降神島 〜琉球沖縄の伝説

2010年10月22日

Posted by 横浜のトシ(爲井) at 20:20│Comments(4)琉球沖縄の伝説・沖縄本島編

みんなで楽しもう!
〜琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話〜

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第10話。


降神島(うるがみしま)



 むかし(むかし)の、お(はなし)です。
 降神島(うるがみしま)というところに、(てん)から(かみ)さまが()りていらっしゃっいました。
 そして、そこから(かみ)さまは、伊是名(いぜな)のアラハ御獄(うたき)というところに()きました。
 (じつ)はそれまで、ずっと()(なか)(くら)かったそうですが、この(かみ)さまがいらっしゃって(はじ)めて、(つい)(あか)るくなったのでした。ところが(かみ)さまは、しばらく()ってから(のち)(とな)りの、伊平屋(いへや)のクマヤ洞窟(どうくつ)というところに()って、その洞穴(ほらあな)(なか)()もってしまい、すると同時(どうじ)()(なか)は、以前(いぜん)までのように、()(くら)になってしまったそうです。
 さて、ほかの(かみ)さま(たち)は、(くら)くなってしまった()(なか)(あか)るくしないといけないと(おも)って、(あつ)まったそうです。そして相談(そうだん)(うえ)で、七人(しちにん)神様(かみさま)(えら)ばれて洞窟(どうくつ)におもむき、どうか()(なか)(あか)るくして()しいと説得(せっとく)しました。すると、(なか)()もっていた(かみ)さまは、クマヤ洞窟(どうくつ)から()()てくれました。
 するとこのクマヤ洞窟(どうくつ)からしだいに(あか)るくなって、(ふたた)()()けて、(いま)のようになったのだそうな。

 
※この話の参考とした話
沖縄県島尻郡伊是名村字仲田〜『いぜな島の民話』
沖縄県島尻郡伊平屋村田名〜『いぜな島の民話』
沖縄県島尻郡伊是名村仲田〜『いぜな島の民話』


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●伝承地
①沖縄県島尻郡伊是名村字仲田〜昔、降神島に神様が、天から降りていらっしゃって、そこからまた、アラハ御獄に、その神様は降りたので、世は明けた。それまで、世は暗かったけど、その神様がアラハ御獄に来たので、世は明るくなった。それから、クマヤ洞窟に行って、そこでまたこもった。それでまた、世を明るくしないといけないといって、神様たちが、七人の神様が行って、願ったので、クマヤ洞窟から世が明けたという話です。(『いぜな島の民話』)
②沖縄県島尻郡伊平屋村田名〜昔からの言い伝えによれば、降神島の神様が籠もった穴と言うことで、その穴はクマヤと呼ばれている。(『伊平屋村史』)
③沖縄県島尻郡伊是名村仲田〜降神(うりがみ)と言って、天照大神は、あの岩に降りて、アカルイ御岳に住んでおられた。それは裸世のことである。そのアカルイ御岳の下で、平らな陸(あぎ)ギタラという石山があるが、そこに裸世の人は住んでいた。アカルイ御岳にしばらく住んで、天城(あまぐすく)に移り、さらに後地(くいじ)に渡って、今のクマヤガマという所に、天照大神は住まれるようになった。(『いぜな島の民話』)


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くがなーサン、はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

神名としての、
「アマテラスオオミカミ」と「天照大神」、
全くの別物の神なんですか?
知りませんでした。

と言うより、宗教学で少しはかじった筈なんですが、忘れてます。

『日本書紀』では「天照大神」、
『古事記』では「天照大御神」、
「大日?貴神」(おおひるめのむちのかみ)ほか、
色々な呼び名があることは、何となく、覚えていたんですが。

話が混濁している点ですが、
それがまた、民話の実に面白い点でもあります。

また、
さまざまな角度から、
民話も又、学問されるべきであると同時に、
民話は、そもそも研究のためにだけ、あるべきものではないと思い立ち、
こうして、書いております。

沖縄や奄美の神々については、
今、勉強し始めているところですが、
大学で習ったことなどを、いったん横に置いて、
なるべく、沖縄や奄美の視点から、
考えていきたいと、思っているところです。

色々と知らないことばかりでした。
教えていただきまして、ありがとうございます。

また、コメント、ありがとうございました。
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

では。
Posted by 横浜のtoshi at 2010年11月07日 18:51



神名としての「アマテラスオオミカミ」と「天照大神」は全くの別物の神と言う宗教学を履修している人は少ないですね。沖縄に天下った「天孫氏」こと「国造系神々」と「アマテラス」もまた別物です。混濁した話が多いようですね。奄美の「天孫岳」と「湯湾岳」に降りた神は「ニニギノノミコト」の孫「アキハヤツノミコト」とされていますよね(日本神道の系譜にはアキハヤツノミコトは入っていない)。またその「アキハヤツノミコト」は奄美大島にも鎮座出来ずに徳之島の「天城岳(アマングスク)」に再び降臨し、また鎮座出来ず沖永良部島の「越山」と「大山」でも落ち着かず南へ…とされていますね。
ちなみに「アマテラスオオミカミ」と「天照大神」が融合したのは平安時代の京の都の仏僧による誤った当て字から派生したようです。「天照大神」は中国東北部から朝鮮半島の多くの書物に出現する土着信仰の神名であり、「アマテラス」も該当する全く別の神が大陸に存在します。
伊平屋の籠屋窟(クマヤーガマ)には戦直後まできちんと「三種の神器」が供えられていたそうですが昭和26頃に東京の宮内庁(省)の役人と神社庁所属の東京の禰宜共と巫女共が大挙して伊平屋に来島し、クマヤーガマ近辺を封鎖し、三日三晩夜通し「岩戸開き儀式」と思われる雅楽などの音楽がその方向から聴こえたそうです、その後その東京からの一行が去った後、クマヤーガマに供えられていた「三種の神器」などは悉く持ち去られていたとか。
旧伊平屋村出身北谷町在住の寿司屋のマスターがアメリカまで行ってまで調べたようです。
最後にですが、明治天皇と昭和天皇の晩年良くおっしゃられていた「沖縄へ生きたい」の言葉と「宮内庁皇室献立」の多数が琉球料理と酷似しているのも気になるところです。
Posted by くがなー at 2010年11月07日 12:53



ルミさん、はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

沖縄だけでなく、日本は、かつて、神々の島でした。
少なくとも、僕はそう思います。

ただ、その神々は、
沖縄や奄美の神々であり、地域の神々でした。

ここ最近、
パワースポット、スピリチュアル、さまざまな宗教を、
拝所(うがんじゅ)に持ち込む方々がおりますが、
琉球沖縄の先祖や神様を間違えているので、
神様は怒り出さないか、それがちょっと心配です。(笑)

沖縄の、全ての、拝所(うがんじゅ)を回るのは、
かつて、琉球国だった頃から、
最高の位にあった、聞得大君(チフィジン)も、していませんので、
新たな試みといえます。

四国の、八十八カ所を巡る、お遍路(へんど)まいりみたいですね。
でも、数が多いから、大変だなあ。

ただ、
人間は、そう、すてたものではなくて、
一方で、
正しく、子孫に、先祖からの、正しい色々を、
きちんと伝えようとする人々が、常に、いるものです。
きっと、
ルミさんが言われる、神人や、本を出版されたおばさんは、
そういう方々の、一人なのでしょう。

親が子供と、一緒に、昔話を読むことの素晴らしさと共に、
親戚のおばさんの心もまた、
『沖縄のむかしばなし』に、こもっていますから、楽しんで下さいね。

沖縄という土地に生まれた、戸籍の上で日本人、日本語を話すというここと、
その土地を知っている、日本人や日本語のの魂を知っていることは違って、
といって、
知らないから、いけないとかではなくて、
やはり、損をすることや、自分を見失うことが多いといえます。

僕は、無宗教で、
文学の人間で、
文は人だから、人間教(きょう)、読書教(きょう)の信者ですが、
いろいろと学んで、
それによって、かえって馬鹿になったと思う部分が、たくさんあります。

いつも、コメントありがとうございます。

では。
Posted by 横浜のtoshi at 2010年10月23日 14:01



横浜のtoshiさんこんばんは
はっきりとは覚えていませんが…
7年?ほど前に親戚のおばさんから(カミンチュ?)生前聞いた事があります。
沖縄は神の島だよ〜って…沖縄全島の拝所を回って拝んだらしいです。
toshiさんのお話は…民話の中でも伝説 で実際にある物や特定の人物、信仰など
が多いので 勉強になります。いつもありがとうございます

別の親戚のおばさん(笑)は『沖縄のむかしばなし』を(3)集まで自費出版しました。親が子供に読んであげるといい本です
教師を退職後周囲のすすめでまとめたそうです。

toshiさんの影響でその『むかしばなし』を最近読み返していますよ(笑)
機会をみてその本の紹介をしたいと思っています
Posted by ルミ at 2010年10月23日 00:52


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