てぃーだブログ › 琉球沖縄を学びながら、いろいろ考えていきたいな~ › 新訳・琉球民話『球陽外巻/遺老説伝』 › 田芋の由来~新『球陽外卷・遺老說傳』第27話

みんなで楽しもう!
~琉球沖縄に伝わる民話~

新訳球陽外卷(きゅうようがいかん)遺老(いろうせつでん)』第27話

田芋(たーうむ)由来(ゆらい)




 (とお)(むかし)時代(じだい)中城(なかぐすく/なかぐすぃく/なかぐしく・)(ぐん)糸蒲(いとかま)()(ひと)つの寺院(じいん)がありました。
 その()糸蒲寺(いとかまでら)()ばれていました。
 (てら)一人(ひとり)(そう)金武(きん/ちん・)(そん)(ひと)がいました。
 ある()田園(でんえん)近辺(きんぺん)()ったところ、たまたま田芋(たーうむ)があって水路(すいろ)にそれは()えていて、()(くき)(ほか)のものとは(ひど)(こと)なっているのを()て、これを(てら)(もち)(かえ)って自分(じぶん)(はたけ)栽培(さいばい)したのでした。
 それから月日(つきひ)()って、その()()()こしてみると、()(むす)んでいる(かず)非常(ひじょう)(おお)く、(あじ)もまた(ほど)よく(あま)くて美味(おい)しくて、人々(ひとびと)(しょく)(おぎな)うのにたえ()るものでした。
 近隣(きんりん)()人々(ひとびと)は、その(こと)()(およ)んで、お(ねが)いしてこの(たね)()()れ、万遍(まんべん)なく自分達(じぶんたち)(はたけ)栽培(さいばい)したのでした。
 これより(のち)はだんだんと()(ひろ)がって、国中(くにじゅう)(およ)びました。



 
※注や解説

往昔(おうせき)】~()()った(むかし)大昔(おおむかし)往古(おうこ)昔々(むかしむかし)(はる)(むかし)(いにしえ)
仲城(なかぐすく/なかぐすぃく/なかぐしく・)(ぐん)糸蒲(いとかま)()】~中城(なかぐすく/なかぐすぃく/なかぐしく・)間切(まぎり・)糸蒲(いとかま)(いま)中城(なかぐすく/なかぐすぃく/なかぐしく・)南上原(みなみうえばる・)糸蒲(いとかま/いとがま)沖縄県地誌(おきなわけんちし)に、「津覇(つぃふぁ/ちふぁ)(そん)境界(きょうかい)(ぞく)し、イトガマ原は本村の西南(せいなん)にある。田芋(たいも)生地(しょうち)なり、原内に人家(じんか)あり、イトガマ原寄居(よりい)という」という表記(ひょうき)があるという。
僧寺(そうじ)】~(てら)寺院(じいん)(とく)に、尼寺(あまでら)(たい)して(おとこ)僧侶(そうりょ)(じゅう)する(てら)
一日(いちじつ/ひとひ/いちにち)】~ある()先日(せんじつ)、の()
園畔(えんぱん)】~「(えん)」は田畑(たはた)田園(でんえん)()。 「(はん)」は、その付近(ふきん)近辺(きんぺん)(そば)、あぜの()
田芋(たーうむ/たーんむ/たーむ/たーまーむ/たーむー)】~「たいも」が「たーうむ」に。里芋(さといも)栽培品種(さいばいひんしゅ)で、()栽培(さいばい)する。田芋(たいも)は、(あさ)(みず)()った水田(すいでん)栽培(さいばい)される里芋(さといも)。「水芋(みずいも)」とも。日本(にほん)では(おも)に、南西諸島(なんせいしょとう)各地(かくち)栽培(さいばい)される。発音(はつおん)は、沖縄(おきなわ)では「たーうむ/たーんむ/たーむ/たーまーむ/たーむー」、与論島(よろんじま)では「たーぬうん/たーむじ」、沖永良部島(おきのえらぶじま)では「たーにうむ」、奄美大島(あまみおおしま)では「たーうむ/たーむじ/くわり」、喜界島(きかいじま)では「うむ」などと()ばれる。
(みぞ/こう/うなて)】~()(はたけ)(みず)()くみぞ。田畑(たはた/でんぱた/でんばた)(みず)(なが)すために()った水路(すいろ)
葉枝(ようし)】~()(えだ)
(はなは)だ】~普通(ふつう)程度(ていど)(はる)かに()えているさま。大変(たいへん)。たいそう。非常(ひじょう)に。マイナスイメージの意味(いみ)は、(ひど)く。
()う】~栽培(さいばい)する。
結実(けつじつ)】~ 植物(しょくぶつ)()(むす)ぶこと。
(おびただ)しく】~(かず)(りょう)非常(ひじょう)(おお)い。
甘美(かんび)】~(あじ)(ほど)よく、(あま)くて美味(おい)しいこと。また、そのさま。
(こた)ゆ】~(こた)える。()(つづ)ける。(たも)つ。
(もと)めて】~「(もと)めて」に(おな)じ。
(あまね)く】~「(あまね)く」とも。もれなくすべてに(およ)んでいるさま。(ひろ)く。一般(いっぱん)に。
田畝(でんぽ/でんぼ/たんぼ)】~田圃(でんぽ/でんぼ/たんぼ)とも。田畑(たはた)家主(いえぬし/いえあるじ)田畝(でんぽ/でんぼ/たんぼ)
(ようや)く】~漢文訓読(かんぶんくんどく)(おお)(もち)いられた()で、「ややく(稍)」または「やくやく(漸漸)」の(てん)じたもの)やっと。かろうじて。やっとのことで。(なん)とか。だんだん。しだいに。ゆっくりと。おもむろに。
蕃衍(はんえん)】~繁衍(はんえん)()(ひろ)がること。
【原文】~往昔之世仲城郡糸蒲之地有一僧寺名叫糸蒲寺寺有一徒(金武村人)一日往園畔偶看有田芋生溝中葉枝甚異栽之于園中至于日久掘起其根結實甚夥味亦甘美堪補人食近鄰之人聞得其事覓得此種遍栽于田畝自此之後漸致蕃衍及于國中


Copyright (C) 横浜のtoshi All Rights Reserved.




同じカテゴリー(新訳・琉球民話『球陽外巻/遺老説伝』)の記事

この記事へのコメント・感想・ゆんたくはじめ、お気軽にお書き下さい。承認後アップされます。
はいさい、今日(ちゅう)拝(うが)なびら。

田芋ウムニー、田芋の空揚げ、田芋の小判揚げ、田芋のでんがく、
ぜんぶ、美味しそうですねぇ~。

ん? 単に、がちまやーなだけ?(笑)

ルミ先生を呼んだら、確かに、すごそうですねぇ。
もちろん、僕も、駆けつけま~す!

ん? やっぱり、単に、がちまやーなだけですねぇ~(笑)
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2012年09月12日 07:23


横浜のtoshiさん
私も一昨日(8.9日)田芋ウムニーを食べております。

ルミさんのレシピを参考に致します。私がつくるわけではありませんが(笑)

つくってみましょうかtoshiさんルミ先生をお呼びして(笑)

本気です。   明日も天気になーレ!
Posted by 仲本勝男仲本勝男 at 2012年09月10日 10:56


ルミさん、はいさい、今日拝なびら。

田芋の由来ですが、意外に資料が少ないです
(ただ僕の調べ方が、悪いだけかも知れませんが)。

それでも、この話からは、
琉球沖縄の田芋は、
外からもたらされた物という表記になっていません。

もしかしたら、かなり昔から、
琉球沖縄にあった物なのかななんて、
考えながら、書いてみました。

いつもありがとうございます。
励みになります。感謝!
Posted by 横浜のtoshi at 2012年09月07日 08:17


横浜のtoshiさん
こんにちは


田芋~沖縄の祝い料理には、よく使われますよ~。

田芋の繁殖にあやかって、

『子孫繁栄』『喜びが田芋のようにたくさん増えるように』

といわれています。

お重箱に

『田芋の空揚げ』
『田芋の小判揚げ』(経済的(笑))

私は お正月など祝いの時に、

『田芋のでんがく』を作ることが多いです。
(油で炒めないで、お湯をかぶる程度に加え、砂糖も入れて味を整えて仕上げています)


toshiさんのブログを読んで~

田芋の由来を知り

昔の人の先見の目?に、ビックリしましたよ

次に田芋料理をする時は、
この田芋の由来を思い出すことでしょう

ありがとうございました。
Posted by ルミ at 2012年09月06日 19:36


コメント以外の目的が急増し、承認後、受け付ける設定に変更致しました。今しばらくお待ち下さい。

※TI-DAのURLを記入していただくと、ブログのプロフィール画像が出ます。もしよろしければ、ご利用下さい。(詳細はこの下線部クリックして「コメ★プロ!」をご覧下さい。)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
新訳・琉球民話『球陽外巻/遺老説伝』」 新着20件  → 目次(サイトマップ)       設置方法