てぃーだブログ › 琉球沖縄を学びながら、いろいろ考えていきたいな~ › 新・琉球民話・口碑伝説集 › 命名式~新・琉球民話・口碑伝説集第33話

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~琉球沖縄に伝わる民話~

新・口碑伝説民話集録
『琉球民話集』より、第33話


命名式(めいめいしき)



 琉球沖縄では、古くからの習慣(しゅうかん)として命名式(めいめいしき)がありました。現在では、(ほとん)ど見られなくなりましたが、次のような命名式の風習(ふうしゅう)が近世まで残っていました。
 お産のことを琉球沖縄では、しらふじょーと言い、女性の月のもの、あかふじょーとは区別していました。
 久高島はじめ、子どもが生まれると河下(かーうりー)という、親も子も川で水浴(みずあ)びし、全身を(きよ)める習慣(しゅうかん)が残っていましたが、近年では出産で出た汚れ物を洗うことでその()わりとするようになりました。
 ある河下(かーうりー)の時、母親が生まれた子どもを河辺(かわべ)草叢(くさむら)に寝かせ、着物を軽く(かぶ)せると、その上を小さな(かに)や、バッタが、その上を()い回ったため、命名式にそれが風習(ふうしゅう)が取り入れられました。
 子どもが生まれると、(みーぞーきー)を庭の東方に立て、平草(ひらぐさ)という(しば)をお(そな)えし、(はかま)(かぶ)って子どもを()き、子どもの成長を神に祈ります。それから(くわ)で作った小さい弓で、(みーぞーきー)に向って、三度、矢を()ってから家に入り、子どもに着物を軽く(かぶ)せてから、小蟹(こがに)かバッタを()わせます。
 それから生まれた子の名を呼び、これで初めて正式に名前が決まりました。
 なお、玉城(たまぐすく)(あた)りでは、この地方の習慣でその時にこう(とな)えます。
 「莫迦(ばか)になるな、(すぐ)れるな。」と。
 そう言って、赤児(あかご)(ひたい)を水で()でる風習が残っていました。これには、中庸(ちゅうよう)(※(かたよ)ることなく、常に変わらず、過不足(かぶそく)がなく調和(ちょうわ)が取れた)の人物になれという意が()められているそうです。

 
※注や解説

河下(かーうりー)】~川下り。
(くわ)で作った小さい弓】~桑の弓で箕を射る風習は、日向(ひゅうが)の宮崎地方にもあり、弓を射ることを「生後七日目の名付祝」と言い、今でも残っているそうです。首里方言に、産むことを「しらすん」「しでゆん」があり、本土では産に「すで」という古語があるため、古代日本語との(つな)がりがよく指摘(してき)されます。
玉城(たまぐすく)】~玉城の以前の発音は「たまぐすぃく/たまぐしく」など。


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