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~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第78話。


美女の王様のぼり



 むかし(むかし)のこと、与論島(よろんじま)には、クニガキという(ところ)にミトゥガネ、プカナという所にマグディ、ウイダトゥという所にマナビという、それはそれは(うつく)しい三人(さんにん)(むすめ)がいたそうです。
 この三人の娘はとても(なか)()友達(ともだち)であり、三人の容姿容貌(ようしようぼう)は、それぞれ(こと)なる(うつく)しさでした。したがって娘たちは島中(しまじゅう)()(わた)評判(ひょうばん)の三人でした。
 クニガキのミトゥガネの(いえ)(にわ)には、その(ころ)大層(たいそう)(おお)きく立派(りっぱ)なガジュマルの()がありました。この()は、(とお)麦屋(むぎや)井戸(いど)(あた)りにまで枝葉(えだは)(ひろ)げるほど、()(しげ)っていました。
 三人の美しい娘(たち)黒髪(くろかみ)は、みな(うつく)しく()び、()てば(あし)より(さら)(なが)かったそうです。(なか)()い三人は、よくクニガキのガジュマルの(えだ)(なら)んで(すわ)り、(かみ)をといたり、()ったりしながら、(とき)()ごしたものでした。
 そうこうするうちに、三人の娘(たち)評判(ひょうばん)益々(ますます)(たか)くなって、(つい)に、琉球(りゅうきゅう)首里(しゅり)にいる(おう)(みみ)(まで)(とど)きました。
 (おう)は、与論島(よろんじま)に、評判(ひょうばん)(たか)い三人の美しい娘がいると()るや、是非(ぜひ)とも()って()てみたいと(おも)い、その三人の娘を()()せる(こと)にしました。
 その()らせが、やがて与論島(よろんじま)(とど)き、娘達(むすめたち)三人は、(おう)(ところ)()(こと)になりました。
 ところで、ウイダトゥのマナビには(あに)がおりました。(いもうと)(おも)いの(あに)は、(うつく)しいと評判(ひょうばん)(いもうと)達だけで首里(しゅり)()かせるのが心配(しんぱい)で、三人と一緒(いっしょ)那覇(なは)()こうと決心(けっしん)しました。
 ところで、最初(さいしょ)琉球(りゅうきゅう)(おう)から()るようにと()らせを()けた(たち)は、色々(いろいろ)想像(そうぞう)するにつけ、不安(ふあん)気持(きも)ちで一杯(いっぱい)になりました。王の(ところ)()くべきか、()めるべきか、()くと首里(しゅり)でどんな(こと)自分達(じぶんたち)()()けているのだろうか、()たして(しま)(もど)って()られるのだろうか、()かなければ王の命令(めいれい)(さか)らう(こと)になるのでどんな()()うのだろうか等々(などなど)(なや)みました。
 やがて、娘(たち)一行(いっこう)は、那覇(なは)()きました。(ほど)なく首里(しゅり)到着(とうちゃく)した三人は、早々(そうそう)(おう)()ばれて(しろ)()ったのでした。
 三人の心配(しんぱい)とは裏腹(うらはら)に、城では御馳走(ごちそう)歓迎(かんげい)されて、それはそれは大変(たいへん)な、もてなしを()けたそうです。
 そして(うたげ)最後(さいご)に王は、三人の娘の中で一番美しいのはウイダトゥのマナビ、二番目に美しいのはクニガキのミトゥガネ、三番目がプカナのマグディと個人的(こじんてき)には(おも)うものの、それぞれの美しさに()はまったくないと()うと、娘(たち)めいめいに、沢山(たくさん)褒美(ほうび)(くだ)さいました。
 その褒美とは、(きん)(ぎん)立派(りっぱ)珊瑚(さんご)といった宝物(たからもの)数々(かずかず)でした。
 三人の娘(たち)は、それぞれ(いただ)いた物を(すべ)て舟に()せ、マナビの兄と(とも)(よろこ)(いさ)んで、与論島(よろんじま)への帰路(きろ)船旅(ふなたび)()いたのでした。
 舟には、四人の(ほか)船頭(せんどう)がいて、(かじ)をとって(はし)らせました。
 辺戸岬(へどみさき)与論島(よろんじま)との、調度(ちょうど)()(なか)(あた)りの(うみ)()()かった(とき)(こと)です。
 突然(とつぜん)(ふね)(かたむ)いたかと(おも)うや(いな)や、娘(たち)とマナビの兄の四人と(やま)のような(たから)(うみ)()()されて、一瞬(いっしゅん)にして(すべ)てが(ふか)い海の(そこ)(しず)んでしまったのでした。そして船頭(せんどう)一人だけが()(のこ)りました。
 というのも(じつ)は、(ふね)(かたむ)いて娘達が()ちたのは、そもそも船頭(せんどう)の、最初からの計略(けいりゃく)だったからです。
 四人を海に落としてから宝を(うば)おうと目論(もくろ)んだところ、(たから)(あま)りに(おも)()ぎて、一緒(いっしょ)に海へ落ちてしまったというのが真相(しんそう)なのでした。
 それ以来(いら)(いま)でもその(うみ)(そこ)では、その(とき)の、(きん)(ぎん)珊瑚(さんご)といった宝物(ほうもつ)が、()()なく、きらきらと(ひか)(かがや)いていると()われています。
 (なお)悪人(あくにん)船頭(せんどう)は島に(もど)った(のち)悪事(あくじ)こそ発覚(はっかく)しなかったものの、(おか)した(つみ)(おも)さと、(ころ)された者の(うら)みのためでしょうか、それから不幸(ふこう)災難(さいなん)ばかりが(つづ)いて、子孫(しそん)途絶(とだ)えたそうな。



※この話の参考とした話
奄美・鹿児島県大島郡与論町~『与論のしまがたり』


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●伝承地
奄美・鹿児島県大島郡与論町~昔、クニガキという所にはミトゥガネ、プカナという所にはマグディ、ウイダトゥという所にはマナビという三人の美しい娘がいました。その三人の娘は友達で、また大変容姿が美しく、いつのまにか、島中に知れわたって評判になっていました。その頃、クニガキのミトゥガネの家の庭には、大きなガジマルの木が生えて、遠く麦屋の井戸のあたりまで、枝葉が広がり、生い繁っていました。三人の娘の髪は、また美しく伸びて、立てば足の根元より長く引き、その三人は、クニガキのガジマルの木の枝に坐って、髪をといたり、結ったりしています。そうするうちに、その三人の娘たちは、いっそう評判が高くなって、とうとう那覇の首里の王様の耳にまで入るようになりました。王様は、島にそのような評判高い三人の美しい娘がいることを知って、会ってみたいと思い、その三人の娘を王様のそばに呼ぶようにしました。そういうことで、それからしばらくして、娘たちは王様の所に行くことになりました。ウイダドゥのマナビには、兄がいて、人の目についている妹や、またその美しい娘たちだけを首里にやるのは落ち着かないので、その三人と一緒に那覇に行くことにしました。はじめ、首里の王様から来いという通知を受けた時、娘たちは、王様の所に行くか、やめるか、行けば首里でどんなことになるか、島に戻って来れるのだろうか、また行かないと王様の命令に反対することになるので、どうなるのかと不安でした。首里についた三人は、早々に王様の前に呼ばれて行き、思っていたこととは反対に御馳走や、もてなしをされました。そして、王様は三人の娘の中で一番美しいのはウイダトゥのマナビ、二番目に美しいのはクニガキのミトゥガネ、三番目がプカナのマグディだと言って、めいめいに沢山の褒美を下さいました。その褒美は、金、銀、珊瑚の宝物でした。三人の娘は、めいめいもらった宝物を全部舟にのせて、喜びいさんで、マナビの兄と一緒に島に向って帰る舟を走らせることになりました。舟は船頭が舵をとって走らせ、皆は島に近づくのを喜び、楽しみにしていました。すると、沖縄と島との真中あたりの所にきたとき、舟が傾いて、その三人の娘とマナビの兄と、また沢山の宝物はみんな、大変深い海の底に沈んでゆき、船頭一人だけ、船に乗って生き残りました。あとになってわかったことですが、舟が傾いて、娘たちが海に落ちたのは、船頭の計略で、舟を傾かせ、四人を海に落としてから、宝物を奪い取ろうとしたものだったそうですが、その宝物も落ちて沈み、今、その海の底には、その時の金、銀、珊瑚などの宝物が、きらきら光っていると言われています。それから後、その悪船頭は、そのような罪と怨みで不幸な災難が続き、子孫がとだえたということです。(『与論のしまがたり』)


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うちの髪の毛、
超~癖毛だから、もし、この物語ぐらいの、
なが~~い髪の毛だったら、


とんでもなく、絡まりまくりだろうな~~(^^;;
あ~~、なんて、現実的な~~(#´艸`)プププ

ガジュマルの木の枝に坐って、髪をといたり、結ったりしてる様子は、
まるで、カジュマルの木というか、
植物の妖精って感じもしますね!

ガジュマル=キジムナ~っていうイメージが強いから、
なんだか、
この民話は、外国の童話を読んでるような感じでした!
Posted by す〜み〜☆ at 2011年01月26日 20:47


美しい女性には、憧れますくど、物語に登場する美女は、不幸な結末に終わる事が多いですね
やっばり普通の上等が一番かな〜
Posted by SUZU at 2011年01月25日 23:09


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