成屋獅子 ~琉球沖縄の伝説

2011年08月01日

Posted by 横浜のトシ at 20:20│Comments(2)琉球沖縄の伝説・沖縄先島編

みんなで楽しもう!
~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第172話。


成屋獅子(なーれしし)



 むかし(むかし)西表島(いりおもてじま)成屋(なりや)という(むら)がありました。この(むら)には、力持(ちからも)ちの(わか)(さむれー)がいたそうです。
 ()()(こと)獅子(しし)(うみ)(おぼれて)れているという()らせが(はい)り、村人達(むらびとたち)(とも)(さむれー)(はま)(いそ)ぎました。すると()(ほど)獅子(しし)(あわ)れに()えながら、(おぼ)れています。それを()るや、可哀相(かわいそう)(おも)った(さむれー)(うみ)()()み、(はま)()()げ、獅子(しし)見事(みごと)(たす)けたのでした。
 しばらくして元気(げんき)()(もど)すと、獅子(しし)は、あろう(こと)か、(しろ)(するど)(とが)った()()()てて(うな)り、前髪(まえがみ)逆立(さかだ)て、()血走(ちばし)らせながら、(さむれー)()()かったのでした。(さむれー)はさっと()をかわすなり、「この(おん)()らず(もの)()。」と(さけ)び、(こし)()げていた(つるぎ)一太刀(ひとたち)()びせたのでした。
 見事(みごと)獅子(しし)(くび)(ちゅう)()い、()()った鮮血(せんけつ)純白(じゅんぱく)(はま)()()()めました。
 ところが(おどろ)いたことに、浜辺(はまべ)()ちた(くび)は、人々(ひとびと)見守(みまも)(なか)(ちゅう)(うか)んだかと(おも)うやいなや、突然(とつぜん)()にもとまらぬ(はや)さで()(はじ)めると、(むこ)(ぎし)赤崎(あかざき)(がけ)まで()んでいき、そのまま()()いたのでした。
 (はま)一部始終(いちさむれーじゅう)()ていた(しま)人々(ひとびと)は、瞬時(しゅんじ)()こった(あま)りの出来事(できごと)に、ただただ呆然(ぼうぜん)とするばかりで、(さむれー)(はじ)め、誰一人(だれひとり)言葉(ことば)(はっ)する(もの)はいなかったということです。
 赤崎(あかざき)(がけ)には、(いま)でも獅子(しし)(かお)()(くぼ)みがあります。(しま)人達(ひとたち)はそれをナーレシシ(成屋獅子)()びます。
 また、お(まつ)りの獅子舞(ししまい)(さい)、「ナーレシシ、ウィシッサン。(※成屋獅子は、泳げない)」と()ども(たち)(はや)()てます。
 (なお)赤崎(あかざき)(がけ)(いろ)がその()(とお)(あか)いのは、獅子(しし)()()まったためだと()(つた)えられているそうな。

 
※この話の参考とした話
柳田~「獅子石」
沖縄県・八重山郡竹富町西表島~『竹富町誌』


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●伝承地
柳田~「獅子石」
沖縄県・八重山郡竹富町西表島~昔々西表に成屋という村がありました。この村に力持ちの若い武士がおりました。ある日のことです。村の人々が「海に獅子が溺れている」と知らせに来たので、武士は村人たちと共に浜へ出て見ました。なるほど溺れた獅子は悲鳴をあげてもがいておりました。可哀相に思った武士は、海へ飛び込んでその獅子を助けて浜へ引き揚げてやりました。 しばらく立って元気を取り戻した獅子は、どうしたことか白い鋭い歯をギラギラと光らし、前髪を振り立てて眼をむいて武士に跳びかかって来ました。一歩後ずさりした武士は「この恩知らず者奴!」と叫び腰の剣を抜くが早いか一刀をあびせました。すると獅子の首は見事に真白い浜に、鮮血を染めて落ちたかと見るや、ハテサテこれは不思議も不思議、首は宙をすごい速さで飛び、海を渡って向う岸の赤崎の崖ヘピタリとひっつきました。浜でこの状景を見ていた島民たちも、そして武士も誰一人言葉を発する者もないアッという間の出来事でした。 赤崎の崖には今でも獅子の顔に似たくぼみがあります。島民たちはあれをナーレシシ(成屋獅子)と呼んでおり、お祭の獅子舞の際には「ナーレシシ、ウィシッサン」「成屋獅子は泳げない」と子供たちははやし立てます。赤崎の崖の色がその名のとおり赤いのは、獅子の血で染まって赤くなったからだとも伝えられております。(『竹富町誌』)


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仲本さん、はいさい、今日(ちゅー)拝(うが)なびら。

何しろ仕事が、忙しくて、
今日は、始発の飛行機で沖縄に来る予定が、
夕方便に変えなければならないほどでした。
橫浜にいると、ますます仕事に追われて、ますます体調が悪くなりそうなので、
今日から8/31まで、沖縄におります。

8/20は出勤日なので、前日に橫浜に行き、21には那覇に戻りますが、
8月の後半5日間は、やっと念願の宮古島に行きます。

ただ、忙しすぎて、那覇も宮古も、宿しかとってない有様。
一晩ぐっすり寝て、それから色々と、考える事にしています。

今回は、まだバイクのレンタルもしていないのですが、
近々、朝日を見ながらお話ししましょう。

では。
Posted by 横浜のtoshi at 2011年08月02日 22:12


toshiさん
手紙届きました。私こそ大変な遅れで御座います。
東大までも、そんな事までして、ありがとうございます。

詳細はお手紙でもおくります。何所に行かれても沖縄の歴史を生徒の
みなさんにひも解いておるんですね。頭が下がります。

大事に大事にとってあります。またのお会いする日を愉しみにしております。成屋獅子は津波では危ないですね。子供たちの声が聞こえてまいります。ありがとうございました。
Posted by 仲本勝男仲本勝男 at 2011年08月02日 20:24


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