月蝕と鬼 〜琉球沖縄の伝説
みんなで楽しもう!
〜琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話〜
奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第4話。
月蝕と鬼
むかし昔から、ある島では、月蝕というものが起こると、この地上に鬼が降りてきて人を食べようとするのを、お月さまが、どうかこの私を食べて地上の人間たちを生かして下さいと言っているのだと、すべての人ではないけれども、そう信じてきました。
また、月蝕を、鬼が人を食べに来ようとしている前触れだと言って、鬼へのお供え物を作り、家の外に置いて拝む人たちもいたそうです。
またあるところでは、月蝕が起こると、七日の間、雑炊を作っては祖先の墓などすべてに配って、猟師は鉄砲を空に向かって撃ち、人々は戸をたくさん打ち鳴らしました。
老人達の中には、月蝕に向かって拝んでいる人もおりました。
いずれにしても、月蝕の時は、決まって、それがいつもの光景でしたから、幼い頃から物心つくまで、そういった島の子どもたちは、みんな、鬼というものが本当にいるのだと信じていたそうな。
※この話の参考とした話
①鹿児島県大島郡住用村山間〜『吉永イクマツ嫗昔話集』
②沖縄先島八重山郡竹富町黒島〜『八重山民話の旅』
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●伝承地
①奄美・鹿児島県大島郡住用村山間〜昔の人は、月蝕があるでしょう。月蝕があれば、なんと、昔の人は、もう、それを、全部の人ではないが、あの鬼が、鬼が、このしゃばへ、人間を食べにこようとしている。あのお月様が、「自分を食べて、このしゃばの人間を生かして下さいと。あれが、鬼が食べに来るようにしている」と言って、もう、食物などを作り、外へ出して拝む人達がいたわけよ。私共が小さいころは。私共が、ずーと物心つくまで、七日雑炊を作ってから、それを祖先などへ全部配ると、なんと、猪を射る人達が、あちこちで、鉄砲(煙硝ばかりよ)をドンドン鳴らすと、もう、たくさん戸を打ち(鳴らし)よった。そうして、もう、ほとんど(の人々が)していたから、鬼と言うのが、本当にいると、ほれ、思っていた訳よ。老人達は、老人が、ここで○○ばあちゃんと言う老人は、もう、ほれ、月蝕を見ていて拝んでいたよ。(『吉永イクマツ嫗昔話集』)
②沖縄先島・八重山郡竹富町黒島〜月の中の黒い影は、天のボーサマが桶を担いで水汲みをしている姿だそうだ。そのお月さまが全部隠れる月蝕は、腹をすかした鬼がお月さまを飲み込んだためでその年は飢饉があると言っている。また半分のときは、鬼が腹いっぱいになっていて、それで全部は飲まず半分飲んではき出したのだから、来年は豊作だという。(『八重山民話の旅』)
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