「うちかび」ついて

2013年08月27日

Posted by 横浜のトシ at 10:38│Comments(2)伝説・歴史・雑学・言い伝え等
「うちかび/
ウチカビ/
打ち紙」
について



 お読み(いただ)きまして、ありがとうございます。

 先日、知人のFaceBookにコメントで説明したところ、再度、ti-daブログにも、書いておいて欲しいと要望(ようぼう)がございましたので、すでに御存知(ごぞんじ)の方も多いと思いますが記載(きさい)しておきたいと思います。

 「うちかび」は漢字を()てると打ち紙(うちかび/ウチカビ)」で、特に沖縄や奄美のみなさんであれば、よくご(ぞん)じの通り、「あの()のお金」です。ほかに「紙銭(しせん/かみぜに)」とも言います。

 もともとは中国で死者のために紙のお金を()く、その習慣(しゅうかん)が広がりました。冥銭(めいせん)冥票(めいひょう)冥鈔(めいしょう)楮銭(ちょせん)陰銭(いんぜん)などといった()び方もあります。

 中国の一部や台湾、そして、特に日本では沖縄や奄美で現在も、「うちかび(ウチカビ/打ち紙)」を()習慣(しゅうかん)があります。黄色い紙に(ぜに)の形を型押(かたお)しした物や、印刷した物はじめ、金紙(きんがみ)銀紙(ぎんがみ)()りつけた物、あるいは紙幣(しへい)()た物などがあるようです。

 (おも)に、清明節や中元節といった死者の祭祀(さいし)(さい)に、そしてまた神への祈願(きがん)の際に、「うちかび(ウチカビ/打ち紙)」がよく()かれます。それは煙となって冥界(めいかい)(とど)くとされているからです。

 かつて古代では、死者の(ひつぎ)に本物の貨幣(かへい)一緒(いっしょ)に入れて()め、その貨幣(かへい)はやがて時代と共に紙幣(しへい)に代わっていきましたが、そういった副葬品(ふくそうひん)としての用い方とは別に、中世の頃から、()くことによって冥界(めいかい)(とど)けようとする貨幣(かへい)の新たな用い方が行われるようになりました。

 かつての「うちかび(ウチカビ/打ち紙)」ですが、工場生産が始まる前までは、各家庭で、紙を重ねて(かた)を押して作るのが一般的でした。ですからどの家庭にも、その型があったそうです。

 「うちかび(ウチカビ/打ち紙)」は、中国から伝来したものであり、通貨(つうか)単位(たんい)(グヮン)です。

 「うちかび(ウチカビ/打ち紙)」は、白紙(しろかび)(※習字の半紙を8等分して、三枚一組を半分に折ったサイズ)と同じように、3枚セットで使うのが典型的です。つまり、(1枚=)1万元×3枚=3万元ずつ、使うのが一般的です。

 琉球の神さまに(ささ)げる時のほか、たとえば先祖の供養(くよう)であるウークイなどの(さい)によく使われます。ウークイの仕方(しかた)に正解はなく、各ご家庭によって異なるのが普通ですが、それでも「うちかび(ウチカビ/打ち紙)」を()くご家庭は今でも多いと思います。

 これには、見送る人の名を(とな)えながら、ぐそー(※あの世/冥界)に帰るご先祖が、ぐそーで困らないようにと、うちかびのお金を持たせるという大切な意味があります。

 唱え方には、特に決まりはありません。

 一般的には、焼香(しょうこう)しながら「(だれだれ)から3万(グヮン)」と唱えながら、家族分をていねいに、次々と燃やしていくわけですから、大家族ですと大変な時間がかかります。

 先祖から子孫へと受け()がれ、ずっと続いていかなければならない大切な一族や家族兄妹の行事は、子孫に(うやま)われる存在として人々が生きていかなければならないことを意味し、それができなければ行事は途絶(とだ)え、子孫に続いていきません。もちろん、ただ続ければいいというものではありません。続けていく人間の中味が何より大切ですから、子孫の正しい教育が何よりも大切になります。親はなくても子は育つ、それは大きくなるのを意味しているだけであって、正しい教育があってこそ正しい人間が育つのです。

 なお、あくまでここからは個人の想像の(いき)を出ませんが、3万(グヮン)という、あの世のお金は、ご先祖や琉球の神様にとって、ちょうど1年分の生活費のようなものではないかと考えています。また一方で、この世に生きる人にとって、神様に1年間、守っていただく料金が、3万元と考えられなくもありません。

では。


Copyright (C) 横浜のtoshi All Rights Reserved.




同じカテゴリー(伝説・歴史・雑学・言い伝え等)の記事

この記事へのコメント・感想・ゆんたくはじめ、お気軽にお書き下さい。承認後アップされます。
ルミさん。はいさい、今日、拝なびら。

コメント、遅れました。

うちかびセットとか、うちかび器は、確かにそれに特化しているので、使ってみればわかる通り、とても便利ですね。

僕も、何度か、売っている物、使っているところを、見た事があります。
もちろん、金属のボールを使っていたり、違う燃やし方も、いくつか見た事があります。

上にも書きました通り、うちかびの正しい焼き方は、ないようですが、
何のために焼くのかとか、何枚焼くものなのかとかが、
分からない世代が増えていると、聞いた事があります。
それを聞くと、少しさびしくなってしまいます。

僕自身も、かつては御嶽や拝所で焚いたりしていましたが、
今は、ウコー同様、やはり火を付けるのは避け、手を合わすだけにしております。
ただ、以前に比べると、何か物足りなさを覚えてしまいます。

沖縄や奄美の、各家庭の祭事は、生活に合わせてまちまちで構わないから、いつまでも続いていって欲しいものです。

いつもコメント&情報、いっぺー、にふぇーでーびる。
ぐぶりーさびら。感謝。
Posted by 横浜のtoshi横浜のtoshi at 2013年09月02日 13:44


横浜のtoshiさん
こんばんは

打ちかび について たくさん 勉強になりました。
ありがとうございます

toshiさんが
おっしゃるように、

打ちかび、ウークイの仕方は各家庭で
いろいろあるようですね。

我が家も、旧盆 最終日ウークイの 夜は

打ちかびを焚いて
ご先祖さまを お送りしています。


3年前からは

打ちかび焼きセットという道具を購入して その 中で 焚いていますよ~。
(水を入れて今年はクワズ芋の葉っぱを広げて、その上で焚きました)

以前は 金たらいみたいな 古いボールに水を入れて その上に 大きな葉っぱを敷き その上で 打ちかびを焚いていました。

台付き、燃えない長いはし、がセットで便利です。


ウークイは、23時前後に行っています。
お仏壇の前に全員集合して

ほぼ全員で打ちかびを焚いて いきます焚きながら、そろぞれいろいろな言葉をかけます
焚いた後は
お供えした、お花、お茶、お料理(少しずつ)だんごなどを

打ちかびを焚いた葉っぱに入れて包んで~

その後、
全員分のお線香を焚いて 持ち、 全員で門の外に出て、しゃんで拝み~

葉っぱに包んだ
お供えいろいろも
お線香といっしょに
門の外~


『又、来年待っていますよ~

『バイバイ~

など(笑)が最後の
ごあいさつ?です(笑)

亡き義母がやっていたのを ほぼ引き継いだ形です(笑)


toshiさん

打ちかび について
来年のウークイには、子どもたちにちょっとだけ 説明が出来そうです(笑)

ありがとうございました。
Posted by ルミ at 2013年08月29日 22:49


コメント以外の目的が急増し、承認後、受け付ける設定に変更致しました。今しばらくお待ち下さい。

※TI-DAのURLを記入していただくと、ブログのプロフィール画像が出ます。もしよろしければ、ご利用下さい。(詳細はこの下線部クリックして「コメ★プロ!」をご覧下さい。)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
伝説・歴史・雑学・言い伝え等」 新着20件  → 目次(サイトマップ)       設置方法