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~琉球沖縄に伝わる民話~

新訳球陽外卷(きゅうようがいかん)遺老(いろうせつでん)』第11話

泉崎(いずみざき)起源(きげん/はじめ)




 (とお)(むかし)時代(じだい)泉崎(いずみざき)(そん)元々(もともと)宗部(そべ)(そん)()ばれていました。
 近世(きんせい)になった(ころ)泉崎(いずみざき)(ばし)(あた)りに、安室(あむる)親方(うぇーかた)という人物(じんぶつ)がおりました((した)()(つた)わっていません)。
 お金持(かねも)ちで身分(みぶん)(たか)非常(ひじょう)意気盛(いきさか)んで、いつもお(さけ)(つく)ってそれを仕事(しごと)にしていました。
 そうしてそのお(さけ)は、日日(ひび)醸造(じょうぞう)され、途絶(とだ)えることが(けっ)してないのは、あたかも(いずみ)()くようでした。
 人々(ひとびと)はこれを()(もと)めましたが、()()くすことなど出来(でき)ませんでした。
 それで世間一般(せけんいっぱん)にこれを泉酒(いずみざけ)()びました。
 そしてついにその(むら)名付(なづ)けて泉酒(いずみざき)()うようになりました。
 その(のち)()泉崎(いずみざき)(あらた)めたとそう(つた)わっております。



 
※注や解説

往昔(おうせき)】~()()った(むかし)大昔(おおむかし)往古(おうこ)昔々(むかしむかし)(はる)(むかし)(いにしえ)
泉崎(いずみざき)(そん)】~邑=村。以前(いぜん)発音(はつおん)は「いずんざち/いじゅんじゃち」など。首里(しゅり)王府(おうふ)時代(じだい)のいわゆる那覇(なは)とは那覇(なーふぁ)四町(ゆまち)であり、(とく)に、那覇(なは)(けい)士族(しぞく)とは那覇(なーふぁ)四町(ゆまち)戸籍(こせき)をもつ士族(しぞく)()した。「那覇(なーふぁ)四町(ゆまち)」、つまり西(にし)(そん)(ひがし)(そん)若狭町(わかさまち)(そん)泉崎(いずみざき)(そん)成立(せいりつ)したのは17世紀(せいき)で、それは那覇(なは)首里(しゅり)外港(がいこう)拠点(きょてん)としての地位(ちい)確立(かくりつ)された時期(じき)でもある。なお、「泉崎(いずみざき)」は諸本(しょほん)によっては「泉崎(いずみざき)」と()仮名(がな)()られているのは、土地(とち)整理(せいり)事業(じぎょう)実施(じっし)された、1903.10以後(いこう)発音(はつおん)泉崎(いずみざき)以前(いぜん)発音(はつおん)には「いずんざち/いじゅんじゃち」などがあるが、(なが)れとしては「いずみざけ」→「いずみざき」→「いじゅんじゃち」を基本(きほん)としてそこから色々(いろいろ)発音(はつおん)派生(はせい)した(かんが)えられる。
(もと)】=元。
宗部(そべ)】~村名(そんめい)宗部(そべ)楚辺(そべ/すび)関係(かんけい)があるといわれている。なお楚辺(そべ/すび)近代(きんだい)になって分離(ぶんり)するまで古波蔵(こはぐら/くふぁんぐゎ)一部(いちぶ)。しかし以前(いぜん)から「楚辺原(そべばる)」として地名(ちめい)はある。
泉崎橋(いずみざきばし)】~現在(げんざい)、58号線(ごうせん)泉崎橋(いずみざきばし)交差点(こうさてん)(よこ)()かる(はし)
親方(うぇーかた)】~(くわ)しくは「琉球沖縄(りゅうきゅうおきなわ)身分制(みぶんせい)などについて」で、(さむれー)身分制(みぶんせい)参照(さんしょう)のこと。(2011.9.13~「 http://totoro820.ti-da.net/e3575293.html」)。王族(おうぞく)および按司(あじ)以下(いか)である、士族(しぞく)(さむれー)最上(さいじょう)(くらい)親方(うぇーかた)。また、士族(しぞく)以下(いか)が「百姓(ひゃくしょう)」。(さむれー)は、里之子(さとぬし)筋目(すじめ)と、筑登之(ちくどぅん)筋目(すじめ)があった。里之子(さとぬし)筋目(すじめ)位階(いかい)昇進(しょうしん)は、一般的(いっぱんてき)に、()里之子(さとぬし)里之子(さとぬし)親雲上(ぺーちん)親雲上(ぺーくーみ)親方(うぇーかた)。なお親方(うぇーかた)は「(さむれー)」として最上(さいじょう)(くらい)で、その(なか)でも最高職(さいこうしょく)であると(とも)行政(ぎょうせい)最高(さいこう)責任者(せきにんしゃ)が「三司官(さんしかん)」。
富貴(ふうき)】~金持(かねも)ちで、地位(ちい)身分(みぶん)(たか)いこと。また、そのさま。ふっき。
(さかん)】~(さか)ん。意気盛(いきさか)ん。
(かも)し】~醸造(じょうぞう)されて。
綿々(めんめん)】~途絶(とだ)えることなく(つづ)くさま。
泉酒(いずみざけ)】~「いずみざけ」→「いずみざき」→「いじゅんじゃち」。(さけ)方言(ほうげん)では「さき」。
【原文】往昔之時泉崎邑素呼宗部村至于近世泉崎橋邊有安室親方者(未傳氏名)富貴甚殷常造酒爲業而其酒日醸綿綿不絶恰如泉湧人人買之不能盡呑俗呼泉酒遂名其村曰泉酒而後改字泉崎云爾


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