとうございます。
とっても、詩を読んだ気持ちが、伝わってきましたよ。

昔も、今も、素適なおじーやおばーがいるのが沖縄です。
もちろん、沖縄だけの事ではありませんが、
飛び抜けて、素適なおじーやおばーが多いのは、琉球時代からの気がします。

大好きな沖縄の人たちのために、もっと勉強したいと思います。
ありがとうございます。感謝。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2012年05月12日 06:23


こんばんは(^^)

素晴らしいですねぇ~、金の扇。
感動しました。ありがとうございます。

ぶくぶく茶で想い出しました。
私の主人と結納で沖縄に初めて訪れて・・・
主人と私、主人のご両親と4人でぶくぶく茶を飲みました。

その後にせーふぁーうたきに行きました。久高島に手を合わせる未来の母の背中に感じた”想い”を婚姻1年目の母の日に贈りましたよ。

せーふぁーうたきの写真をあしらって・・・。
その時の詩を書き込みさせて頂きますね。

新母(しんはは)の
ウタキに祈りし
その背中
優しさみなぎり
ありがたや
ありがたや

私の人生の中で”みなぎる”とは頑張りだとばかり思っていました。
ところが、義母が久高島に祈る姿に・・・子(主人)を思う姿に”優しさ”がみなぎっていました。感動でした!

6行の詩と写真を贈りましたが、本当は、この6行の前後があります。
その一部を抜粋して母の日に贈ったしだいです。義母は神棚に飾り、毎日見ていると言ってくれます。

長文、すみません~!
Posted by 三河の嫁さん at 2012年05月12日 01:54


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