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~琉球沖縄に伝わる民話~
新訳『球陽外卷・遺老說傳』第29話
琉球の貫玉
遠い古の昔、ある中国の人が、暴風に遭って漂流し琉球國に到着しました。
深く琉球の風俗に慣れ親しんで、故郷に戻る事を考えなくなり、持てる力を琉球國のために発揮することにしました。
とうとう銘苅の琉球女性を娶り、妻は男の子を出産しました。
その子どもが成長すると、中国人の父は息子に、貫玉を作る技術を伝授し、琉球の人々にその製造方法を指導させて、琉球國からそれまで受けてきた恩に報いたのでした。
琉球の貫玉作りはこれより始まりました。
※注や解説
【往昔】~過ぎ去った昔。大昔。往古。昔々。遙か昔。古。
【抵る】~「抵」は「至」の意。到着する。
【効す】~力を発揮する、またその結果。ききめ。
【遂に】~「竟に」「終に」とも。ついに。とうとう。しまいに。結局。最後に。終わりに。また(「終ぞ」に同じで)、今までに一度も。未だ嘗て。
【銘苅】~かつての真和志間切安謝村銘苅。銘苅を含む安謝一帯が、かつて前安謝と呼ばれ、一四八六年には銘苅は安謝邑の中にあった。安謝村は、一六四六年から浦添間切、一六四六年から西原間切、一六六六年から真和志間切、一九〇八(明四二)年に真和志村安謝へと次々に変わるが、その際に銘苅は安謝から独立して、銘苅となる。一九五三(昭二八)年に真和志村が市になり、一九五七(昭三二)年には那覇市と合併。現在の那覇市銘苅に。銘苅という土地は、向氏伊是名殿内墓以外の墓跡群が、那覇市役所銘苅庁舎の裏にあることをはじめ(未公開)、琉球の歴史を知る上で重要な地域の一つといわれている。
【児】~親に対する子。子ども。幼い子。童。若者。男子。
【長成】~「長成」は「成長」に同じ。「成長」は古くは「せいぢょう」 とも発音。
【及び】~名詞で、及ぶ事や、届く意を表す以外に、漢文の訓読で、接続詞として使う「及」の字を「および」と読んだのが、日本語として一般化する。多くの語を並列する時、最後の二語の間にだけ置く事が多い。と。ならびに。また。そして。
【将ふるに】~「将」は「伝(傳)」に同じ。
【以て】~(漢文における「以」や「式」の訓読から生じた語)。そして。(それ)によって。(それ)について。(それ)をもちいて。(多く「…をもって」の形で格助詞のように使用して)・・・・・・て。・・・・・・で。・・・・・・でもって。・・・・・・によって。・・・・・・の理由で。・・・・・・により。・・・・・・に。・・・・・・の上に。・・・・・・に加えて。・・・・・・の上に。・・・・・・かつ。・・・・・・しながら。「将ふるに貫玉を以てし、」は、日本語の語順では貫玉について将ふるの意。
【貫玉】~糸に玉を貫き連ねたもので、様々な飾り。勾玉(曲玉)、スダマ、マダマ等々の種類がある。なお、琉球では祝女の祭具として日本の勾玉も使われていたようで、勾玉も貫玉の一種といえる。但し、古琉球時代の十四~十六世紀の遺構からすでに、玉で作られた勾玉や、金や陶製が出土しているため、中国から伝わったというこの話の貫玉は勾玉ではないと考えられる。それでも玉のブレスレットや首飾りといった装身具類全般であろうと思われる。いずれにせよ、今の時代とは違って、貫玉の製造は容易ではなく、まして勾玉ともなるとそれ以上に難しかった。元々は装身具だったものが、貿易の際の輸出品となる高価な加工品が作られるようになり、貫玉の製造の技術は高度なもので、製造は国家事業の場合が多かった。
【指教】~ さし示して教えること。指導。
【国恩】~ 国から受ける恩。
【報ず】~報いる。返す。
【原文】~往昔之時中國人漂風抵國深慕風俗不想故郷效力本國遂娶銘苅婦女以生男兒及其兒長成中國之人將以貫玉指敎於人民以報國恩貫玉自此而始
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ルミさん、はいさい、今日、拝なびら。
琉球と中国、そして日本との古い歴史。
この間までは、まあまあ良かったわけですが、困ったものです。
日中間の厳しい状態、沖縄の人間は、悲しいどころの話ですみませんね。
民間レベルも、良い関係どころか、かなり危険です。
かつては僕も、中国の一部の考え(中国脅威論などと呼びます)、
沖縄そのものが日本のものではなく中国のものとする考えや地図など、
そんなの現実的ではないと、見向きもしませんでした。
でも、南シナ海問題に続いて、尖閣問題が起きて、真っ先に思い出しましたよ。
その中国の根拠が、琉球国はかつて中国(明)の支配下にあったというもの。
オスプレイも、もちろん問題ですが、やがて軍事費で中国がアメリカを抜きます。
もしも、尖閣諸島が中国に渡ったら、、尖閣どころか沖縄そのものがかなり危うい。
中国が主張する東南アジアの領海図、上に追加で、載せておきますね。つい先日も、この図がTVで放映。
この図では沖縄本島近くまで全部中国のもの。南シナ海ではベトナムとフィリピンの間の海まで。
もちろん、今のアジアの国々が、そう簡単に許すはずがありませんが・・・・・・。
横浜のtoshiさん
おはようございます
琉球と中国との古い歴史の中から
深いつながりを感じましたよ。
ありがとうございます。
現在の日中間の厳しい状態が悲しいですね。
民間レベルでは、良い関係も多いと思いますが…
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