てぃーだブログ › 琉球沖縄を学びながら、いろいろ考えていきたいな~ › 琉球沖縄の伝説・沖縄本島編 › カニマンの世の始まり 〜琉球沖縄の伝説

みんなで楽しもう!
〜琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話〜

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第2話。


カニマンの世の始まり



 カニマン(金満)というのが(なに)か、みなさんは、ご存知(ぞん)じでしょうか。
 むかし(むかし)のお(はなし)です。
 (つき)(かみ)さまである、まん(まる)いお(つき)さまと、(おんな)(かみ)さまである太陽(たいよう)は、(うみ)(そこ)龍宮城(りゅうぐうじょう)から、いつも(そら)(のぼ)っては、(てん)(うえ)で、ぐるぐるまわっておりました。
 お(つき)さまと太陽(たいよう)は、おつき()いしているので、八月(はちがつ)十五夜(じゅうごや)の、昼(ひる)(あいだ)(あい)()うことがあります。お(つき)さまと太陽(たいよう)(かさ)なり()って(あい)()うことを、最近(さいきん)では月蝕(げっしょく)()ぶようになりました。昼間(ひるま)なのに、あたりが()(くら)になってしまいます。
 けれども、それを正面(しょうめん)から()たり、(おが)んだりしてはいけないと、(むかし)むか()(つた)えられてきました。
 また、どうしても()たければ、(みず)(うつ)ったのをそっと()るのがよいと()われてきました。
 そして、月蝕(げっしょく)(おわ)わって(あか)るくなって、(よる)()たら、お(もち)をお(そな)えして、お(つき)さまを、みんなで(おが)みます。
 それを(むかし)から、カニマン(金満)というのだそうな。

 
※この話の参考とした話
沖縄本島・沖縄県島尻郡伊是名村字内花~『いぜな島の民話』
沖縄本島宜野湾市〜『南島説話』
沖縄先島宮古島市平良〜『月と不死』
沖縄先島宮古郡多良間村〜同上


Copyright (C) 横浜のtoshi All Rights Reserved.


●伝承地
①沖縄本島・沖縄県島尻郡伊是名村字内花~はい、この金満というのは、どういうふうにありますか、と言うたら。はい、金満が、まん丸いお月様と太陽と、昼の太陽と夜の月と交換やって、底海の下の竜宮城の下から、天の上までまわってグルグル夜の月と昼の太陽とがまわって、付き合いして。この子どもを生んだのはね、子種も熟れたので、これを女の月の腹に入れて、この子どもが生まれて、これ生まれたものを世界中に割り振りして、そうやるのが、これが世の一番、第一ですよ。生んだ子どもは、男も女も、世界中に、みんな分けてやってありますよう。家にはみんないないでしょう。これが、金満という。そして、これがお月様。八月の月になったなら、十五夜のお月様が出るでしょう。あれの中で内通(月食)する時は、黒いでしょう。これは内通やって、夫婦(月と太陽)が仲相手(営み)をする。これ(夫婦)が内通やる場合は、拝み入れないよ。八月の十五夜のお月様の拝みは入れないよ。これがいらない。そして明るくなったときにこの餅作って八月の十五夜の拝み入れるよ。はい、お月様拝む。これが金満。(『いぜな島の民話』)
②沖縄本島・沖縄県宜野湾市~日神は女神で、月神は男神である。日月蝕は両神の会交である。それで正面から見てはならない。これを水にうつしてみると、月神が大広がりしている日神の上に上がるのがよく見える。(『南島説話』)
③沖縄先島・沖縄県平良市~太陽と太陰とは夫婦であった。それで夫婦が同衾して夫が愛に包まれて片足を妻ーー月の体に投げたとき、月の光は曇って月蝕が起り、妻が同じように夫に媚びたときに、日蝕が現われるという。(『月と不死』)
④沖縄先島・沖縄県宮古郡多良間村~太古、妻の月の光は、夫の日の光よりはるかに明るいものであった。その夫が羨望のあまり、少し光を譲るように、しばしば願ってみた。しかし妻はそれを聞き入れない。そこで夫は妻の外出する機会をねらって、後から忍び寄り地上に突き落とした。月は盛装を凝らしていたが、泥のなかに落ちて、全身汚れてしまった。そこに水の入った二つの桶を天秤棒につけて、一人の農夫が通りかかり、泥の中から、月を救い出し、桶の水できれいに洗ってやった。月は再び青空へ上って世界を照らしたが、このときから、明るい輝ける月の光を失ってしまった。月は謝礼に農夫を招いたところ、農夫は今なを留まっていて、満月の夜、その姿をわれわれに見せるようになったという。(同右)


同じカテゴリー(琉球沖縄の伝説・沖縄本島編)の記事

この記事へのコメント・感想・ゆんたくはじめ、お気軽にお書き下さい。承認後アップされます。

Girls168さん、はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

もちろん、僕も、本を読むまで、知りませんでした。
だから、ちっとも恥ずかしくないですよ。

逆であることも、僕も同じです。
後でよく考えたら、天照大神が、女性の神だと知っていたのに。
この物語を読んで、へぇ〜、沖縄は逆なんだって、思いましたから。

太陽が男で、月が女というのは、沖縄だけではなくて、
それだけ日本中、アメリカはじめ、外国の考え方が根付いてきて、
日本的なものが、薄くなっている証拠なんでしょうねぇ〜。

ご両親に、聞いてみて下さいね。
あと、機会があったら、ご年配の方々にも。
本など読まなくても、きっと知っている人は、いるはずですよ〜。

コメント、ありがとうございます。
では。
Posted by 横浜のtoshi at 2010年10月15日 17:52



こんにちは!

カニマン(金満)って言うんですねっ!w(◎0◎)w
って、沖縄の自分が知らないのは恥ずかしい事ですが..
両親は知ってるかな?
今度、聞いてみようかな!(^^)

だけど、逆だと思ってました!
太陽が男で月が女なのかと思ってました(^^;)
Posted by Girls168 at 2010年10月15日 14:22



昆布山葵さん、こんにちは。

その後、車の中で、蚊が飛んでいませんか?
この間、車の乗ったら、蚊が、まぎれ込んでいて、
反射的に、後ろのガラス、チェックしてしまいました(笑)。

そうなんです。
前に、読んだ時は、実は気づかなかったんですが、
書いていて、「月−男」「太陽−女」なので、少し調べて見ました。

エジプト神話のラー、
ギリシャ神話のアポロンはじめ、
「太陽−男−光」「月−女−闇」で、
やっぱり、太陽は、一般に男です。そして、月が女性。

ところが、北欧の神話では、太陽が「女神」、月が「男神」となっていました。

日本人の中でも、北欧は、珍しいなあ、なんて言っている人、多いです。
(※僕も、その一人でしたが。)

まず、
日本人の中で、逆になっているこの話が、
沖縄にあるのを知っている人は、そもそも、少ないと思います。

ところがその一方で、
日本神話を考えてみると、
スサノオの横暴に怒った天照大神(あまてらすおおみかみ)が、
天岩戸(あまのいわと)に、こもってしまって、
世界が暗闇になってしまう、という、有名な話があります。

天照大神ですが、
男の神だとする人も一部いますが、
現在は、「女の神」とするのが、主流です。
対(つい)をなす月の神である月読命は、
性別が明らかでありませんが、一般には男神です。

ここから、
はるか昔から、
日本本土と沖縄や奄美が、つながりがあったことが、
言葉だけでなく、こういったことでも、わかるというわけです。

ちなみに、
中国ですが、
神話においては、中国の創世記が、
かなり日本の神話に影響を及ぼしていると、考えられています。
「盤古(ばんこ)」という神の左目が「太陽」、右目が「月」として、
生まれてきたとしています。
中国の、月の神というと、「西王母」という有名な女神がいます。
「太陽−男−東−陽」、「月−女−西−陰」のようです。
但し、太陽や月を、あまり神格化して崇拝する習慣は少ないようです。

インドは、月の神は、男神のようでした。

まとめると、
日本人の多くは、天照大神を「女性の神」で、「太陽の神」と知っていながら、
「太陽−男神」「月−女神」と、考える人が増えて、
そして、
逆になっている、「太陽−女神」「月−男神」を知ると、
変わってるなぁって、天然ボケを起こしているというわけです
(かつての僕のように)。


コメント、ありがとうございました。
では。
Posted by 横浜のtoshi at 2010年10月15日 07:53



考えてみたら、月が男で太陽が女っていうのは他の国の習わしとは逆になってるんですね。

そこんとこも興味深いです(^-^)
Posted by 昆布山葵 at 2010年10月15日 03:21


コメント以外の目的が急増し、承認後、受け付ける設定に変更致しました。今しばらくお待ち下さい。

※TI-DAのURLを記入していただくと、ブログのプロフィール画像が出ます。もしよろしければ、ご利用下さい。(詳細はこの下線部クリックして「コメ★プロ!」をご覧下さい。)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
琉球沖縄の伝説・沖縄本島編」 新着20件  → 目次(サイトマップ)       設置方法