蹄跡石 ~琉球沖縄の伝説

2011年03月06日

Posted by 横浜のトシ(爲井) at 20:20│Comments(0)琉球沖縄の伝説・沖縄先島編

みんなで楽しもう!
~琉球沖縄の、先祖から伝わってきたお話~

奄美・沖縄本島・沖縄先島の伝説より、第117話。


蹄跡石(ていせきいし)



 大昔(おおむかし)アマン代(だい)姉弟(きょうだい)二神(にしん)がいらっしゃいました。
 弟神(おとうとがみ)は、荒々(あらあら)しい性格(せいかく)で、道理(どうり)(はん)する(おこな)いをし、(こころ)(ゆが)んでひねくれ、(よこしま)でした。
 その(こと)を、常々(つねずね)姉神(あねがみ)(うれ)えておりました。(おとうと)邪曲(じゃきょく)した(こころ)()めようと苦心(くしん)しましたが、いくら(いまし)めても、(おとうと)悔悟(かいご)(いろ)はみえません。(つい)姉神(あねがみ)心痛(しんつう)のあまり、(かみ)(くに)高天原(たかまがはら)(かえ)ってしまいました。弟神(おとうとがみ)はそうと()ると(うし)()り、一生懸命(いっしょうけんめい)(あね)()いました。そして、石垣島(いしがきじま)屋良部半島(やらぶはんとう)密林(みつりん)(なか)で、姉神(あねがみ)は、()って()弟神(おとうとがみ)気付(きづ)いて()うことには、
 「(なんじ/あなたは)、この(いし)より(さき)(すす)むべきでない。」と。
 (きび)しくそう()って(きん)じたのでした。しかし弟神(おとうとがみ)はそれを()かずに(うし)(いし)より(まえ)(すす)ませ、一気(いっき)()()そうとしたところで、(うし)はぴたりと()まって、(むち)をいくら()っても、一歩(いっぽ)(すす)みません。やがて姉神(あねがみ)姿(すがた)(もり)()え、(いし)(うえ)には、ただ(うし)蹄跡(ていせき)だけが(のこ)ったそうな。

 
※この話の参考とした話
柳田~「馬蹄石」
沖縄先島・沖縄県石垣市~「旅と伝説」第四巻一号


Copyright (C) 横浜のtoshi All Rights Reserved.


●伝承地
柳田~「馬蹄石」
沖縄先島・沖縄県石垣市~大昔(アマン代)、姉弟の二神がをられた、弟神は、暴戻、心、飽く迄邪曲、姉神は常に之を憂ひて、其の邪曲の心を矯めんと苦心された、が、悔悟の色なし。姉神は心痛し憂愁に鎖されて、高天原に帰られた。弟神之れを識り、牛に乗り、一生懸命に走らして、姉神を追躡しつゝ、屋良部半島の密林の中に入る、姉神、弟神を認められて、「汝、この石より進むべきでない」と厳しく禁ぜられた、弟神、戒めを意に介せずして乗牛を石上に進め、一気に飛跳せんと、鞭を打てども一歩だも進まず、遂に姉神の御姿を見失ひ、石上には牛の蹄跡を印するのみ。
註~奔牛馬又は馬子に引かるゝ牛馬も此の石に近寄れば逆走して進まずと云ふ。(「旅と伝説」第四巻一号)


同じカテゴリー(琉球沖縄の伝説・沖縄先島編)の記事

コメント以外の目的が急増し、承認後、受け付ける設定に変更致しました。今しばらくお待ち下さい。

※TI-DAのURLを記入していただくと、ブログのプロフィール画像が出ます。もしよろしければ、ご利用下さい。(詳細はこの下線部クリックして「コメ★プロ!」をご覧下さい。)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
琉球沖縄の伝説・沖縄先島編」 新着20件  → 目次(サイトマップ)       設置方法