てぃーだブログ › 琉球沖縄を学びながら、いろいろ考えていきたいな~ › 新訳・琉球民話『球陽外巻/遺老説伝』 › 普天間権現~新『球陽外卷・遺老說傳』第35話

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~琉球沖縄に伝わる民話~

新訳球陽外卷(きゅうようがいかん)遺老(いろうせつでん)』第35話

普天間(ふてんま)権現(ごんげん)




 普天閒(ふてんま/ふてぃま)(ひがし)に、一つの洞窟(どうくつ)があります。
 (むら)人々(ひとびと)は、いつも農具(のうぐ)をここに()いてました。
 ある()のこと、磁器製(じきせい)観音像(かんのんぞう)があって、これを石壇(いしだん)(うえ)安置(あんち)しました。
 どこの(ひと)洞窟(どうくつ)(なか)観音像(かんのんぞう)(とうと)みつつしんで安置(あんち)したのか(だれ)()りません。
 ()(とな)(むら)(ひと)まで(つた)わって、(おお)いにこれを不思議(ふしぎ)なこととし、(ふか)(たっと)んで信仰(しんこう)するようになりました。
 それに(くわ)えて祈願(きがん)したい(ひと)がいると、(かなら)ずこの()にやってきては祈禱(きとう)しました。
 するとたちまち霊験・(れいげん)(あらた)で、非常(ひじょうに)(はや)(ねが)いが(かな)ったといいます。
 (のち)にまた安谷屋(あだにや/あだんな)(そん)一組(ひとくみ)夫婦(ふうふ)がいたそうです。
 (つね)農業(のうぎょう)(いそ)しみ、脇目(わきめ)もふらずその仕事(しごと)(はげ)んできたのは以前(いぜん)からのことで、自分(じぶん)たちの使命(しめい)()たしているだけだと(かんが)えてきました。
 しかしながら五穀(ごこく)収穫(しゅうかく)(おも)うように()がらず、課税(かぜい)(ぶん)()くことさえ(おお)かったのでした。
 そういうわけで、ある(とき)(つま)は、(おっと)にお(ねが)いして()うことには、
 「(わたくし)の、()他家(たけ)()り、そしてそのお(かね)(ぜい)(おさ)めましょう。
 もしも、主人(しゅじん)仕事(しごと)()ませて(すこ)しの(ひま)でも出来(でき)たなら、(いと)(つむ)ぐのに役立(やくだ)てて、それで自分(じぶん)()()(もど)します。
 お(ねが)いですから、あなたは、(ちから)田畑(たはた)()くして、そして(いえ)財産(ざいさん)(たくわ)えて(くだ)さい。
 そしてもしも(てん)から、慈悲(じひ)頂戴(ちょうだい)して(おお)きな(さいわ)いを(くだ)さって、そして(わたくし)()()されたなら、(ふたた)夫婦(ふうふ)となって仲睦(なかむつ)まじく()いを(とも)にしながらいつまでも一緒(いっしょ)()らし、そして天寿(てんじゅ)(まっと)うしましょう。」と。
 夫婦(ふうふ)(なみだ)(なが)して(わか)れたのでした。
 とりもなおさず(つま)()()首里(しゅり)()り、そしてある(ひと)召使(めしつか)いになったのでした。
 そして時々(ときどき・)(かみ)()り、()(がみ)である入髪(いりがん)(つく)って、これを町中(まちなか)()って()って()り、そして祭礼(さいれい)(そな)(もの)()って、毎晩・(まいばん)普天閒(ふてんま/ふてぃま)()って焼香(しょうこう)しながら(かみ)さまに(がん)かけをしたのでした。
 三、四(ねん)年月(としつき)(なが)れたある九月(くがつ)(あいだ)の、ある(ばん)のこと、たった(ひと)りで普天閒(ふてんま/ふてぃま)()かって(ある)いて()き、結彩門(けっさいもん)(ぞく)鳥居(とりい)()ぶ)(あた)りに()()いた(とき)に、偶々・(たまたま)一人(ひとり)老人(ろうじん)出逢(であ)ったのでした。
 女性(じょせい)非常(ひじょう)(おどろ)いてその()から()()ろうとしました。
 すると老人(ろうじん)()うことには、
 「そんなに(おどろ)必要(ひつよう)はありません。
 (わたくし)は、貴方(あなた)にお(ねが)いしてこの品物(しなもの)見張(みは)っていて()しいだけなのです。」と。
 婦人(ふじん)()うことには、
 「(わたくし)は、(ひと)()使(つか)いです。
 (いま)(こころ)(ねが)うところがあってここにおります。
 ご主人様(しゅじんさま)仕事(しごと)()ませたわずかの時間(じかん)をやりくりして、こうして神社(じんじゃ)参拝(さんぱい)しています。
 もしも(すみ)やかにお(まい)りしてここを()って(もど)らなければ、(おそ)らく(もど)らない(つみ)()()うことになるでしょう。」と。
 そう()って、再三(さいさん)(かた)辞退(じたい)しました。
 しかし老人(ろうじん)は、無理矢理(むりやり)婦人(ふじん)にお(ねが)いしてこの(しな)(ゆだ)ねたのでした。
 婦人(ふじん)は、仕方(しかた)()くその(しな)見守(みまも)ることになりました。
 そして老人(ろうじん)は、ついにその()()()ると、そのままゆくえ()れずになってしまいました。
 そこで仕方(しかた)()く、とりもなおさず婦人(ふじん)はその品物(しなもの)(たずさ)えて首里(しゅり)に帰ったのでした。
 その(のち)、しばしばその品物(しなもの)(たずさ)えて普天閒(ふてんま/ふてぃま)()き、(しな)老人(ろうじん)(かえ)そうとしましたが、二度(にど)(ふたた)老人(ろうじん)再会(さいかい)できません。
 婦人(ふじん)は、結局(けっきょく)その老人(ろうじん)にどうしても()いたいと(おも)って、普天閒(ふてんま/ふてぃま)(やしろ)参拝(さんぱい)して、(こころ)からお(ねが)いしました。
 するとその(ばん)婦人(ふじん)(ゆめ)(なか)でお()げがあって、()うことには、
 「(かみ)である(わたし)が、貴方(あなた)(さず)けようと(かんが)えて、特別(とくべつ)なこの品物(しなもの)()って(てん)から降臨(こうりん)して貴方(あなた)(たく)したのです。」と。
 (とき)あたかも、夜明(よあ)けを()げる一番鶏(いちばんどり)()ばたき、人々(ひとびと)()()まさせました。
 (ゆめ)から()めてみたもののまだ(なん)のことか(ゆめ)記憶(きおく)ははっきりしません。
 (つぎ)(ばん)も、またお(いの)りすると、(あん)(じょう)()(ゆめ)は、昨晩(さくばん)()(ゆめ)と、(すこ)しも(こと)なるところがなく、その(しな)神様(かみさま)からの(さず)かり(もの)であるのは(あき)らかなようです。
 こういうわけで、(あず)かり(もの)開封(かいふう)して()てみると、(なか)には黄金(おうごん)(かたまり)がいくつも()ったのでした。
 その黄金(おうごん)で、()ぐに身請(みう)けしようとしましたが、なにしろ(つか)えていた主人(しゅじん)(いえ)には、(ほか)召使(めしつか)いがなく、そのため(ひま)(もら)(にく)くてしかたがありません。
 そうこうしているうちにまた二年(にねん)月日(つきひ)()ぎてしまいました。
 ついに婦人(ふじん)普天閒(ふてんま/ふてぃま)(かみ)より(たま)わった(こと)を、(くわ)しくつぶさに主人(しゅじん)()げ、そして黄金(おうごん)借金(しゃっきん)返済(へんさい)したのでした。
 そしてかれこれする()に、(おお)いなる神様(かみさま)(たい)して、(ねが)いを(かな)えて(いただ)いたお礼参(れいまい)りをして、そして(いし)厨子(ずし)(つく)って寄進(きしん)し、観音(かんのん)をその(なか)(つつし)んで安置(あんち)したのでした。
 それからしだいに(いえ)(さか)えて財産(ざいさん)(ゆた)かになり、子孫(しそん)繁栄(はんえい)して、夫婦(ふうふ)(とし)をとるまでいつまでも(なか)(むつ)まじく(とも)()らしたそうです。
 こういうわけで(とお)くの(ひと)から(ちか)くの(ひと)まで、もれなくすべての(ひと)がその夫婦(ふうふ)(はなし)()(およ)んで、(おお)くの人々(ひとびと)がこの普天閒(ふてんま/ふてぃま)にやって()ては祈願(きがん)するようになったのだそうです。
 ところでそれとは(べつ)(はなし)もあって、首里(しゅり/すい/しゅい)南風之平等・(ふぇーぬふぃら)桃原・(とうばる/とーばる)(そん)に、一人(ひとり)処女(しょじょ)がおりました。
 貞節(ていせつ)なうえに()()いた物静(ものしず)かな(ひと)であり、容姿(ようし)()(なら)(もの)がないほど(すぐ)れていたそうです。
 (ひと)はみなこの(はなし)()き、なかには(ひと)(かい)して彼女(かのじょ)求婚(きゅうこん)する(もの)(あと)()ちませんでしたが、彼女(かのじょ)婚約(こんやく)(けっ)して承諾(しょうだく)しません。
 そんなでしたから()うまでもなくなおさら寝室(しんしつ)にばかりいるようになり、(まど)()じて出入(でい)(ぐち)(ふさ)いでしまい、(ひと)()られないようにしていました。
 ところで彼女(かのじょ)にはまた、一人の(いもうと)がいて、成人(せいじん)して、ある(いえ)(とつ)ぎました。
 その(おっと)は、(つま)(あね)不思議(ふしぎ)がって、ついに(つま)()げて()うことには、
 「貴方(あなた)(あね)(とお)人目(ひとめ)()け、(まった)(そと)()ないといいます。
 ただ自分(じぶん)は、今・(いま)貴方(あなた)(おっと)ですから、対面(たいめん)したところで(なに)問題(もんだい)ないとおもいます。
 どうかお(ねが)いですから、貴方(あなた)のお(ねえ)さんを一目(ひとめ)だけでも()させて(くだ)さい。」と。
 すると(つま)()うことには、
 「(わたくし)(あね)意志(いし)は、世間(せけん)から(はな)れてひっそりと(しず)かに()らしたいというものであって、世間(せけん)一般(いっぱん)(ひと)感情(かんじょう)とは()ていないのです。
 もしもこの(こと)(わたくし)(あね)(はな)すと、きっと(なに)かにかこつけて(ことわ)り、(あね)貴方(あなた)とは二度(にど)()うのを(ゆる)さなくなってしまうことでしょう。
 そこで、今日(きょう)(わたくし)実家(じっか)()って、(あね)(はなし)をしていますから、その(とき)(もっと)確実(かくじつ)頃合(ころあ)いを見計(みはか)らって、何気(なにげ)なくその(せき)にやってきて、そして一目(ひとめ)()たら、(ちち)(いえ)から()()りなさい。」と。
 そして、(つま)実家(じっか)姉妹(しまい)(はなし)をしている(あいだ)(たしか)予定(よてい)(どお)りに(おっと)(つま)言葉(ことば)(したが)い、何気(なにげ)なくやって()て、一目(ひとめ)()るのに成功(せいこう)したのでした。
 しかし(あね)()ぐに(いもうと)(おっと)()られたことを()じて、(いえ)(そと)()()すなりそこを(はな)れてどこかへ(はし)()ってしまったのでした。
 (いえ)者達(ものたち)()いかけて()きました。
 (あね)普天閒(ふてんま/ふてぃま)到着(とうちゃく)すると、()ぐに洞内(どうない)(はい)って()ったのでした。
 (いえ)者達(ものたち)も、洞窟(どうくつ)まで()いかけて()って(あね)(さが)(まわ)ったのですが、彼女(かのじょ)消息(しょうそく)はまったくわからなくなりました。
 こういうわけで人々(ひとびと)はみな、(あが)(うやま)って彼女(かのじょ)(かみ)として崇拝(すうはい)するようになり、切実(せつじつ)(ねが)いがあると、(かなら)ずここにお(まい)りして(ふく)(いの)るようになったということです。
 この二つの(はなし)(つた)わっていますが、年月(ねんげつ)()てすでに(とお)(むかし)(はなし)であり、(したが)って(いま)となっては(くわ)しく調(しら)べることが出来(でき)ません。



 
※注や解説

普天閒(ふてんま/ふてぃま・)(そん)】~宜野湾(ぎのわん/じのーん・)間切(まぎり・)普天閒(ふてんま/ふてぃま・)(そん)正式(せいしき)社名(しゃめい)普天満宮(ふてんまぐう)別称(べっしょう)普天満権現(ふてんまごんげん)一般的(いっぱんてき)には普天満神宮(ふてんまじんぐう)などと()ばれる。普天閒、普天満、両方(りょうほう)表記(ひょうき)がみられる。「邑」は「村」に(おな)じ。
農器(のうき)】~「農具(のうぐ)」に(おな)じ。農作業(のうさぎょう)使用(しよう)する器具(きぐ)(くわ)(すき)(すき)(かま)など。
放在(ほうざい)す】~「放」は、()く、()いたままにする、の()。「在」は、ある、の()
一日(いちじつ/ひとひ/いちにち)】~ある()先日(せんじつ)、の()
観音(かんのん)磁像(じぞう)】~磁製(じせい)観音像(かんのんぞう)磁製(じせい)磁器製(じきせい)。『由来記(ゆらいき)』には、「焼物(やきもの)観音像(かんのんぞう)」とある。また『琉球国(りゅうきゅうこく)旧記(きゅうき)』には、「洞内(どうない)に、白鶴岩、明王岩、神亀岩、鷹居岩(など)(おおよ)そ、八個の霊石(れいせき)がある」とある。()()がる鍾乳石(しょうにゅうせき)(おお)われる聖霊(せいれい)()として(むかし)から(たっと)ばれてきた。普天閒宮(ふてんまぐう)は、琉球八社(りゅうきゅうはっしゃ)/沖縄八社(おきなわはっしゃ)の一つ(金武宮・普天閒宮・天久宮・波上宮・沖宮・安里八幡宮・識名宮・末吉宮)。拝殿(はいでん)背後(はいご)一大(いちだい)鍾乳洞(しょうにゅうどう)(ない)小社(しょうしゃ)権現(ごんげん)奉納(ほうのう)される。現在(げんざい)拝殿(はいでん)(よこ)授与所(じゅよしょ)(もう)()むと洞窟内(どうくつない)見学(けんがく)できる。なお、(ぞく)権現(ごんげん)屋敷(やしき)といわれる普天閒(ふてんま)権現(ごんげん)誕生(たんじょう)()は、首里桃原(とうばる)町1丁目23番地。なおこの(はなし)については『由来記(ゆらいき)』「普天満山三所大権現縁起」、および『旧記(きゅうき)』「普天満山之社並神宮寺」参照(さんしょう)
石壇(いしだん/せきだん)】~(いし)()きつめて(つく)った(だん)
奉安(ほうあん)】~(とうと/たっと)いものを(つつし)んで安置(あんち)すること。
即/則/乃/便/就(すなは)(すなわち)】~現代仮名遣(げんだいかなづか)いでは「すなわち」。()いかえれば。つまり。とりもなおさず。まさしく。その(とき)は。そうすれば。その(とき)(むかし)。あの(ころ)当時(とうじ)即座(そくざ)に。()ぐに。たちまち。もう。(すで)に。
隣里(りんり)】~ (とな)りの(さと)隣村(りんそん)隣邑(りんゆう)
奇怪(きかい)】~第8話「奇怪(きかい)(てき)(ひと)参照(さんしょう)
尊信(そんしん)】~(とうと/たっと)信頼(しんらい)すること。また、(とうと/たっと)んで信仰(しんこう)すること。
(しこう/しか)して】~「(しかく)して」「(しか)して」から(てん)じたもの。漢文(かんぶん)訓読(くんどく)(もち)いられた()。そうして、それに(くわ)えて、の()
求祈(きゅうき)】~「(きゅう)」は、(ねが)う、(もと)める、の()。「()」は、(いの)る、(ねが)う、の()
禱祈(とうき)】~「祈禱(きとう)」に(おな)じ。広義(こうぎ)には、祈願(きがん)祈念(きねん)(いの)り、の()
霊験(れいげん)】~(ひと)祈請(きせい)(おう)じて神仏(しんぶつ)などが(しめ)霊妙(れいみょう)不可思議(ふかしぎ)(ちから)(あらわ)れ。利益(りやく)霊験(れいげん)(あらた)(「(あらた)か」=(いちじる)しいこと)。キリスト(きょう)でいうところの奇跡(きせき)日本(にほん)では(ふる)くから霊験(れいげん)使(つか)ってきた。
影響(えいきょう)より(はや)し】~影響(えいきょう)(はや)(たと)え。非常(ひじょうに)(はや)(たと)え。「早=速=疾=捷」
安谷屋(あだにや/あだんな・)(そん)】~中城(なかぐすぃく/なかぐしく・)間切(まぎり・)安谷屋(あだにや/あだんな・)(そん)。この「農婦(のうふ)身売(みうり)り」の(はなし)から、毎年(まいとし)台風(たいふう)乱作(らんさく)による耕作地(こうさくち)荒廃(こうはい)はじめ、(まず)しい琉球沖縄(りゅうきゅうおきなわ)古代(こだい)()(こと)出来(でき)、また実際(じっさい)のところはもっと悲惨(ひさん)であったのが想像(そうぞう)できる。
倹勤(けんきん)】~無駄(むだ)をせず、仕事(しごと)(はげ)むこと。
()ね】~()ねて。副詞の一語化。以前(いぜん)から。(まえ)から。
(まっと)うす】~完全(かんぜん)()たす。完全(かんぜん)()わらせる。
(しか)れども】~しかしながら。そうだけれども。
五穀(ごこく)】~五種類(ごしゅるい)穀物(こくもつ)(てん)じて穀物(こくもつ)(るい)総称(そうしょう)にも使(つか)う。五種類(ごしゅるい)穀物(こくもつ)とは、通常(つうじょう)は、(こめ)(むぎ)(あわ)(きび)(まめ)をいうが、その内容(ないよう)については(むかし)から(かなら)ずしも一定(いってい)していない。
(のぼ)る】~「登」は「上」や「昇」に(おな)じ。
賦税(ふぜい)】~ (ぜい)賦課(ふか)すること。また、その(ぜい)課税(かぜい)
是/焉(ここ)(おひ/おい)て】~この(とき)に。こういうわけで。「是于」でも(ここ)(において)」と()む。(「于」の訓読(くんよ)みは「に、において、いく、ああ」。)
(しょう)】~一人称(いちにんしょう)人代名詞(じんだいめいし)女性(じょせい)自分(じぶん)(へりくだ)っていう(。わらわ。わたくし。正妻(せいさい)(ほか)に、(あい)(やしな)女性(じょせい)。ひいきにすること。また、その(もの)。めかけ。そばめ。おみなめ。おんなめ。側室(そくしつ)上臈(じょうろう)
(まっと)うせん】~「(まっと)うす」は「(まっと)うす」に(おな)じで、完全(かんぜん)()たす。完全(かんぜん)()わらせる。それに意志(いし)助動詞(じょどうし)がついたもの。
一点(いってん)暇時(かじ)()れば】~主家(しゅか)仕事(しごと)()ませて(すこ)しの(ひま)でも出来(でき)たら。『由来記(ゆらいき)』には「昼夜主人之日課之暇」となっている。
紡績(ぼうせき)】~(ふる)くは「ほうせき」とも。(いと)(つむ)ぐこと。
便(べん)する】~便利(べんり)なようにする。役立(やくだ)てる。役立(やくだ)たせる。
(つぐな)()】~金品(きんぴん)()して、負債(ふさい)相手(あいて)(あた)えた損失(そんしつ)(おぎな)いをする。弁償(べんしょう)する。
請乞(せいこつ)】~()(もと)める。
良人(りょうじん)】~ここは(おっと)のこと。
田畝(でんぽ/でんぼ/たんぼ)】~田圃(でんぽ/でんぼ/たんぼ)とも。田畑(たはた)家主(いえぬし/いえあるじ)田畝(でんぽ/でんぼ/たんぼ)
家資(かし)】~(いえ)資産(しさん)家産(かさん)財産(ざいさん)身代(しんだい)
(きょう)す】~(そな)える。ささげる。役立(やくだ)てる。
洪慈(こうじ)】~「(こう)」は、(おお)きい、の()。「()」は、情深(なさけぶか)い、(やさ)しい、(いつく)しむの()
賜ふ(たまふ/たもう)】~ここでは「もらう」の()謙譲語(けんじょうご)(いただ)く。頂戴(ちょうだい)する。
介祉(かいし)】~(おお)きな(さいわ)い。介福(かいふく)
贖身(しょくしん)】~「(しょく)」は、 ()()す、()(もど)す。
偕老(かいろう)】~()いを(とも)にする、の()夫婦(ふうふ)(とし)をとるまでいつまでも(なか)(むつ)まじく一緒(いっしょ)()らすこと。
天年(てんねん)】~ (てん)から()けた寿命(じゅみょう)天寿(てんじゅ)
()】~(おんな)召使(めしつか)い。下女(げじょ)。はしため。
()る】~「剪」は「切・斬・伐・截」に(おな)じ。
(かもじ)】~婦人(ふじん)(かみ)()(とき)()える()添髪(そえがみ)()()()(がみ)琉球(りゅうきゅう)沖縄(おきなわ)では「入髪」と()いて「いりがん」という。
(つく)る】~「(つく)る」、「(つく)る」に(おな)じ。
市上(しじょう)】~ 町中(まちなか)街頭(がいとう)市中(しちゅう)
祭品(さいひん)】~祭礼(さいれい)(そな)(もの)供物(くもつ)
毎夜(まいよ/まいや)】~毎晩(まいばん)
梵香(ふんか)】~焼香(しょうこう)する。(こう)をたく。
許願(きょがん)】~神仏(しんぶつ)(がん)をかけること。祈願(きがん)する。許愿(きょげん)
歴閲(れきえつ)】~「歴閲」は「閲歴(えつれき)」に(おな)じ。年月(ねんげつ)など時間(じかん)()()ること。(いま)まで社会的(しゃかいてき)辿(たど)ってきた(あと)経歴(けいれき)履歴(りれき)経験(けいけん)すること。
一夜(ひとよ/いちや)】~一晩(ひとばん)一夜(いちや)。ある(よる)。ある(ばん)一晩中(ひとばんじゅう)()もすがら。終夜(しゅうや)
(おもむ)く】~「(おもむ)く」。ある場所(ばしょ)方角(ほうがく)()かって()く。
驚駭(きょうがい/けいがい)】~非常(ひじょう)(おどろ)くこと。驚愕(きょうがく)
驚異(きょうい)】~不思議(ふしぎ)(おどろ)くべきこと。(おどろ)くほど素晴(すば)らしいこと。
()()かれ】~「()すこと()かれ」に(おな)じ。してはならない。(おこな)ってはならない。する必要(ひつよう)はない。
(われ)】~(わたくし)自分(じぶん)
(なんじ)】~貴方(あなた)
(たく)す】~自分(じぶん)がなすべきことを(ほか)(ひと)(たの)む。まかせる。
()の】~「()の」に(おな)じ。この。
看守(かんしゅ)】~見守(みまも)ること。また、その(ひと)
情願(じょうがん)】~真心(まごころ)からの(ねが)い。
間暇(かんか)】~(なに)もすることがないこと。ひま。
(ぬす)む】~「(ぬす)む」に(おな)じ。ここでは、わずかの時間(じかん)をやりくりして、(なに)かをする、の()
拝謁(はいえつ)】~身分(みぶん)(たか)(ひと)面会(めんかい)することを(へりくだ)っていう()琉球(りゅうきゅう)(おう)が、群臣(ぐんしん)拝謁(はいえつ)される儀式(ぎしき)そのものも拝謁(はいえつ)という。
()】~「()」に(おな)じ。ここでは、(この)ましくないものを()()ける。
固辞(こじ)】~(かた)辞退(じたい)すること。
()れを()()()れを(すす)めて】~無理矢理(むりやり)これを(ゆだ)ねようとした。『由来記(ゆらいき)』には「強預之故」とある。
寄在(きざい)】~(ゆだ)ねる。
()(ところ)()らず】~『由来記(ゆらいき)』には「去不来」とある。
奈何(いかん)とも】~(おお)くが打消(うちけし)(あらわ)()(ともな)い)どうにも。
守護(しゅご)】~(まも)ること。
()むを()ず】~仕方(しかた)()く。
()の】~「()の」に(おな)じ。その。
屡々(しばしば)/屡ゝ(しばしば)/屢々(しばしば)/屢ゝ(しばしば)】~何度(なんど)何度(なんど)も。度々(たびたび)。しょっちゅう。しきりに。
()く】~「去」は「往・行」に(おな)じ。
還償(かんしょう)】~ものを(かえ)す。
(けっ)して】~「(けっ)して」に(おな)じ。
再見(さいけん)】~再会(さいかい)
(つい)に】~「(つい)に・(つい)に」に(おな)じ。ついに。とうとう。しまいに。結局(けっきょく)最後(さいご)に。()わりに。また(「(つい)ぞ」に(おな)じで)、(いま)までに一度(いちど)も。(いま)(かつ)て。
(えつ)して】~身分(みぶん)(たか)(ひと)などに面会(めんかい)することを(へりくだ)っていう()
許愿(きょげん)】~「愿」は「願」に(おな)じ。「許」はここでは、()てにする、まことと(しん)じる、の()。「愿」は、(ねが)う、(のぞ)む、の()
夢告(むこく)】~(ゆめ)(なか)でお()げ。
賜はす(たまはす/たまわす)】~高貴(こうき)(ひと)が、身分(みぶん)(ひく)い人に物を与えること。「お(あた)えになる。御下賜(ごかし)になる。
托在(たくざい)】~(たく)す。
(とき)に】~まさしくその(とき)(とき)あたかも。
暁雞(ぎょうけい)】~「暁」は、夜明(よあ)け、の()。「雞」は「鶏」に(おな)じ。にわとり、の()
()()つ】~「翅」は「羽」に(おな)じ。はね、の()。「()つ」は「()つ」に(おな)じ。「羽撃(はう)つ」とも。(とり)()ばたきをする。
好夢(こうむ)】~()(ゆめ)
(おどろ)かす】~ここでは、()()まさせる。()こす。
()(きた)れば(いま)(あき)らかならず】~(ゆめ)()めてみたら、まだ(なん)のことか、(ゆめ)記憶(きおく)がはっきりしなかった。『由来記(ゆらいき)』には「夢覚来不審」、『旧記(ゆらいき)』には「好夢覚来不明」とある。
果然(かぜん)】~予期(よき)したとおりになるさま。()たして。(あん)(じょう)
昨夕(さくゆう/さくせき)】~昨日(さくじつ)夕方(ゆうがた)
(すこ)しも】~「(すこ)しも」に(おな)じ。
相異(そうい)】~「相違(そうい)」に(おな)じ。二つの物事(ものごと)(あいだ)(ちが)いがあること。
(ここ)(おい)て】~「(ここ)(おい)て」に(おな)じ。漢文(かんぶん)訓読(くんどく)由来(ゆらい)()。この(とき)に。こういうわけで。
(もっ)て】~漢文(かんぶん)訓読(くんどく)(もっ)て」に(おな)じ)。そして。(それ)によって。(それ)について。(それ)をもちいて。(おお)く「…をもって」の(かたち)格助詞(かくじょし)のように使用(しよう)・・・・・・て。・・・・・・で。・・・・・・でもって。・・・・・・によって。・・・・・・の理由で。・・・・・・により。・・・・・・に。・・・・・・の(うえ)に。・・・・・・に(くわ)えて。・・・・・・の(うえ)に。・・・・・・かつ。・・・・・・しながら。
(すみ)やか】~手間(てま)をとらず(はや)くするさま。すぐ。
讀身(しょくしん)】~「讀」は、あがなう、交換(こうかん)して取引(とりひき)する、の()
(いか)んせん】~「如何(いか)んせん」に(おな)じ。どうしたらよかろうか。どうしようか。いい方法(ほうほう)見出(みいだ)せないことを(あらわ)す。残念()にも。
家主(いえぬし/いえあるじ/やぬし)】~()()所有者(しょゆうしゃ)や、一家(いっか)(あるじ)()(とき)()みは、「いえぬし/いえあるじ/やぬし」なのに(たい)して、その(いえ)主人(しゅじん)()(とき)()みは、「いえぬし/いえあるじ」。
奴婢(ぬひ)】~召使(めしつか)い。下男(げなん)下女(げじゃ)
(もっ)て】~漢文(かんぶん)における「以」や「式」の訓読(くんどく)から(しょう)じた()。そして。(それ)によって。(それ)について。(それ)をもちいて。(おお)く「…をもって」の(かたち)格助詞(かくじょし)のように使用(しよう)して)・・・・・・て。・・・・・・で。・・・・・・でもって。・・・・・・によって。・・・・・・の理由で。・・・・・・により。・・・・・・に。・・・・・・の(うえ)に。・・・・・・に(くわ)えて。・・・・・・の(うえ)に。・・・・・・かつ。・・・・・・しながら。
償去(しょうきょ)】~「償」は、あがなう、「去」は、()りさる、の()
()る】~月日(つきひ)()ぎる。(とき)()つ。
(つぶ)さに】~「(つぶさ)に」「(つぶさ)に」「(つぶさ)に」とも。(こま)やかで(くわ)しいさま。(こま/rt>)かくて(くわ)しいさま。詳細(しょうさい)に。すべてをもれなく。ことごとく。
已/既(すで)にして】~「(すで)」は「(すで)」とも。そうこうしているうちに。かれこれする(あいだ)に。やがて。
還願(かんがん)】~「願解(がんほど)き」・還愿(かんげん)き」・「かえりもうし」に(おな)じ。神仏(しんぶつ)許願(きょがん)してその祈願(きがん)(かな)ったことに(たい)して、お(れい)(がん)をなすこと。
石龕(せきがん)】~(いし)厨子(ずし)
漸次(ぜんじ)】~しだいに。だんだん。
殷富(いんぷ)】~「殷」は、(さか)ん、の()(さか)えて(ゆた)かなこと。また、そのさま。
(これ)れに()りて】~「()れに()りて」とも。漢文(かんぶん)訓読語(くんどくご)接続詞的(せつぞくしてき)(もち)いる。このことによって。こういう(わけ)わけだから。こういう理由(わけ)で。
(あまね)く】~「(あまね)く」とも。もれなくすべてに(およ)んでいるさま。(ひろ)く。一般(いっぱん)に。
祈禱(きとう)】~広義(こうぎ)には、祈願(きがん)祈念(きねん)(いの)り、の()
一説(いっせつ)】~一つの(せつ)。一つの意見(いけん)。ここでは、(べつ)(せつ)(べつ)意見(いけん)、ある(せつ)、の()
首里(しゅり/すい)桃原(とうばる/とーばる・)(そん)】~首里(しゅり/すい/しゅい)の、三平等(みひら)の一つ、南風之平等(ふぇーぬふぃら)の、桃原(とうばる/とーばる・)(そん)。「(そん)」は「(そん)」に(おな)じ。
賦性(ふせい)】~天賦(てんぶ)性質(せいしつ)()まれつきの性質(せいしつ)天性(てんせい)
貞静(ていせい)】~「貞」は、節操(せっそう)がある、貞節(ていせつ)、の()。「静」は、()()いて(しず)かである、の()
姿色(ししょく)】~容姿(ようし)。みめかたち。
絶世(ぜっせい)】~()(なら)(もの)がないほど(すぐ)れていること。
媒婚(ばいこん)】~求婚(きゅうこん)()(ひと)(かい)して結婚(けっこん)(もう)()むこと、とりもつこと、仲立(なかだ)ちをする、の()
許婚(きょこん)】~婚約(こんやく)すること。また、婚約(こんやく)した(ひと)。いいなずけ。
(がえ)んぜず】~ 「(がえ)んずる」は、承諾(しょうだく)する、()()れる、()()けるの()で、それに打消(うちけし)助動詞(じょどうし)()いたもの。
(いわ)んや】~まして。なおさら。そうなのだから()うまでもなくなおさら。
閨室(けいしつ)】~寝室(しんしつ)。ねや。閨房(けいぼう)
()ざす】~「()ざす」に(おな)じ。ふさぎ()める。
成長(せいちょう)するに(いた)り】~「(いた)る」は、到達(とうたつ)するのため、ここでは成人(せいじん)する、の()
某家(ぼうけ)】~ある(いえ)、の()
出嫁(しゅっか)】~(とつ)ぐ、(よめ)にゆく、の()
奇異(きい)】~普通(ふつう)様子(ようす)(ちが)っていること。不思議(ふしぎ)なこと。また、そのさま。普通(ふつう)()わっていて(みょう)であること。また、そのさま。奇妙(きみょう)
(あえ)て】~(あと)打消(うちけし)()(ともな)って、(かなら)ずしも、の()。また、(あと)打消(うちけし)(つよ)めて、(すこ)しも、(まった)く、の()
()】~われ。自分(じぶん)
婿夫(せいふ)】~(おっと)
相見(しょうけん)する】~対面(たいめん)する。()うこと。
(さまた)()し】~さまたげになることはない。障害(しょうがい)はない。問題(もんだい)ない。
請乞(せいきつ)】~「請」は、どうぞ・・・・・・してください。お(ねが)いする、(たの)む、・・・・・・してもらう、の()。「乞」は、()う、(もと)める、の()
心志(しんし)】~意志(いし)(こころざし)
幽癖(ゆうへき)】~「幽」は、世間(せけん)から(はな)れてひっそり()らしたい、の()。「癖」は、(この)み、習性(しゅうせい)、くせ。
人情(にんじょう)】~人間(にんげん)自然(しぜん)(こころ)(うご)き。(ひと)としての(なさ)け。
(かなら)ずや】~(あと)推量(すいりょう)()(ともな)う。間違(まちが)いなく。きっと。かならず。(けっ)して。
推謝(すいしゃ)】~(なに)かにかこつけて(ことわ)る。
(ゆる)さざらん】~(ゆる)さないでしょう。
忽/便/倏(たちま)ち】~非常(ひじょう)(みじか)時間内(じかんない)動作(どうさ)(おこな)われるさま。()ぐ。即刻(そっこく)(またた)()。あっという()(にわか)に。(きゅう)に。(すみ)やかに。((おお)くが「たちまちに」の(かたち)で)、(げん)に。(たし)かに。まさに。ただ(いま)。「()()ち」の()から派生(はせい)した()
丈夫(じょうぶ)】~(たし)かなさま。確実(かくじつ)
()たして】~予想(よそう)していた(とお)りであるさま。(おも)った(とお)り。(あん)(じょう)。やはり。
()じる】~「愧」は「恥・羞・慙」とも。()ずかしいと(おも)う。面目(めんぼく)なく(おも)う。
()()()く】~()いかけて()く。
(たず)ぬる】~所在(しょざい)のわからないものなどを(さが)(もと)める。
踪跡(そうせき)】~「蹤跡(しょうせき)(おな)じ。ここでは、行方(ゆくえ)消息(しょうそく)、の()。。
(たっと/とうと)ぶ】~(あが)(うやま)う。尊敬(そんけい)する。とうとぶ。
祈求(ききゅう)】~(せつ)(ねが)う。こい(ねが)う。
歴経(れきけい)】~「経歴(けいれき)」に(おな)じ。ここでは、年月(ねんげつ)()つこと。年月(ねんげつ)()()ること。
(せつ)】~(はなし)
稽詳(けいしょう)】~ 「稽」は、(かんが)える、調(しら)べる、の()。「詳」は(こま)かいところまで()(とど)いて(くわ)しく調(しら)べがついていること、(くわ)しい、の()
※琉球八社〜琉球八社については書籍やネットにたくさん説明があるので詳細は略。琉球國において特別扱いを受けた八つの神社、波上宮・沖宮・識名宮・安里八幡宮・天久宮・末吉宮、普天満宮、金武宮を現在では一般的に指すが、あくまで八社は琉球処分により琉球國が廃され沖縄県になり現在に至って確定したもの。古く琉球には臨済宗と真言宗の二派の仏教が伝播し、琉球王府から寺禄を支給された八つの寺が存在し、寺は神社と併置されたのが琉球八社の由来といえる。寺や神社は長い年月の間に廃れたもの、加えられたものがあり一定ではない。ちなみに例えば、1605年、僧の袋中良定が著した『琉球神道記』には、「波上権現護国寺」、洋権現臨海寺(洋が沖宮に対応)、尸棄那権現神応寺(尸棄那が宮に対応)、天久権現性元寺、末好権現満寿寺(末好が末吉宮に対応)普天間権現神宮寺(普天満宮に対応)、八幡大菩薩神徳寺(八幡が安里八幡宮に対応)、伊勢大神長寿寺(長寿宮に対応)、天満天神長楽寺(かつて久米村にあった寺社)という記述があり、寺社はセットで、九つある。

【原文】普天閒邑之東有一洞窟民常放在農器一日有觀音磁像安置之于石壇上不知何處之人奉安于其中即鄰里之人大奇怪之深爲尊信而有求祈之人必到此地而祷祈焉則靈驗捷乎影響焉後亦安谷屋村有一夫婦常爲農業儉勤兼全然五穀不登賦税多缺于是婦請夫曰妾賣身于他家以完賦税若得一點暇時以便紡績以償其身請乞良人盡力于田畝以供家資若天賜洪慈降來介祉以爲贖身再爲夫婦結偕老之契以終天年焉夫婦流涙而別焉即賣身於首里以爲人婢時剪髮爲髢賣之于市上以買祭品毎夜到普天閒焚香許願歴閲三四年九月之閒一夜獨身赴普天閒行到結彩門邊(俗呼鳥居)偶逢一老人婦女驚駭而要退去老人曰勿爲驚異吾托汝看守斯物婦女曰妾爲人之婢女今心有情願偸得一點閒暇拜謁神社若非速去恐有獲其罪再三固辭老人強之勸之寄在婦女婦女不得已而守護焉老人遂去不知其所之無奈之何便携其物回至首里厥後屡携其物而去要還償之竝不再見老人婦女竟要遇其老人謁社許愿其夜有夢告之曰神要賜汝特來此物托在于汝時曉鶏拍翅驚人好夢覺來未不明次夜復爲念願果然見夢與昨夕夢不稍相異賜給明告於焉乎開封見之内有黄金數塊也將其黄金速要贖身奈家主無有奴婢難以償去亦歴二秋終以其神賜事細告家主即以黄金贖焉既而大爲還願以造石龕奉安觀音于其中漸次家資殷富子孫繁榮夫婦偕老由是遠近之人遍聞其事皆到于此而祈祷焉一説首里桃原邑有一處女賦性貞静姿色絶世人皆聞之多媒求之不肯許嫁況復恆居閨室閉戸杜門不與人看又有一妹至于成長出嫁某家其夫奇異之遂告婦女曰汝姉深避人氏不敢出外予今爲汝婿夫無妨相見請乞一見汝姉婦女曰姉心志幽癖不似人情若告此言必也推謝不准今日妾詣父家與姉相話則丈夫倏到其座以爲相見而歸去父家姉妹相話之閒丈夫果從其言倏然而來以便一見姉即愧妹夫相見出外而去家人趕去姉到普天閒直入洞内而去家人往尋其姉不見其踪跡由是人皆尊以爲神有祈求者必詣此處而祈福焉此二説歴經已遠莫從稽詳

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※追記(報告)~訳の中の安谷屋の夫婦の話ですが、「毎晩普天閒に行って」の部分に疑問を持ち、首里桃原の「普天間権現発祥の地」から普天間神宮まで、2012の年末、実際に歩いてみました。道路状況が違うにしても、私の足で五時間掛かり、この話には無理があるのではないかと思いました。そこから想像したのは、そもそも別の二つの話が、混ざったのではないかという推測です。(2013.1.1)


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村世亜木さん、はいさい、今日、拝なびら。

まったく、おっしゃる通りで、
ただ本を読んで話を知っているのとわかっているのでは大分違って、
僕も、この話で、首里と、普天間の間を、通ったという部分は、
通うのには、遠すぎるのではないか、と考えています。

考えられるのは、
元々、話があって、そして二つの話が混ざったのではないか、
あるいは、毎晩というのが大袈裟なだけで、やはり通った、
この二つを考えています。

権現屋敷(ごんげんやしき)といわれる、
普天閒権現誕生の地も、首里の桃原にあります。

ためしに、歩いてみようかとも、思いましたが、
片道だけで、挫折しそうなので、取り敢えず、計画は延期中。
よろしければ、一緒にいかがですか?
たぶん、みんな、嫌だって言うでしょうねぇ。 (笑)

なるほど、確かに、普天間まで行くのだから、
夫に、なぜ会っていかないんでしょうね?
さすが亜木さん、僕はそんな事、考えませんでしたが、確かに!

実はこの女性、情が薄いのか?
いや、会うとかえって未練が残って、離れがたくなるからだと考えたいですね。

僕も、こんど行った時、ご老人に会ったら、優しく話しかける事にしま~す。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2012年12月18日 05:47


お疲れ様でした。そして、ありがとうございます。
原文・・・漢字ばかり! あれを翻訳しているのですか?スゴイです。

最初のお話ですが
首里、普天間、安谷屋、地理的位置が分かるので
考えてしまいました。
召使が毎晩、首里から普天間宮まで祈りに来る!

>町中に持って行って売り、そして祭礼の供え物を買って、
>毎晩・普天閒に行って参拝

昔の沖縄でしたら、歩いて往復だから、無理な話だと思いました。
それから普天間宮から安谷屋は近いから、私が主人公でしたら
夫に会ってから首里に戻ります。(^^)♪ 

普天間宮は、私もお気に入りの場所です。
こんど行った時、ご老人に会ったら、優しく話しかけます^^
Posted by 村世亜木(むらせあき)村世亜木(むらせあき) at 2012年11月21日 19:43


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