首里城・広福門

2014年10月23日

Posted by 横浜のトシ(爲井) at 11:00│Comments(0)首里城の門
廣福(こうふく)((の)もん)(広福門)


廣福門(こうふくもん)は、別名「長御門(ながうじょう)」。第四の門。創建年は不明。明治末期頃に撤去。1992(平成4)年に復元。

「広福」を「福を広める、福をゆき渡らせる」とする説明よりも、「広福」は「鎮まる」の意の名詞で、「鎮まる」には「長い」という意もある事から、「中山(琉球國)治世(ちせい)よく(とこ)しえに」との願いを込めて付けられたが、正しいと考える。

屋根は赤瓦で、壁は朱塗りと赤で統一された、全てが木造建築物。他で多く見られる石造りではないのは、首里城ならでは。建物そのものが門の機能をもち、木造建物の中央が門になっている形式は、首里城の城門の特徴。

琉球國時代、役所として機能し、向かって東側は、民事司法関係を取り扱った役所「大与座(おおくみざ)」、西側は、寺院や神社、宗廟祭典(※祖先を祀る行事)を司る役所「寺社座(じしゃざ)」であった。

門前は、城内でも眺めの良い場所であり、眼前には、安国山(ハンタン山)の緑を映す龍潭(りゅうたん)池、東には弁財天堂(べざいてんどう)や円覚寺の総門、遠く虎瀬山(とらずやま)弁ヶ嶽(べんがたけ)、那覇港などが一望できる。

広福門を入った内側は、系図座・用物座(※家系図や城内の物品を管理する機関)や、御庭(うなー)につながる奉神門、祭祀空間である「京の内(けおのうち)(「京」は「けお」で、「け」は「気」。つまり「けおの内」は、気の立ちこめるところ、聖なる場、の意。)に囲まれた「下之御庭(しちゃぬうなー)」が広がる。「下之御庭」は、御庭に入る前の控えの場であり、また「首里森御嶽(すいむいうたき)」がある。

「首里森御嶽」は、首里城の十あった御嶽(うたき)十嶽(とたき/とたけ)」の十番目であると共に、琉球開闢神アマミキヨが創ったとされる「七御嶽」の一つでもある。

首里森御嶽(すいむいうたき)」は、男女共に祈願する重要な拝所(うがんじゅ)で、例えば、国王が城外の寺社に出かける時に祈りを捧げ、また琉球国の神女であった神人(かみんちゅ)達が、多くの儀礼を行った。 特に首里城の拝所は、聞得大君(ちぃふぃじん/ちぃふぃうふじん/きこえおおきみ/きこえおおぎみ)に仕える「大阿母志良礼(うふあむしらり/おおあもしられ)」という三人が管理し(※首里(しゅい)真壁(まかん)儀保(じーぶ)の大君)、単独、あるいは共同で巡拝し、琉球王府の安寧(あんねい)を祈願。

石積みの中の植物は、ガジュマルやクロツグ。

なお、首里城内に首里森御嶽を作ったのではなく、先に首里森御嶽があり、首里城が後から建てられたというのが定説。


※琉球開闢神アマミキヨが創ったとされる「七御嶽」(琉球開闢七御嶽)
「クボー御嶽」(久高島)
斎場御嶽(セイファウタキ)(南条市知念)
安須森御嶽(アシムリ(アスムイ)ウタキ)(国頭村)
「クバ御嶽」(今帰仁)
藪薩御嶽(ヤブサツウタキ)(南条市玉城)
「アマツヅ御嶽」 (南条市玉城)
首里森御嶽(スイムイウタキ)

※「御嶽」
沖縄本島とその周辺などでは、ウタキ、奄美地方では、オガミ山、沖縄諸島では、(ムイ)、グスク、ウガン、八重山諸島では、オン、宮古諸島では、スク、などと呼ばれる聖地の総称。
『琉球国由来記』(1713年)の中には御嶽が、首里29、那覇・泊8、島尻297、中頭210、国頭(伊江島含む)143、伊平屋諸島22、鳥島7、粟国諸島9、渡名喜島6、久米島29、慶良間諸島37、宮古諸島29、八重山諸島76、合計902箇所との記述がある。
御嶽に祀られる神は、ほとんどが村建ての始祖、村の功労者などの人格神、集落の守護神などであり、祖先崇拝が基本の琉球独特のものといえる。


※この夏、8月の撮った写真は以下↓

首里城・広福門


首里城・広福門
首里城・広福門
首里城・広福門




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