後生が道の洞穴

2011年06月27日

Posted by 横浜のトシ at 20:20│Comments(0)琉球沖縄の伝説・奄美編

みんなで楽しもう!
~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第166話。


後生(ぐそー)(みち)洞穴(どうけつ)



 奄美大島(あまみおおしま)笠利(かさり)土浜(つちはま)に、後生(ぐそー)(みち)という洞穴(どうけつ)が、むかし(むかし)あったそうです。
 用安(ようあん)とも節田(せった)ともいわれていますが(むら)(ひと)が、ある(とき)(うし)()げられてしまったそうです。そこで(さが)して()くと、(うし)足跡(あしあと)は、後生(ぐそー)(みち)洞穴(どうけつ)まで(つづ)いて()えていました。村人(ぶらびと)は、(あと)()って(あな)(なか)(はい)って()きました。そこに(うし)見当(みあ)たらないので、後生(ぐそー)(みち)(おく)(すす)んで()きました。
 すると(おどろ)いたことに、(うし)(かこ)んで、多勢(おおぜい)(ひと)見物(けんぶつ)しているではありませんか。
 そこで、村人(むらびと)()うことには、
 「(わたし)仲間(なかま)()れて(くだ)さい。」と。
 すると、そこにいた一人(ひとり)()うことには、
 「仲間(なかま)()れてあげるのは(かま)わない。
 (ただ)し、約束(やくそく)してもらわなければならない(こと)があります。それは、(むら)(かえ)ってから、この(あな)(こと)は、絶対(ぜったい)(はな)してはいけません。
 もしも(はな)してしまうと、二度(にど)とここには()られませんよ。」と。
 ところがその村人(むらびと)約束(やくそく)(まも)らず、(むら)(かえ)ると、(あな)(こと)(はな)してしまいました。
 (つい)約束(やくそく)(やぶ)った(ひと)()てしまったため、それからというもの、その後生(ぐそー)(みち)はとうとう(ふさ)がってしまったそうな。

 
※この話の参考とした話
柳田~「人捨穴」
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇刈~南島昔話叢書1『瀬戸内町の昔話』
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇苅~『奄美諸島の昔話』
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇苅~『瀬戸内町誌』
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町久根津~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町久根津~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町網之子~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町網之子~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町花富~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町阿木名~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町与路~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町西古見~同上
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町阿鉄~同上


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●伝承地
柳田~「人捨穴」
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇刈~笠利の土浜に、後生が道という洞穴があったそうです。用安か節田かの村の人が、牛を逃がしたそうです。それを捜して行くと、その牛の足跡は、その穴の中へ消えていたそうです。その人が後を付けて行ってみると、その後生が道の奥へ、その牛は逃げ込んでいたそうです。そして、驚いたことには、その牛を囲んで、多勢の人がさかんに見物していたそうです。その人が、「私も、仲間に入れてください」と言ったそうです。すると、その中の一人が、「仲間に入ってもよいが、一つ約束があります。それは、村に帰ってからこの穴のことを話さないこと。もしこの穴のことを、村へ帰って話すと、二度とここには、来られないよ。」と言ったそうです。ところが、その男はその約束を守らずに、村へ帰ってから、その不思議な穴の話をしたそうです。すると、その後生が道は、とうとう塞がってしまったそうです。(南島昔話叢書1『瀬戸内町の昔話』)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇苅~笠利の土浜には後生神という洞穴があった。死人の集合する場所である。ある牛持が牛が逃げたので牛を追って、この洞穴に入っていくと、人々が集まって牛をみていた。牛を返してくれといったが返すわけにはいかないといわれた。そしてまた、ここのことを誰にもいわなければ、ここにきてもいいともいわれた。しかし、この人は口外した。そのために洞穴への道がふさがったそうな。(『奄美諸島の昔話』)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町蘇苅~蘇苅の川内のユビタ(深田)は対岸の加計呂麻島の安脚場につながっているという。(『瀬戸内町誌』)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町久根津~久根津のユビダ(深田)に落ちてはまると、山の尾根を隔てた隣の油井に抜け出るという。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町久根津~久根津のクダン(小字名)寄りの岬にシバンサキがあり、そこに穴がある。この穴は、そこから東北方向にある阿木名に通じているという。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町網之子~網之子のソチ(共同水汲場)に大うなぎがすんでいる。このソチは山の尾根をいくつも隔てた勝浦につながっている。大うなぎは、この間を行ったり来たりしているという。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町網之子~網之子のユビー(深田)に落ちこむと節子の沖のタマタディル(二股岩)に出るという。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町花富~加計呂麻島の花富のウハマザキの穴と山を越えた反対側の瀬相の河口とつながっているといい、この穴は神高いとして恐れられている。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町阿木名~網之子と勝浦のソチ(共同水汲場)とはつながっており、それは阿木名の仲田のナガムラ沼にもつながっているといい、大うなぎもいるという。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町与路~与路島のイヌクという山中にアプノトという穴があり、そこへ木を落とすと海へ流れ出るという。また、ウヤンクチという洞穴が、サンチョバナを越えたウナワというところにあり、他の島につながっているという。この洞穴をススキの松明七束を持って行ったが奥をきわめることができず、三十束を準備したその夜、断念するようにという夢をみたので中止した。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町西古見~大和村今里の沖に洞穴があり、小舟が十隻ほどは入れる広さがある。これは大島本島東側の住用村に出るという。(同上)
奄美・鹿児島県大島郡瀬戸内町阿鉄~阿鉄の長田川に滝壺があり阿木名へ通じているという。ここの主は大うなぎであるという。(同上)


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